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転職後初の連休でやる気が急降下!「五月病」から立ち直る方法を教えて

体験談

楽しかった5月の連休を終えたら、なんだか突然会社に行きたくなくなってしまった、連休後に出社し始めた瞬間、不眠や食欲の低下を感じ体調を崩してしまった…。
30代のプレ更年期世代の女性のなかには、このような「五月病」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「五月病」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

魔の「五月病」…自堕落に過ごした連休のツケで謎の不調に見舞われた私

綾子さん(32歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。

4月の初旬に転職先の会社への勤務が始まり、ものすごく緊張した日々を送っていた私。専門職の経験者採用でもあったため、若い正社員の子たちとは違い、すぐに結果を出すことが求められているような気がして、自分の実力以上に盛ったテンションで張り切って仕事をこなしていました。
期待以上の結果を出したいと思うあまりに朝早く出社し、残業もこなしていると、あっという間に時間が過ぎ、ふと気づいたらゴールデンウィークの大型連休に。ここで一気に緊張が緩んだのか、連休初日に14時間ほど眠りこけ、すっかり昼夜逆転生活になってしまったんです。
疲労を解消するためと自分に言い訳し、その後もすっかり自堕落な生活を送ってしまったせいか、連休明けは頭が朦朧とするほどの疲労感に襲われ、何もやる気が出なくなってしまうほどの状態に……。
朝も起きられずギリギリに出社すると、これではいけないと、どう見られているんだろうと緊張するあまり、胃が痛くなってしまうことも。
4月のあのやる気はどこへ行ったのやら、日々漠然とした体調の悪さを感じ、極度の疲労感や肩の痛みに襲われるようになってしまったんです。
週末にはしっかり休み、なんとか持ち直そうと努力はしていますが、いまいち調子が出ません。早くこの不調を改善したいのですが、何か良い方法はないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
連休中に体を休めて疲労回復をすることは良いのですが、生活のリズムを取り戻すのが難しくなるほど気を緩めてしまうと、連休との生活とのギャップがつらくなってしまいがちなので、注意が必要ですね。
今回は、五月病の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

五月病は環境への適応ストレスによる自律神経の乱れが原因

五月病とは医学的な病名ではないものの、4月後半から5月初旬の大型連休後にひどい憂うつ感に見舞われたり、漠然とした不安感や体調の悪化に見舞われる症状のことをいいます。
主な原因は、慣れない環境に適応しようとするストレスや緊張感による疲労で、「気分の落ち込み」「抑うつ感」「無安心」「モチベーションの低下」などその症状は多様です。
以前は入社したての新入社員などに多く見られる症状でしたが、昨今は転勤や転職、人事異動などにともなって30代以上の年齢層でも五月病に悩む人が増加傾向にあります。

東洋医学では、春は新しい環境に馴染むための努力や初対面の人と接する機会が増えることから、無意識にストレスを溜め込んでしまい、五臓のうちの自律神経をつかさどる「肝(かん)」に負担がかかり、自律神経が乱れてさまざまな不調が起こると考えられています。

次の章ではこのような「五月病」を予防&改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

五月病を予防&改善する3つのセルフケア

1.不摂生を避け、規則正しい生活を送る

連休中と連休後のギャップに苦しまないようにするためにも、日頃から不摂生を避け、規則正しい生活習慣で過ごすことが大切です。
休日は夜更かしして朝寝坊し、食事は1品のみで済ませてしまうなどといった不規則な食生活を送ることで、栄養不足を招くのはもちろん、「セロトニン」という、気持ちをリラックスさせ、感情をコントロールする神経伝達物質の不足を招くこともあります。

セロトニンは、朝起きて日光を浴びたりして体内時計を整えたり、肉や魚などの動物性タンパク質を摂取すると増えるといわれています。また、ストレスへの対処により消耗するビタミンCや情緒の安定に有効なビタミンB1を含む食材も積極的に摂るように心がけてみてください。

2.自分にも他人にも厳しくし過ぎないこと

●●ねば、●●れば、が増えていたら要注意です。新しい環境で、どうにか実力を発揮しなけ「れば」、役に立た「ねば」、と無理をしがちなのもこの季節です。五月病によるさまざまな精神症状や不調があるときは、自分に対して厳しくせず、無理をしないのが一番なのですが、こうした不調を起こしてしまう人に限って、責任感が強く自分にも厳しい方が多いようです。
●●ねば・れば、を手放し、自分が描いた予想や展望通りにことが進まなくても、自分を追い込まないようにし、良い意味で諦める勇気を持って長期的な視野で物事を見るようにしましょう。

また、周囲の気を許せる同期や同僚と会話をしてコミュニケーションをとり、気軽に悩みを相談できる時間を作りながら、良い形で環境に馴染むようにしてみてくださいね。

3.平日と休日のメリハリをつけましょう

休日も仕事のことを考えてしまい、知らないうちにストレスを溜め込んでしまっている場合は、仕事の日とオフの日のメリハリをつけることも大切です。休日は可能な限り自分の好きなことに時間を費やし、夢中になれることを楽しみましょう。
ちょっとしたお出かけ、未体験への挑戦、体を動かすこと、アロマもストレス解消のきっかけになります。特に、平日の疲れでだるさを感じる場合は、ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動がオススメです。「セロトニン」という感情をコントロールし、気持ちをリラックスさせる効果のある神経伝達物質の分泌を促します。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

五月病を改善するために、セルフケアやメンタルケアなどの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)です。「気」の滞りを改善し、ストレスによる吐き気や胃の不調、のどのつかえ感などをやわらげます。
また、体がだるくて眠れない方、胃腸が弱っているような方に、胃腸の働きを整え、自律神経を整える働きのある補中益気湯(ホチュウエッキトウ)も良いでしょう。
一方、疲れすぎて眠れず、イライラや不安なども生じているような方は、帰脾湯(キヒトウ)がオススメです。

休日は仕事から意識を離し、心と体のリフレッシュを!

今回は、五月病に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。症状の改善のためには、日頃から栄養バランスのとれた食生活を心がけ、オンとオフのメリハリをつけ、心も体もリフレッシュさせることが大切です。こうしたケアを試しても症状が改善しない場合は、本格的なうつ状態に陥ってしまわないためにも、早めに心療内科や精神科を受診するようにしましょう。

また、こうした気になる症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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