気持ち悪い時にとる体勢は?悪心・嘔吐・めまいの対処法
気持ち悪くて吐きそうになったとき、姿勢を工夫することで症状の緩和につながることがあります。気持ち悪くなったときの原因や状況の違いによって、とるべき体勢は異なります。ここでは気持ち悪くなる原因と、原因別の対策について解説します。
目次
気持ち悪くて吐きそうになる原因
気持ち悪くて吐きそうになるときの嘔吐反応は、中枢性嘔吐と末梢性嘔吐に分けられます。
中枢性嘔吐
脳内にある嘔吐中枢が刺激を受けることによって起こる嘔吐反応です。
特に、くも膜下出血・脳出血、脳腫瘍、髄膜炎などの脳の病気によって脳圧が高くなったとき、メニエール病や乗り物酔いなど内耳に刺激を受けた場合、抗がん剤やアルコールなどの薬の影響、ホルモン・電解質の異常、腎臓病などが原因で起こります。
末梢性嘔吐
末梢性嘔吐とは、主に消化器疾患である急性胃腸炎や胃・十二指腸潰瘍、腸閉塞、あるいは肝臓・胆のうの病気(胆のう炎・胆管炎、胆石、急性膵炎など)、または腎臓(慢性腎臓病、腎盂腎炎など)や生殖器(婦人科系・泌尿器系)の病気の場合に認められる症状です。
内臓からの反射により嘔吐が現れることもありますし、急性心筋梗塞のときに見られる悪心・嘔吐も反射性嘔吐のひとつと考えられます。
【原因別】気持ち悪い時にとる体勢
気持ち悪くなったときに体勢を変えることで症状が和らぐことがあります。どのような状況で気持ち悪くなったのか、何が原因で気持ち悪くなったのかによってとるべき体勢は異なります。
悪心があるとき
悪心がある場合には、気持ちをまぎらわせるために「背中をさすってもらう」「窓を開けて空気を入れかえる」「横向きで寝る」「冷たい水でうがいをする」「リラックスをする」などを試してみましょう。
不安や緊張が原因で起こる悪心や嘔吐症状については、心身をリラックスさせるために、ベッドのギャッジアップやクッションの使用などで、楽に感じられる姿勢を取ることが重要です。
特に、リラックスできる姿勢としては、足を肩幅に開き、ひざに手をのせて、ラクな姿勢でいすに腰掛けるとよいでしょう。
その際には、鼻からゆっくりと息を吸い込み、口または鼻からゆっくり息を吐き出すという呼吸法をとるように意識してみましょう。
日頃から、姿勢が悪いと不必要な負担が体のあちこちにかかり、疲労度が増してさまざまな不調が出やすくなりますので、休憩時間にストレッチなどを取り入れて、リラックスできるように努めましょう。
機能性ディスペプシアの場合
悪心症状を引き起こす原因疾患のひとつに機能性ディスペプシア(FD)が挙げられます。
機能性ディスペプシアは症状の原因となる器質的疾患を認めない、胃・十二指腸領域に起因する不快な慢性症状がある症候群を言います。原因としては、主に胃の蠕動運動に関する機能障害、内臓の知覚センサーが通常より過敏になっている、あるいは心理的なストレスなどが挙げられます。
機能性ディスペプシアに対しては、骨盤が立った状態、肩が開いた状態、首があまり前に出すぎていない状態を意識することで、胃の不快感などの症状の改善が期待できます。
気道閉塞の危険があるとき
気道閉塞は、食事中に起こることがよくあります。
特に、成人の場合は、肉片による気道閉塞が最も多く、高齢者は餅、子どもはさまざまな食べ物が気道異物となります。
特に、高齢者の場合、吐き続けることで吐物が誤って肺に入ってしまい、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)や窒息を引き起こすことがあります。
また、意識がなくなると顎、頸、舌などの筋肉が緩み、舌の付け根(舌根)が気道に落ち込んで気道が狭められたり、塞がれたりして命にかかわることがあります。
気道閉塞を防ぐためには、傷病者の肩と腰に手を当て静かに横向きの姿勢に引き起こし、大腿部で傷病者の体を支えながら、下あごを前に出して気道を確保するようにします。
傷病者の上側の膝を約90度に引き寄せ、傷病者が後ろに倒れないようにすることで、舌根沈下や吐物による窒息を防ぐことができます。
逆流性食道炎の場合
逆流性食道炎では、下部食道括約筋の機能が低下することで、胃酸が逆流を起こして食道に炎症が広がります。また、食道の蠕動運動が悪くなると胃の内容物が一時的に逆流した際に迅速に胃に送ることが困難となり、食道にさらに炎症を惹起させることに繋がります。
逆流性食道炎は、加齢・食事の内容・肥満・姿勢などによって、食道を逆流から守る仕組みが弱まるか、胃酸が増えすぎることで胃液が逆流するために起こります。
逆流性食道炎によって気持ち悪くなったときは、頭の位置を高くし、左を下にして横向きにし、全身の緊張をほぐすために膝を深く曲げて、意識的にゆったりと腹式呼吸などをして、気分を楽にしましょう。
頭を冷やしたり、胃を安静にするためにおなかに氷のうなどを置いたり、軽く目を閉じたりして静かにしていましょう。
つわりの場合
妊娠するとお腹が大きくなり、腹部の圧迫感から寝苦しくなって、寝返りが打ちにくくなり、充分な睡眠がとれなくなることも多いため、妊娠中の安眠対策のひとつとしてシムス位のとり方を覚えておくことを推奨します。
シムス位とは、妊娠中でもリラックスして睡眠がとれる寝姿勢のことをいいます。左側を下にして横向きになり、右足をクッションなどの上に乗せるのが一般的です。シムス位がおすすめなのは、特に腹部の重みが増す妊娠後期です。
また、背中が布団につかないことで蒸れにくいため、夏に体温が上がって眠れないときにも有効です。
良性発作性頭位めまい症の場合
良性発作性頭位めまい症になりやすいのは、長時間、頭を動かさず同じ姿勢でいる人であると考えられています。
耳鼻科で良性発作性頭位めまい症と診断される方の約半数はデスクワークを行っていると言われています。また、低い枕で寝ている人、寝返りの回数が少ない人も、良性発作性頭位めまい症になりやすいと考えられています。
良性発作性頭位めまい症は、デスクワークなど、長時間同じ姿勢をしている人に発症することが多いので、日頃から同じ姿勢をなるべく避けて適度に運動することを心掛けましょう。
まとめ
これまで、気持ち悪い時にとる体勢、悪心・嘔吐・めまいの対処法などを中心に解説してきました。
悪心・嘔吐が同時に出るか、またはいずれかのみの症状が現れるかによって、原因と考えられる病気が異なり、主に中枢性嘔吐と末梢性嘔吐の2種類があります。
日頃から姿勢が悪いと、肩こりや頭痛のみならず、悪心やめまい、便秘・下痢・イライラなどの症状を引き起こすきっかけとなりますし、こうした症状がいったん出てしまうと回復させるのに時間がかかってしまい、全身症状につながることもあります。
気持ち悪くなる原因や状況に応じて、適切な姿勢をとることで症状を少しでも緩和できるように努めましょう。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。