怠惰な生活で熟成された”しこりニキビ”でプチ引きこもり状態に!

しこり:ニキビ アイキャッチ
体験談

ポコっと膨らんだニキビが現れ、触れただけで痛くてたまらない。中に芯のあるニキビができて皮膚が熱を帯びたようになっている…。
30代の大人女性のなかには、こうした「しこりニキビ」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「しこりニキビ」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。 

不調のオンパレードの末に現れた巨大な“しこりニキビ”に撃沈!

肌トラブルに悩む女性

玲子さん(38歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。

長く続いたリモートワークで体がなまってしまったのか、あらゆる不調に悩まされています。特にひどいのが一向に改善しないニキビ。
どんなに一生懸命スキンケアをしても小さくなる気配がなく、どんどん成長して、今ではしこりのような芯のある「しこりニキビ」に熟成されてしまいました。
考えてみれば、電車での遠距離通勤がなくなったのをいいことに、夜遅くまでお菓子を食べながらアプリで映画を観続け、運動もしないせいで便秘もひどくなる一方。
こんな生活をしていては、ニキビを治すどころか育成しているようなものなのですが、だからといってどうしたらいいのかもわかりません。
清潔にしなくては、と焦る余り1日3回も洗顔してしまったのがダメだったのか、日毎に膿んでジクジクと妙な痛みを発する大きなニキビを眺めてはため息をつく日々です。
こんな姿を見られるのも嫌で、最近では、コンビニに食事を買いに行く以外はどこにも行かないプチ引きこもり状態になってしまいました。
このままこんな自堕落に過ごしていてはニキビも治らないどころか、心身共におかしくなりそうです。まずはニキビを治して心身ともに鍛え直そうと思っているのですが、どうしたらこの硬いしこりのあるニキビは治るのでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
しこりのあるニキビは普段のスキンケアではなかなか改善しにくく、放置してしまうことで色素が沈着してしまうこともあるため、早めのケアが必要です。
今回は、しこりのあるニキビができる原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

炎症の進行と「血」の巡りの悪化がしこりニキビの原因

ニキビができるメカニズム

しこりニキビは、主にアクネ菌の増殖とホルモンバランスの乱れによって生じます。
毛穴に汚れや皮脂が詰まったまま放置することによって、アクネ菌が皮脂を餌に増殖して炎症が起きます。炎症が毛穴の奥まで進むと、皮下に「硬結(こうけつ)」ができ、これをしこりニキビといいます。

また、東洋医学では「肌は内臓の鏡」と言われ、身体の状態が皮膚に反映されると考えられています。
特にしこりのあるニキビは、体内の「血(血液)」の巡りが悪く、体に老廃物が溜まりやすい方に生じやすいとされています。
次の章では、こうしたしこりニキビ改善のための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

しこりニキビを改善するための3つのセルフケア

1.食生活でしこりニキビを改善しましょう

バランスの良い食事

しこりのあるニキビができてしまったときは、「血」の巡りを改善することが大切です。
しこりニキビの原因となる糖分や乳製品の摂りすぎを避け、肌に良い魚や良質な油、色の濃い野菜などを毎日のメニューに取り入れ、バランスよく摂るように心がけましょう。
あわせて、体の中の老廃物を流してくれる食物繊維の豊富な果物なども摂るとさらに美肌効果が期待できます。

2.生活習慣を見直し、ホルモンバランスを整える

しこりニキビができる要因のひとつ、ホルモンバランスの乱れには、睡眠不足や運動不足、飲酒・喫煙習慣など、さまざまな生活習慣の乱れが関連しています。
炎症のひどくなったニキビを短期間で治すのは難しいことですが、ニキビの炎症が起こりづらい肌に改善していくことは、生活習慣を整えることにより十分可能と言えます。
1日三食きちんと食べ、適度な運動をして決まった時間に起床・就寝するなどの基本的なことから実践し、肌のターンオーバーを正常にし、炎症が起こりづらい肌に整えていきましょう。

3.ツボ押しでニキビのできにくい体質に改善する

ツボ_合谷

しこりのあるニキビなど、首から上に現れる炎症やトラブルの解消に効果的なツボをご紹介します。ニキビを根本から解消し、ニキビのできにくい体質に改善するためにも、継続的に刺激しましょう。

◎合谷(ごうこく)
手の甲の親指と人差し指のつけ根にあるツボ。
炎症が進行してしまったしこりニキビはもちろん、肌荒れや胃腸、呼吸器などの不調、ホルモンバランスの乱れによる月経トラブルなどにも効果的な万能なツボです。
反対側の手の親指や綿棒などを使い、骨のキワを押し上げるようにして心地よさを感じる程度の強さで3秒押しては3秒休む動作を2分ほど繰り返します。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

漢方薬

しこりニキビを改善するために、抗菌剤やビタミン剤の服用、外用薬の塗布などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、荆芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)です。皮膚の深いところにしこりをともなうニキビができてしまう方の、体内に溜まった余分な熱を逃して炎症を抑え、肌のトラブルを鎮静させる効果があります。
また、しこりが改善しづらく、ニキビ跡が残ってしまう方には、血流を改善してクマなども改善し、老廃物を出しやすくする薏苡仁を配合した桂枝茯苓丸加薏苡仁(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)も良いでしょう。

ケアをしても改善しない場合は皮膚科で治療しましょう

肌の悩みを相談する女性

今回は、しこりニキビに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
こうした気になるニキビの改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてください。
セルフケアや漢方を試しても痛みが酷く改善の傾向が見られないときには、跡を残さないためにも皮膚科で治療を受けることが大切です。
さらに、しこりニキビと見た目が似ている「粉瘤(アテローム)」はまったく別の皮疹ですので、治療の方法も異なってきます。自分で判断できない場合は専門医に診てもらってくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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