かかとのかゆみと皮むけで歩くたびに刺激が…もう出歩くのも嫌!
かかとが乾燥してお風呂上がりにムズがゆくなる。かきむしったかかとがガサガサに乾燥してストッキングが伝線してしまう…。
こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「かかとのかゆみ」をテーマに、薬剤師の中田早苗先生にお話を伺ってみました。
目次
かかとのかゆみで不健康な毎日…しつこい足のトラブルを解消したい
初美さん(59歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。
このところ足腰のだるさとともにむくみがひどく、足全体がなんだかパンパンにむくんでいるんです。皮膚もカピカピと乾燥したようになっていて、そのせいか、夜になると足がかゆくてかゆくて…。
特にひどいのが足のかかとで、ガサガサに乾燥して皮が硬くなり、かくたびにポロポロと皮がむけてきます。爪を立ててかきむしりたいのはやまやまなのですが、これ以上かくとひび割れから出血しそうなほど状態がひどいので、かくにかけずに悶々とする日々。
年のせいか、夜中によく目が覚めてトイレに行くのですが、スリッパを履いて歩くたびに、またかかとが刺激されてかゆくなることの繰り返しで、一向に熟睡できません。
足腰を鍛えるためにもウォーキングして体をスッキリさせたいとも思っているのですが、足裏を刺激するたびにかかとのかゆみと痛みがあるため、この頃は出歩くのも嫌になってしまいました。
健康のためにもこのかかとの症状をなんとかしたいです。何か良い方法はないでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
かかとのかゆみやトラブルは、歩くたびに刺激されて症状が繰り返すこともあるため、つらいですよね。
今回は、かかとのかゆみの原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。
かかとのかゆみは角質の乾燥と「腎」の衰えが原因
かかとのかゆみが起こるのは、主にかかとの角質層の水分不足による乾燥や、血行不良によるものと考えられます。
皮脂腺のないかかとは、カラダの中でも特に乾燥しやすく、手足の冷えなどから血行が悪くなることで、かゆみを生じやすくなります。
また、乾燥により角質細胞が剥がれると、本来は肌の奥にある神経線維が角質のすぐ下まで伸びて、少しの刺激でも反応しやすい状態になるため、かゆい部分をかくことで神経が刺激され、さらにかゆくなるという悪循環を引き起こしてしまいます。
また東洋医学では、生殖器やホルモンバランスにかかわる「腎(じん)」の働きが衰えること、また、「腎」に十分な栄養が運ばれないことにより、かかとのかゆみや乾燥などのトラブルが生じると考えられています。
次の章では、このような「かかとのかゆみ」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。
かかとのかゆみを解消する3つの対処法
1.入浴や足湯でかかとの血の巡りを良くする
かかとが乾燥し、角質が硬くなってかゆみが起こりやすくなっている場合は、入浴や足湯でかかとをしっかり温め、硬くなった角質を柔らかくしましょう。
お湯の中でかかとをマッサージし、血の巡りを良くすることもかゆみの改善や皮膚のターンオーバーの促進に有効です。
また、お湯の温度が高すぎると角質の皮脂を落とし過ぎてしまうため、40℃くらいに設定するのがオススメです。
古くなった角質がボロボロと剥がれてきている場合は、スクラブや軽石、ボディケア用のヤスリなどで軽くこすり落として丁寧に取り除きましょう。
2.かかとに潤いを与えて柔らかく整えておく
入浴や足湯をして、古い角質を取り除いた後は、皮膚から水分が蒸発する前にしっかりと保湿をしましょう。
できれば5分以内に保湿力の高いクリームを塗り、かかとを乾燥させないようにすることも大事です。
また、保湿した後に、シルクやコットンの天然素材のソックスを履いて過ごすと、さらにかかとがしっとりしてかゆみの症状が起こりづらくなります。
かゆみの症状を悪化させないためにも常にかかとの角質を柔らかく、しっとりとした状態に保つようにしましょう。
3.「腎」の働きを強化する食材を摂る
かかとまで経路が走る「腎(じん)」には、生殖器やホルモンバランスをつかさどる役割に加え、体の潤いをコントロールする働きがあるとされています。
「腎」が衰えると、必要な潤いを保てなくなり、肌に乾燥が生じるのです。
冷えやホルモンバランスの乱れ、血行不良や乾燥によってかかとにかゆみが生じている場合は、「腎」の働きを助ける食材を積極的に摂るようにしましょう。
◎「腎」の働きを助ける食材
黒豆・黒ごま・黒キクラゲ・桑の実・ブルーベリー・軟骨・豚足
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
かかとのかゆみを改善するために、市販の外用薬や処方薬などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)です。
かかとのかゆみに加え、加齢にともなうホルモンバランスの乱れや冷えの症状のある方の「気(生命エネルギー)」の巡りを良くして「腎」の働きを改善し、症状を和らげる効果があります。
また、虚弱体質で胃腸が弱く、冷えによる血行不良のある方のかゆみの症状には、体を温めて、ターンオーバーを整えることで症状を改善する真武湯(シンブトウ)も良いでしょう。
かかとの角質ケア&潤い補給を心がけましょう
今回は、かかとのかゆみに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、入浴や足湯で硬くなったかかとの角質を柔らかくし、たっぷり保湿すること、「腎」の働きを助ける食材を摂ることが大切です。
乾燥が改善しても症状が良くならない場合は、白癬菌が角質に感染しておこる「かかと水虫」などの可能性もあるため、無理せず病院で診察してもらうようにしましょう。
また、こうした気になるかゆみの症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。