火傷で舌が白くなる?症状の特徴と他にもある白くなる原因

お悩み

歯磨きをしている際などに舌が白いなと感じたことはありませんか? 病気ではないかと心配になった方もいるかと思います。

舌が白くなる原因は日常の生活によるものや病気などさまざまあります。ここでは、火傷を中心に舌が白くなる原因について詳しく見ていきましょう。

火傷で舌が白くなる?

舌の表面には多くの舌乳頭と呼ばれる突起があり、体調によって色味が変化します。舌の表面に付着している白いものは舌苔と呼ばれており、食べかすや汚れ、細菌によるものです。

歯磨きをしっかりしておらず、口の中が不衛生になっている場合やタバコを吸っていたり、食事の際にあまり噛まない場合、口呼吸をしている場合につきやすいです。

生活習慣が原因の場合には、習慣を変えることで改善していきます。しっかりと歯磨きをし、舌ブラシなどを使って舌磨きをするとよいでしょう。また、禁煙したり、しっかり噛んで食べると舌苔もつきにくくなります。

それ以外にも、これから見ていくように火傷によって舌が白くなることがあります。

舌の火傷の熱傷度と症状

舌の火傷は3段階に分けることができます。

I度熱傷

舌の最も外側の部分が損傷します。ヒリヒリとした痛みを感じたり、舌が赤くなったりします。

II度熱傷

舌の最も外側の部分と、その下にある粘膜下組織が損傷を受けた場合を指します。水ぶくれ(水疱)ができたり、赤く腫れあがったりします。また、I度熱傷のときよりも強い痛みを感じ、味がわからなくなります。ケロイドができてしまう恐れがでてきます。

III度熱傷

舌の粘膜全層が火傷をした状態です。白い皮のようになったり、黒い炭のようになったりします。火傷の跡が残らないように皮膚や粘膜を移植する手術が必要となったりします。

舌の火傷への対処法

舌の火傷は唾液によって湿潤環境を保つことができ、唾液の殺菌作用があるため、治癒は早いです。

I度熱傷

経過観察で3〜4日程度で舌の表層が回復します。感染が起きないように清潔にすることを心がけましょう。歯磨きをする際は、火傷した部位に触れないよう丁寧に行い、刺激が少ないうがい薬でうがいをしましょう。

また、刺激物(アルコールや香辛料)は避け、ケナログなどの口内炎の軟膏を塗ることも効果的です。

II度熱傷

火傷をしてから3時間ほどで水ぶくれができ、1〜2日ほどで退縮していきます。水ぶくれを潰さないように気をつけましょう。また、潰瘍ができます。味蕾の修復には約2週間ほどかかり、味覚が元に戻り、約4週間で完全に回復します。

対処法としては、亜鉛やビタミンCがたくさん含まれている食品を積極的に摂取しましょう。I度熱傷と同様に刺激物(アルコールや香辛料)は避け、ケナログなどの口内炎の軟膏を塗りましょう。痛みが強い場合は鎮痛剤を適宜飲みましょう。

他にもある舌が白くなる原因

舌が白くなる原因は火傷の他にも次のようなものがあります。

口腔カンジダ症

口に常在しているカンジダ菌の異常繁殖によって起こる病気です。偽膜性、萎縮性、肥厚性がありますが、白い苔が生える偽膜性のものが多いです。重度な糖尿病や、抗がん剤治療中などによって免疫力が低下した方がなりやすいです。

治療法はビタミン剤、乳酸菌整腸薬の投薬と抗真菌薬の外用になります。放置すると肺炎になる可能性がありますので、すぐに受診して治療が必要となります。

白板症

こすっても取れない口腔粘膜状の白い板状や斑状の角化病変で、他の病名がつかないものをいいます。口腔粘膜が斑点で白色に変化したり、表面がしわ状になったり、いぼいぼ状になったり、赤色になって現れることがあります。

ビタミン不足、虫歯や歯並びの乱れ、喫煙などの刺激によって引き起こされます。口腔粘膜が白色に変化している場合は痛みはありませんが、粘膜が赤色を伴った場合は痛みを伴います。

長期的に白板症が継続した場合などは一部(約10%)癌化する可能性が高いものがあります。白板症には予防法がありません。癌化する可能性の高い異形成が起きていないかどうか調べるためにも診療を受けることは大切です。

シェーグレン症候群

口腔内が乾燥していると、舌苔につながることがあります。この乾燥する原因として考えられるのが、唾液の分泌の減少や口呼吸になっていることです。

唾液の分泌の減少の原因としてシェーグレン症候群という外分泌の病気が疑われます。シェーグレン症候群は、涙や唾液を作っている臓器を中心に炎症を起こす全身性の自己免疫疾患です。

約45%の方が乾燥症状主体で悩まされますが、それ以外にも約50%の方には全身性に何らかの臓器病変(全身倦怠感、関節痛、皮疹、光線過敏症、間質性肺炎、神経障害、腎障害、筋症状、血液検査異常など)を生じることがあります。

病気の原因は不明ですが40〜60歳台の女性に発症しやすいです。しばしば悪性リンパ腫や原発性マクログロブリン血症といった血液疾患や、橋本病や自己免疫性肝炎といった他の自己免疫疾患を合併することもあり、注意が必要です。

口腔がん

口腔がんの一つに舌がんがあります。舌がんとは、舌の前3分の2と舌の縁、下面で発生するがんです。

中高年の男性に多く発症しますが、若年層にもまれに見られます。初期症状としては、舌のびらんや潰瘍、ざらざらした顆粒状の表面、白い斑点が見られ、人によっては口腔内の痛みや出血を伴う場合もあり、腐敗臭を放つようになります。

症状が進行すると、痛みが激しくなり舌の動きも悪くなる上、ものを飲み込むのも辛くなるほど、言語障害や摂食障害の症状が現れます。

原因としては飲酒や喫煙、虫歯、歯並びが悪いなどが言われています。また、舌がんの中には、早い段階から頸部リンパ節に転移して急速に進行するたちの悪いタイプのものがあるのが特徴で、十分に注意しなければなりません。

治療としては基本的に外科療法になりますが、必要に応じて放射線治療や化学療法も行われます。

いかがでしたでしょうか。舌が白いことに気づいたときはどうすればいいのか迷ってしまいますよね。まずは口腔内を清潔に保つことを意識し、それでも改善しない場合や、疼痛がある場合などは医療機関を受診するようにしましょう。

白水寛理

九州大学病院 脳神経外科 医師   九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。 日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

プロフィール

関連記事