原因はアイスクリームの食べ過ぎ!?急に襲う胃の痛みに丸一日悶絶!

体験談

冷たいものを食べ過ぎたら急激に胃が痛みはじめた。睡眠不足が続いたらズキズキする胃の痛みに襲われた…。

こうしたつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「急な胃痛」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

急な胃の痛みで一日中悶々…ズキズキする痛みはどう治せばいい?

友里さん(42歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

先日、びっくりするほど急激な胃の痛みに襲われて、丸一日悶々と布団をかぶって苦しんでいたのですが、またあんなことがあったらどうしようかと悩んでいます。
実は私、ちょっとでもストレスが溜まったり嫌なことがあったりすると、甘いものが食べたくて仕方がなくなるんです。特にお気に入りなのがカップ入りの高級アイスクリームで、冷蔵庫の奥の方にいつも5〜6個は常備しておかないと落ち着かないほど…。
先日胃の痛みが起こった日も、朝から主人と喧嘩してイライラしていたので、主人を玄関まで送ったその足でリビングの冷蔵庫に直行、とっておきのアイスクリームをガツガツ食べ始めました。食べているうちに「こっちは朝ごはんも食べすに朝食作ってお弁当作って、洗濯機回して家族のために働いているのに、なんで朝からブツブツ文句ばっかり言ってくるんだろう」など、頭の中をエンドレスに主人への悪口が巡ってしまい、気づいたら3つめのアイスクリームが空っぽに!
朝ごはんを食べていないせいでお腹がすいていたのもありますが、さすがにこれはまずい、と思った瞬間、胃が急に差し込むように痛み始めたんです。
そのときはあまりに痛くてその場にしゃがみこんでしまったのですが、なんとか胃薬とお水を片手に寝室へ。やっと痛みが和らいでくる頃にはもう外は暗くなっていました。
あれ以来なんだか恐ろしくてアイスクリームのストックは追加していません。
もしまた、こうした急な胃の痛みがまた起きたらどう対処すればよいのでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
胃の炎症は、急な血流や蠕動の低下、胃痙攣等によるものだと考えられます。
それでは今回は、急な胃痛の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

急な胃痛は胃の粘膜の炎症と「寒邪」が原因

急に起こる胃痛は、暴飲暴食や刺激物の摂取、ピロリ菌の急性感染、ストレスや生活習慣など、何らかの原因によって胃の粘膜に炎症が起きることによって生じます。
多くの場合は数日間胃薬を服用し、安静にすることで改善しますが、こうした急性の胃炎を何度も繰り返すことで慢性化することもあるため、注意が必要です。

また東洋医学では、急な胃の痛みは「寒邪(かんじゃ)」が胃に留まって筋肉が収縮し、「気(生命エネルギー)」が滞ることで痛みが増強されて起こると考えられています。

次の章では、このような「急な胃痛」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

急な胃痛を和らげる3つのセルフケア

1.温かい飲食物で胃と体を温める

東洋医学では、急な胃の炎症の多くは冷えにより悪化すると考えられています。
まずは、温かい飲み物や消化の良い温かいものを食べて胃や体を温めるようにすることが大事です。
胃が炎症を起こしているときは食欲がなかったり食べ物を受け付けなかったりする場合もあると思いますが、水分補給だけはしっかりするようにしましょう。
症状の強いときや嘔吐などがある場合は、白湯や常温のスポーツドリンクで水分補給し、食欲のないときは温めた牛乳や豆乳、胃痛の改善には生姜湯など飲むのもオススメです。

2.刺激物と嗜好品の摂取を控えること

急な胃痛の原因は、飲み過ぎ、食べ過ぎといったこと以外にも、コーヒーや緑茶に含まれるカフェイン、タバコ、アルコール類をはじめ、辛いものや脂っぽいものなど、胃にとっての刺激物を摂取することによっても起こります。
こうした刺激物は胃酸を過剰に分泌させたり、胃の粘膜を荒らしたり血流を低下させたりする作用があるため、胃の状態が回復するまでは避けるようにしましょう。

3.自律神経のバランスを整える

過労やストレス、睡眠不足によっても胃の炎症を招き、急な胃痛が起こることがあります。
胃腸の働きは自律神経と協調して働いているため、忙しさのあまり睡眠不足に陥ったり、ストレスが溜まってイライラしたりすることで自律神経のバランスが崩れると、胃の粘膜にも大きな悪影響を与えてしまうのです。
急な胃痛を防ぐためには、生活リズムを整え、しっかり睡眠時間を確保すること、ストレスを溜め込まずに上手にケアすることが大切です。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

急な胃痛を改善するために、市販薬や処方薬の服用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、六君子湯(リックンシトウ)です。冷えた胃腸を温め、胃腸にたまった余分な水分を排出して胃腸の働きをよくします。
また、安中散(アンチュウサン)もオススメです。冷えにより急な胃粘膜の炎症を起こした方の「気」の滞りを解消し、胃の炎症を改善する効果があります。
一方、筋肉の痙攣をともなうような胃痛のある方には、急激な「疝痛(せんつう)」に優れた効果を発揮する芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)も良いでしょう。

適切なストレスケアと生活改善で胃に優しい毎日を!

今回は、急な胃痛に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、胃を冷えから守り、刺激となる飲食物や嗜好品を控えることが大切です。
日頃の生活習慣を見直し、適切なストレスケアをするように心がけましょう。

また、こうした気になる胃の症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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