準備運動の段階ですでに汗みどろ…過剰な汗っかき体質への対処法は?
ちょっと運動しただけなのに大量の汗が流れ落ちてくる、自転車を漕いで1駅分移動しただけなのに体じゅうが汗まみれになってしまった……。
30〜40代のプレ更年期世代の女性の中には、こうした「運動すると大量の汗が出る」という方も少なくないのではないでしょうか。
このような自分ではどうにもならない症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を漢方薬の専門家がお答えしていきます。
今回は「運動すると大量の汗が出る」をテーマに、薬剤師の中田早苗先生にお話を伺ってみました。
目次
ちょっと体を動かしただけで汗が噴出! 運動中の滝汗の原因を教えて
玲子さん(43歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。
このところリモートワークが続き、家から出ない生活をしているうえに、つい食べ過ぎてしまっているせいか、お腹がぽっこりな状態に。もともと中肉中背で肥満というほどではないものの、このまま中年太りまっしぐらになるのも嫌で、一念発起して運動することにしたんです。
まずは早起きして準備運動も兼ねてストレッチをし、自宅の周りを2kmほどランニングすることに決めました。早速ランニング用のウェアも揃え、健康的にダイエットするための運動習慣をつけるべく、計画を即座に実行したまではよかったのですが……。これまでの運動不足がいけなかったのか、部屋の中で準備運動のストレッチをしている段階からダラダラと汗をかきはじめ、いざランニングし始めるときにはウェアの中は汗でびっしょりに。
汗みどろで走りながらも、早くも心がギブアップしそうになるのを必死で抑えるのに精一杯でした。
帰宅してびちゃびちゃのウェアを脱ぎ、シャワーを浴びるとだいぶスッキリしたものの、大量の汗をかいたせいか疲労困憊状態に。慌てて水分補給をしながらリモート会議にギリギリのタイミングで参加したものの、なんだか頭がボーッとして仕事どころではありません。
健康診断では特に何の問題もありませんでしたが、ちょっと運動したくらいでこんなにダラダラ汗が流れるとなると、毎朝運動を継続するのがつい億劫になってしまいそうです。
この大量の汗、いったいどう対処すれば良いのでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
運動することで汗をかくのは上昇した体温を下げるために必要な体のシステムでもあるのですが、準備運動の時点で大量の汗が出るとなると不安になってしまいますよね。
今回は、運動により大量の汗が出る原因や改善方法について詳しくお伝えしていきましょう。
運動時に汗をかくのは上昇した体温を適正値に戻すため
汗をかくメカニズムにはいくつか種類がありますが、なかでも運動したときに上昇した体温を下げるために全身から持続的に発汗することを「温熱性発汗」といいます。
こうした運動による体温調整のための汗は、全身のほとんどの皮膚表面に分布する汗腺「エクリン腺」から出るもので、無色無臭でサラッとしています。運動時に加えて、気温が暑いときに出るのもこうした温熱性発汗によるもので、暑いときに激しい運動をすると1時間に2リットルもの汗をかくといわれています。
極度の肥満や糖尿病などの代謝異常、甲状腺機能の亢進症状がでる疾患でない限り、ほとんどの場合、運動時に出る汗は心配する必要はありません。
また東洋医学では、汗は「血(血液)」から作られるとされ、体温調整のために大量の発汗が起きると体内の「血」が不足してさまざまな不調が起こると考えられています。
次の章ではこのような「運動すると大量の汗が出る」状態への具体的な対処方法をお伝えしていきましょう。
運動により大量の汗が出るときの対処法3選
1.運動時の過剰な汗を抑え、肌に残さない
運動時の大量の汗を放置すると、胸の下や脇、膝裏や足の付け根などに汗がたまり、あせもや肌荒れの原因になることがあります。
運動時には通気性・吸湿性に良い肌着や服装を心がけ、タオルで汗を拭き取ったり、運動後にすぐシャワーを浴びるなどして汗を体に残さないようにしましょう。
室内で運動をする場合は、室温の調節をして適度な温度や湿度を保つことも過剰な汗を防ぐために有効です。
2.こまめな水分&電解質の補給を心がける
運動をして大量に汗をかくと、大量の水分が失われるだけでなく、体内のバランスを保つミネラルや電解質も汗として流れ出てしまいます。
運動中や運動の前後にはこまめに水分補給をすることに加え、マグネシウムやカリウム、ナトリウムなどの電解質の含まれたスポーツドリンクや経口補水液を摂り、失った塩分やミネラルも補うようにしましょう。
コーヒーや緑茶などには利尿作用のあるカフェインが含まれており、口の中が潤っても身体の脱水が進んでしまうことがあるため、注意が必要です。
3.皮下脂肪&内臓脂肪を減らして多汗を改善
ぽっちゃり体型の方の場合、厚い皮下脂肪によって体の熱が体内にこもりやすく、少し運動しただけでも大幅な体温調整が必要になります。
大量の汗をかかなくても済むようにするためには、運動に加えて適度なカロリーコントロールを心がけ、まずは皮下脂肪を減らす努力をしてみましょう。
また、太って見えなくても運動により多量の汗をかいてしまう場合は、内臓脂肪の厚い隠れ肥満の状態から、体の熱が体内にこもって発汗量が多くなっている可能性があります。こうした場合にも、運動習慣を継続して内臓脂肪を減らすことで過剰な汗を改善していくようにしましょう。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
運動すると大量の汗が出る症状には、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)です。ちょっと運動しただけでも大量に汗が出てしまう方の体内の水分バランスを整え、過剰な汗を抑制する効果があります。
また、大量の発汗によって体内の水分が失われ、暑気あたりのような症状のある方には、体内の水分代謝の働きを高めて症状を改善する五苓散(ゴレイサン)も良いでしょう。
自分の症状や体質にぴったりマッチした漢方薬を選ぶのは難しいと感じがちですが、「オンラインAI漢方」では、お悩みの症状を元にAIがあなたにぴったりな漢方薬をご案内しています。自宅にいながら気軽に始められますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
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体質改善で過剰な「汗っかき」を改善しましょう
今回は、運動すると大量の汗が出る方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。運動時にはこまめな水分補給を心がけ、体に汗を残さないように清潔に保つことが大切です。
過剰な汗を改善するためにも、体脂肪や内臓脂肪の多い方は適切なカロリーコントロールで体内に余分な熱がこもらないように体質改善を心がけましょう。
また、こうした汗の症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。