打撲?それとも黄疸?黄色いあざの原因とメカニズム
体に黄色いあざができる原因としては、まず打撲による内出血が考えられます。また、打撲のように外部からの衝撃が加わっていないのに、黄疸によって黄色いあざのように見える場合もあります。ここでは黄色いあざの原因になる打撲と、黄色いあざのような症状が出ることがある黄疸について解説します。
打撲による黄色いあざ
黄色いあざの症状で考えられる原因のひとつに、打撲が挙げられます。
通常、打撲する、あるいは固いものがぶつかるなどの外部からの衝撃によって内出血が引き起こされます。
打撲とは物に強く打ち付けて転倒するなどした場合に起こる怪我です。
打撲は「打ち身」とも呼ばれていて、大半の場合において患部が動かせて、傷口はなく内出血(あおたんや黄色いあざ)ができます。
打撲に伴って、強い衝撃を受けて皮膚の損傷状態が激しい場合は、打撲した部位とその周辺部が赤くなる、あるいは内出血により青紫色に変色したりする場合があります。
特に、向こう脛(弁慶の泣き所と言われる部分)や太もも、肩などは打撲しやすい部位です。
内出血は皮膚の下の細胞組織に存在している血管が、外因的または内因的な要因によって出血を引き起こした状態を示していて、内出血が形成されて数分も経過しないうちに、皮膚の表面に青紫色のあざが作られます。
また、内出血を起こしている場合には、患部の周囲に熱感や腫れなどの所見がみられることがよくあります。
打撲はスポーツが原因で起こることが多く、バスケットボールやサッカー、柔道など相手選手との衝突で打撲が起こるケースが多く見られます。
スポーツなどによって打撲すると、特定の場所が痛み、内出血や黄色いあざが見られて、痛みの程度に個人差はありますが、痛みが大きい場合は患部を動かすことが困難になります。
打撲をした際には、安静にして打撲した部位を冷却すると良いでしょう。
患部を冷やすと楽になる場合や動かせる場合は打撲の可能性が高いですが、痛みが続く、あるいは痺れやめまいなどがあるときは整形外科など医療機関で診察を受けましょう。
打撲が治るにつれてあざの色が変化する
打撲によって形成されたあざの色は発症時から、赤から紫、青紫から緑・茶・黄色というような変化をたどります。
ただし、高齢者の方の皮膚は、内出血を起こすと吸収が遅くなり、治癒するまでの期間も長い傾向があります。
もともと血管自体も強くないため、内出血もできやすくなりますし、発生や治癒経過も個々によって異なります。
また、打撲部位が皮膚の深部、皮下脂肪組織の深い部分に発生すると、あざは黒っぽく見える場合もあります。
黄色いあざのように見える黄疸とは
黄疸では、血中にビリルビン(黄色の色素)が過剰になって高ビリルビン血症を発症することで、一般的に皮膚や眼球粘膜が黄色くなる症状が現れます。
黄疸自体はあまり自覚的な症状を引き起こしませんが、患者さん自身は黄疸に気付かずにしばしば家族や職場の同僚から黄色いあざができたなどと指摘されることもあります。
ビリルビンの血中濃度が高くなると、痛み症状はほぼありませんが、胆汁が分解されたときにできる物質が体内に蓄積することで、全身にかゆみが生じることがあります。
黄疸を引き起こす肝疾患など多くの病気は、他の症状や深刻な問題を引き起こして、嘔気、嘔吐、腹痛、くも状血管腫(皮膚にみられる小さなクモのような形をした血管)などの症状が合併することがあります。
黄疸ができるメカニズム
黄疸とは目に見える皮膚の黄染の意味ですが、正確にはビリルビンという物質による皮膚の黄染と考えられます。
成人の黄疸の原因は過剰なビリルビンですが、ビリルビンは、古くなった赤血球や損傷した赤血球を再利用する正常なプロセスのなかで、ヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球の一部)が分解されるときに生成されます。
正常であれば、ビリルビンは肝臓で処理されて消化管へ排泄されますが、特定の肝障害や胆管の閉塞、赤血球が正常より速く破壊される溶血などの原因があるとビリルビンは血液中に蓄積して黄疸が生じます。
一般的に、ビリルビンは、古くなった赤血球や損傷した赤血球を再利用する過程のなかで、ヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球の一部)が分解されるときに生成されて、血流によって肝臓に運ばれ、そこで胆汁(肝臓で作られる消化液)と結合します。
ビリルビンは胆管を通って消化管に移動して、大部分のビリルビンは便中に排泄されます。
ビリルビンのなかでも、少量は尿中に排泄されますが、ビリルビンが肝臓や胆管を正常に通過できない場合にはビリルビンは血液中に蓄積して、皮膚に沈着して黄色いあざができることがあります。
また、黄疸の患者さんの多くは便とともにビリルビンが排除されず、尿中に排泄されるビリルビンの量が増加することによって尿の色が濃くなり、便の色が薄くなります。
黄疸の原因疾患
黄疸を引き起こす主な原因は、ウイルス性肝炎、アルコール性肝疾患、胆石症、腫瘍による胆管閉塞などが挙げられます。
また、ぶつけていないのに黄色いあざのように黄疸ができる原因疾患として、肝機能障害が挙げられます。
肝機能障害は、肝細胞が何らかの原因で障害を受けて、肝機能が低下して血液を凝固させるたんぱく質の合成機能が低下する病気です。
発症原因には、B型肝炎やC型肝炎などウイルス感染、長期の過剰なアルコール摂取、脂肪肝の悪化、薬の副作用などさまざまです。
肝機能障害に伴って、自覚症状がほとんどないため、非常にわかりづらく、気づいたときは進行している場合もあります。
肝機能障害の代表的な症状として黄疸が現れることが知られており、外傷などぶつけた記憶がないにもかかわらず皮膚に黄色いあざが出現することがあります。
特に、胆管の狭窄や閉塞が直接的な原因となって、胆汁の流れが妨害されて、血液中にビリルビンが逆流したために生じた黄疸を閉塞性黄疸と呼称しています。
主に、胆管の狭窄、あるいは閉塞の根本的な原因として最も頻度が高いのは胆管結石と考えられています。
胆管内に生じた結石や、胆嚢から胆管内に落下してきた結石が胆汁の流れを妨害する、あるいは胆管周囲に認められる悪性腫瘍が胆道を閉塞させて黄疸を発症させる原因となります。
他にも、胆管の粘膜から生じる胆管がん、あるいは膵臓の悪性腫瘍が巨大化して膵内を通る胆管を圧迫することで胆汁の流れが妨害されて黄疸の症状が認められることもあります。
また、長期間にわたって大量に飲酒することに伴って罹患するアルコール性肝疾患も黄疸を発症する原因になりますし、それ以外にも毒素、および一部のハーブ製品なども肝臓に悪影響を与えて黄疸を発症する可能性が懸念されています。
まとめ
これまで、黄色いあざができるメカニズムと見分け方などを中心に解説してきました。
黄色いあざができる原因は、何かに体をぶつけて打撲するなどの外部からの衝撃によって皮膚や皮下組織を壊してしまい、出血が体の中にとどまることで引き起こされます。
また、肝臓が悪い方の場合には黄疸が出現して身体の皮膚などに黄色いあざ所見が認められることがあります。
黄疸の症状が、上肢や手掌部に出現することもありますが、腕や手のひらが黄色くなった場合には、打撲など黄疸以外の可能性も考えられます。
黄疸の場合は、腕だけでなく白目も黄色くなるため、両者を簡単に鑑別するために、まずは白目の状態を評価して、眼球結膜が黄色くないのであれば、黄疸ではないと言えるでしょう。
心配であれば、整形外科や皮膚科、消化器内科など専門医療機関を受診しましょう。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。