2時間おきに目が覚める!中途覚醒などの熟睡できない病気

二時間おきに目が覚める アイキャッチ
お悩み

寝てもすぐに目が覚めてしまう。そんな経験はないでしょうか。なかなか寝つけないという方もいるでしょう。ここでは中途覚醒など、熟睡できない病気についてみていきましょう。

2時間おきに目が覚めるのは中途覚醒かも

深夜を指す時計

中途覚醒とは、睡眠中に何度も目が覚めて、その後、なかなか寝つけない状態です。一晩に数回、数秒目覚める程度の場合や、一度目が覚めても数分ですぐに寝付ける場合は基本的に問題はありません。

しかし、本人が自覚するくらいはっきりと目が覚め、再度寝つけなかったり、寝てもまたすぐに起きてしまうと、これは中途覚醒となります。

歳をとるにしたがって眠りがだんだんと浅くなり目覚めやすくなります。中途覚醒は日本人の成人の不眠で最も多く、中高年・高齢者に多くみられるとされていました。しかし、コロナ禍以降は20代や30代の若者にも症状が見られるようになりました。

また、男性よりも女性の方が多いと言われています。これには夜間に子どもに起こされる機会が多いことも関連しているかもしれません。

中途覚醒の原因

不眠に悩む女性

さらに在宅ワークなどが増えてきたことによって運動量が減ってしまい、体が疲れていない状態であるために眠りが浅くなります。最初はストレスで眠れなかった状態が、次第に眠れないことがストレスとなることもあります。

中途覚醒は、その原因を解明することで改善しやすくなるので、自分の原因について考えてみることが大事です。中途覚醒の原因としては次のようなものが考えられます。

ストレス

一般的に睡眠時は体をリラックスさせる副交感神経が優位となります。しかし、ストレスがかかると副交感神経優位とはなりません。人間関係に悩んでいたり、残業が多くてなかなか気が休まらないなどがある場合、帰宅した後もリラックスすることができないため、眠ってからも緊張状態が続き、目が覚めやすくなります。

コロナ禍による環境変化も大きく影響しています。こういった場合も緊張状態となるため眠りが浅くなります。また、不安から飲酒量が増えることで睡眠を妨げてしまうこともあります。

生活リズムの乱れ

朝、日光を浴びることで、脳から睡眠い関わるホルモンであるメラトニンが分泌されます。しかし、夜勤や夜更かしなど、生活リズムが乱れて日光を浴びる機会が減ってしまうと、メラトニンが分泌されないため、睡眠の質が下がってしまいます。

また、就寝前のスマホやパソコンの画面の光を見ることによって脳が刺激され、脳は昼間だと錯覚することで、中途覚醒につながる可能性もあります。

外的要因

騒音や窓から入る光などの外的要因によって目が覚めてしまうこともあります。換気扇やテレビの音、ドアの開閉音などが発する程度の音量でも、半数の人は睡眠が阻害されるとも言われています。睡眠時には、家の外からの騒音や光を遮断し、テレビやラジオを消しましょう。

加齢

加齢によって深く眠る力が低下すると言われています。深い睡眠が減る代わりに浅い睡眠が増えることで、覚醒しやすくなり、中途覚醒が起こりやすくなります。このような睡眠の変化は、加齢によって起こる自然なことです。また、頻尿も中途覚醒の原因のひとつとして挙げられます。高齢になると膀胱容量の低下や前立腺肥大等によって頻尿が起こりやすくなります。

病気や生活習慣

血圧が高い

質の悪い睡眠は生活習慣病の罹患リスクを高め、かつ症状を悪化させることがわかっています。不規則な食事や運動不足、喫煙やアルコール過飲によって睡眠状態が悪化するため、これらの生活習慣を改善することで良質な睡眠へとつながります。

また、さまざまな病気が原因で中途覚醒してしまう場合や、中途覚醒が病気の原因となってしまう可能性もあります。下記にいくつか原因を挙げます。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に一時的に呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群は、夜間の頻回の呼吸停止によって睡眠が浅くなりやすく、夜中に目覚めてしまうことがあります。主に気道が狭くなることで無呼吸が生じるため、肥満体型の人や、大きないびきをかいている方がかかりやすい病気として知られています。また、加齢によって気道を支える力が弱まることで、症状が出る場合もあるため、注意が必要です。

高血圧

高血圧は交感神経が優位になって緊張や興奮しやすくなります。そのため、中途覚醒につながっていきます。

うつ病

うつ病は自律神経や精神面が不安定なため、ストレスを感じ続けています。そのため、中途覚醒や早朝覚醒などの不眠症状が現れることが多くあります。

他にもある熟睡できない睡眠障害

寝付けない女性

これまで見てきた中途覚醒以外にも熟睡できなくなる状態があります。睡眠障害は中途覚醒、入眠障害、早朝覚醒、熟眠障害の4つのタイプに分けられます。

入眠障害

入眠障害とは、寝床に入ってもなかなか寝つけない、眠りにつくのに30分〜1時間以上かかり、それを苦痛と感じる状態のことを指します。

早朝覚醒

早朝覚醒とは、自分の望む起床時刻より2時間以上早く目覚めてしまう状態です。歳をとると体内時計のリズムが前にずれやすく、また若い人に比べて夜遅くまで起きているのがつらくなるので、早寝早起きになります。この早朝覚醒は高齢者によくみられます。また、うつ病の方にもよくみられる症状となります。

熟眠障害

熟眠障害とは、睡眠時間は十分確保できているのに、ぐっすり眠った感じが得られないことや、眠りが浅い状態のことを指します。睡眠時無呼吸症候群の人や寝ている間に足がぴくんぴくんと動く周期性四肢運動障害の人など、睡眠中に症状の現れる病気が関係していることもあります。

睡眠障害を改善するには?

カーテンを開けて朝日を浴びる女性

睡眠障害を改善するためにはどうした対策が必要なのでしょうか。下記に改善するために必要な対処法を挙げていきます。

太陽の光を浴びる

生活リズムが乱れている方は、起きたらまずカーテンを開け、太陽の光を15秒ほど浴びましょう。朝に強い光を浴びると体内時計がリセットされ、約14〜16時間後に睡眠をつかさどるメラトニンが分泌されます。そのため、夜になると自然と眠くなるサイクルを身につけることができるようになります。

適度な運動を取り入れる

ゆっくり時間をかけて体を動かすストレッチは、筋肉を緩めることでリラックス効果のある副交感神経を優位にしてくれるので寝つきが良くなります。運動不足によって体が疲れていない人にオススメの対処法です。

寝室を快適にする

物理的な音、振動があると、たいていの人は目が覚めてしまいます。そのような騒音がある方はまずその騒音の対策をしましょう。その他、部屋の温度、湿度についても快適に過ごせるように調整が必要となります。

寝る前のスマホは控える

夕方以降、就寝前に、スマホを操作する時間が長くなると、寝つきが悪くなったり、浅い眠りが起きる原因になります。夕方以降は、なるべく光刺激を受けないよう、室内の照明を暗くしておくことも大切です。

熟睡できる入浴の仕方

眠る1〜2時間程度前に38℃程度のぬるめのお湯で25〜30分ほど入浴すると、副交感神経が優位になってリラックス効果が高まるので、ストレスで睡眠が浅くなっている方にオススメです。

また、入浴によって一時的に上がった体温が下がるタイミングで眠気を誘発させることができます。腹部までつかる半身浴の場合は、40℃程度のお湯に30分ほど入浴すると同様の効果があります。ただし、入眠直前に42℃以上の熱いお風呂につかると、交感神経が働くので気をつけましょう。

いかがでしたでしょうか。夜中に何回も起きたり、なかなか寝つけない中途覚醒には原因があります。その原因を突き止めて、自身に合った対処法を行うことで良質な睡眠を得ることができるようになります。

白水寛理

九州大学病院 脳神経外科 医師   九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。 日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

プロフィール

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