八味地黄丸とは? 効果を発揮する女性特有のトラブルとケア方法
八味地黄丸(ハチミジオウガン)は冷えや血行不良などに効果のある漢方薬です。
女性特有のトラブルを改善するために八味地黄丸を使ってみたいと考えてる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、八味地黄丸の効果と使い方、オススメのセルフケアについて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
八味地黄丸(ハチミジオウガン)とは
八味地黄丸(ハチミジオウガン)は、六味丸(熟地黄・山茱萸・山薬・沢瀉・牡丹皮・茯苓)に、附子・桂皮(からだを芯から温め基礎代謝を活発にする)を加えたものです。
基礎代謝が低下して発生する冷えや血行不良が原因のさまざまな症状に効果があります。
八味地黄丸は次のような症状に処方されます。
・下半身の冷え
・腰痛
・排尿トラブル
・腎炎
・糖尿病・前立腺肥大
・高血圧
・疲労感、だるさ
・ほてり、口渇、イライラ
使用方法は、1日3回食前または食間に服用します。まれに、胃がもたれることがあります。
下半身の冷えに効果的な八味地黄丸と苓桂朮甘湯
下半身の冷えは、お尻やふくらはぎの筋肉のコリによる血行不良が原因です。
また、骨盤の歪みにより下半身の「血(血液)」の巡りが悪化し、代謝が悪くなることも原因と考えられています。
東洋医学では、下半身の冷えは血行不良による「血瘀(けつお)」や「水(水分)」の滞りによる「水毒(すいどく)」によって起こるとされています。
下半身の冷えには漢方薬の服用も効果が見込めるでしょう。
八味地黄丸は血の巡りを改善する効果があるため、下半身の冷えによる神経痛がある方にオススメです。
苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)は腰痛がある方の「水」の滞りを改善し、冷えやむくみを改善する効果があります。
下半身の冷えには運動が効果的です。下肢の筋肉量が低下すると、血液を全身に巡らせることができず、冷えをますます悪化させてしまいます。
日頃から階段を使うようにしたり、スクワットをしたりするなどをして足腰の筋肉を鍛えましょう。
顔のシワに効果的な八味地黄丸と温経湯
更年期になると女性ホルモン(エストロゲン)が減少し、潤いやハリを保つ機能が低下します。
また、エストロゲンの減少により骨密度が低下し、肌を支える顔面の骨がスカスカの状態になります。そのため、肌の筋肉が衰え、シワが増えます。
東洋医学では、更年期になると「血」や「気(生命エネルギー)」が滞り、肌のハリや潤いが不足すると考えられています。
顔のシワの改善には漢方薬の服用もオススメです。
八味地黄丸は「若返り薬」とも呼ばれ、アンチエイジング全般が気になる方に効果的です。
温経湯(ウンケイトウ)は体が弱く、月経不順や冷え、ほてりなどの症状がある方にオススメです。
「眼輪筋」を鍛えて目の周りにできるシワをケアしましょう。
目を見開き、眼球を”8の字”を描くようにゆっくり動かします。方向を変えて左右それぞれ5回ずつ行います。目線の動きにつられて頭が動いてしまわないように注意しましょう。
骨粗しょう症に効果的な八味地黄丸と十全大補湯
閉経後、女性ホルモン(エストロゲン)が減少すると、骨形成よりも骨吸収が盛んになります。そのため、骨密度が急激に低下し、骨粗しょう症を発症しやすくなります。
東洋医学では、骨粗しょう症は腎が衰えたときに起こると考えられており、腎気を補うことで骨の老化を防ぐことができます。
骨粗しょう症の改善には漢方薬の服用もオススメです。
八味地黄丸は体を温めて腎を補うため、冷えや疲れやすさ、排尿障害が気になる方の体質改善に効果的です。
十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)は胃腸が弱く、貧血気味で疲れやすい方にオススメです。
ビタミンDで骨を丈夫にしましょう。ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける効果があり、日光に当たることで皮膚でも作られます。
1日15分程度、日光に当たるようにしましょう。日焼けが気になるという方は手や足だけでも効果的です。
頻尿に効果的な八味地黄丸と清心蓮子飲
更年期になると骨盤を支える筋肉が衰え、膀胱をコントロールすることができなくなります。
東洋医学では、加齢により腎が衰えると水分の代謝が滞り、頻尿を引き起こすと考えられています。
頻尿には漢方薬の服用も効果的です。
八味地黄丸は体を温めて、腎の衰えや冷えを改善する効果があります。
清心蓮子飲(セイシンレンシイン)は胃腸が弱く、動悸や不眠がある方にオススメです。
膀胱を訓練して頻尿を改善しましょう。
頻繁にトイレに行く癖がついてしまうと、膀胱が尿を多く溜めることができなくなります。膀胱の機能を改善するために、尿意を我慢する訓練を行いましょう。
トイレへ行きたいと思っても、5分間我慢します。我慢できたら徐々に時間や回数を増やしていきます。尿意の度に我慢するのではなく、できる回数を決めて行いましょう。最終的に2〜3時間我慢できれば目標達成です。
性交痛に効果的な八味地黄丸と四物湯
更年期は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少により、十分な体液を分泌できなくなります。
そのため、膣が乾燥しやすくなり、性交痛が生じます。
東洋医学では、「気」と「血」の滞りにより性交痛が起こると考えられています。
性交痛には漢方薬の服用もオススメです。
八味地黄丸は冷えた体を温め、「気・血・水」を増やし、巡らせる効果があります。
四物湯(シモツトウ)は冷え性で生理痛があり、肌も髪を乾燥しやすい方にオススメです。
イソフラボンを摂取しましょう。イソフラボンにはエストロゲンに似た効果があるため、性交痛による症状の緩和が期待できます。豆腐などの大豆製品やサプリから摂取しましょう。
更年期の抜け毛に効果的な八味地黄丸と十全大浦湯
女性ホルモンのエストロゲンは肌や髪の新陳代謝をスムーズにする働きがあります。しかし、更年期を迎えるとエストロゲンが減少するため、抜け毛などの症状が現れます。
東洋医学では、抜け毛の原因は、血液が不足している「血虚(けっきょ)」、活力が不足している「腎虚(じんきょ)」、体内に余分な湿気がこもる「湿熱(しつねつ)」の3つに分けて考えます。
抜け毛には漢方薬の服用も根本的解決ができるでしょう。
八味地黄丸は白髪が目立ち、実年齢よりも老けて見える方にオススメです。
十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)は髪が細く薄く見える方の髪のパサつきを抑え、コシを蘇らせる効果があります。
また、黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)は頭皮がベタつきペタンとして見える方にオススメです。
マッサージで頭皮の血行を良くしましょう。洗髪後、髪をタオルで乾かした後は、頭皮に育毛剤をつけて指の腹でマッサージをしましょう。マッサージをすることで、頭皮に酸素と栄養が行き渡り、健康的な髪が生えやすくなります。
まとめ
ここでは八味地黄丸を取り上げ、実際に八味地黄丸が処方されるいくつかのトラブルを見てきました。
八味地黄丸はさまざまな女性特有のトラブルに有効です。症状に合わせてセルフケアを実践したり、他の漢方薬を取り入れるなどして、気になる症状の改善に役立ててみてはいかがでしょうか。