蕁麻疹の症状の特徴…夜になると体が痒くなる理由は?

ストレス性皮膚炎、首 アイキャッチ
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夜になると体が痒くなって仕方がないという人はよくいるでしょう 。その原因の一つは蕁麻疹です。蕁麻疹とはどのようなものなのでしょうか。また蕁麻疹以外に夜に痒みが出て来るのはなぜなのでしょうか。くわしく見ていきましょう。

蕁麻疹とは

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蕁麻疹というのは、ある部分に限局した膨疹のことを指します。症状は一過性で、必ず痒みを伴います。その正体は、 皮膚の真皮層という層に水分がにじみ出ることによって出てくる限局性の浮腫です。この浮腫は、ヒスタミンという物質が血管に作用することによって起こってきます。 

蕁麻疹には、アレルギー性の蕁麻疹と、非アレルギー性の蕁麻疹があります。また、急性の蕁麻疹と慢性の蕁麻疹があります。

アレルギー性と非アレルギー性の違い

アレルギー性の蕁麻疹は、何らかの特定の物質に触れたり、物質が体の中に入ってきた時に、免疫反応が異常になり、ヒスタミンを放出する肥満細胞という細胞が活性化され、スタミンが放出されます。

一方で、非アレルギー性の蕁麻疹は、何らかの物質が肥満細胞に直接作用することによって、 ヒスタミンが分泌されます。薬剤や造影剤、化学接触物質などによって起こってくることが多いです。

急性と慢性の違い

蕁麻疹にはもう一つの分類法として、急性の蕁麻疹と慢性の蕁麻疹があります。先ほど述べたように蕁麻疹というのは一過性に起こってくるものですから、慢性でも 急性でも、一度の蕁麻疹で症状が起こってくるのは数分から数時間になります。しかしこのような蕁麻疹の発作を何回も繰り返し、その発作が1か月以上繰り返す場合を 慢性蕁麻疹と呼びます。対して、1か月以内に発作が起こらなくなるものを急性の蕁麻疹と言います。

蕁麻疹の注意点としては、全身の症状としてショックや呼吸困難を合併することがあることです。そのため蕁麻疹が出た時には、少しでも様子がおかしいと感じた場合にはすぐに病院を受診する必要があります。

蕁麻疹の症状の特徴

体のかゆみに悩む女性

 蕁麻疹による症状の特徴を確認しましょう。

痒みを伴う

蕁麻疹は必ずかゆみを伴います。 痒みがなければ何らかの別の皮膚疾患を疑うことになります。

肥満細胞からヒスタミンが分泌されることによって蕁麻疹が起こってくるのですが、皮下組織にあるかゆみを検知するセンサーは、ヒスタミンによって刺激されます。ヒスタミンが分泌されると必ず 痒みを感じることになるのです。 

急激で一時的な症状が多い

蕁麻疹は必ず一過性に起こるものです。数分から数時間する間に、一度は必ず消失します。

また、 肥満細胞からのヒスタミンの分泌は、一度に大量に起こりますから、症状が起こるのは急激に起こることがほとんどです。 

夕方から夜に症状が出やすい 

蕁麻疹には、発症しやすい時間が決まっているという特徴があります。だいたい20時から24時の間に蕁麻疹が起こる場合が非常に多いと言われています。 

汗をかいたり、布団の中で皮膚が擦れるといったことを要因として、蕁麻疹が発症することもあります。温まることによっても蕁麻疹は起こってきますから、入浴したり、布団に入ったりといったことを契機に蕁麻疹を発症することがあるのです。 

夜になると体が痒くなる理由

蕁麻疹に限らず、夜になると体が痒いという症状が出てくる場合が多くあります。 なぜ夜になると体が痒くなるのでしょうか。

体温が上昇する

ひとつは体温の上昇によるものです。入浴や食事、飲酒、布団に入るなどの、夜にあるイベントは体温を上昇させる要因となります。

痒みを感じる神経の働きというのは、温まると活性化されます。そのためこれらの要因によって、体が温まってくると神経が活性化され 痒みが増してきます。

特に寝る時というのは副交感神経が活性化されます。副 交感神経が活性化されると、皮膚の温度が上昇するため、より痒みが起こってきやすくなるのです。

肌が乾燥する 

肌の乾燥も、かゆみをきたす原因となってきます。

お風呂やシャワーなどに入ると、シャンプーや石鹸などによって、皮脂が除去されて肌の乾燥が進みます。肌が乾燥すると、刺激に敏感になりますから、ちょっと触っただけでもかゆみを感じるようになるのです。

入浴した後には着替えをしたり布団に入ったりといったことによって、肌に摩擦の刺激が加わります。この摩擦の刺激もかゆみを強くする要因となります。

さらに乾燥肌に対して汗が出るというのも刺激になり、痒みの原因となります。夕食をとることによって発汗が増して痒みが強くなってくることもあります。

痒みに関心が集中する 

特に何かに集中しているわけではない場合に、かゆみに意識が集中することによって、より強い痒みを感じることがあります。反対に他のことに集中している場合には、あまり痒みを感じなくなるのです。

日中であれば、仕事や勉強に集中して夢中になっていたり、職場や学校での対人関係などに関心が集中していたりするため、痒みにあまり意識が向きません。しかしそれが夜になると、リラックスすることによって、集中するものがあまりなくなってきます。こうなると痒みに集中し、かゆみがあることに気づいてしまうのです。 

ストレスによるヒスタミンの分泌

ストレスによるヒスタミンの分泌も、痒みの原因となります。

ヒスタミンが分泌されることによって、皮膚にある痒みのセンサーが刺激され痒みを感じるようになります。

昼間、仕事や人間関係などで過度にストレスを受けると、交感神経が優位な状態が続きます。このように交感神経優位な状態が続くと自律神経のバランスが崩れてしまいます。 

自律神経のバランスが崩れると、アレルギー症状の悪化をきたしてしまいます。こうなってしまうと、アレルギーを調節する肥満細胞からヒスタミンが過剰に分泌され、かゆみが起こってくるのです。

寝る時には副交感神経が優位となって十分な睡眠を取れるようにするのですが、 自律神経のバランスが崩れてしまうと、眠りが浅くなり、睡眠障害から睡眠不足が起こってきます。 睡眠不足で疲れがたまると、さらにストレスを感じるという悪循環に陥ってしまいます。

郷正憲

徳島赤十字病院 麻酔科 郷正憲 医師 麻酔の中でも特に術後鎮痛を専門とし臨床研究を行う。医学教育に取り組み、一環として心肺蘇生の講習会のインストラクターからディレクターまで経験を積む。 麻酔科標榜医、日本麻酔科学会麻酔科専門医、日本周術期経食道心エコー認定委員会認定試験合格、日本救急医学会ICLSコースディレクター。 本名および「あねふろ」の名前でAmazon Kindleにて電子書籍を出版。COVID-19感染症に関する情報発信などを行う。 「医療に関する情報を多くの方に知っていただきたいと思い、執筆活動を始めました」

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