私にもオムツが必要!?…産後の尿漏れと育児疲れで疲労困憊です!

体験談

妊娠後期から産後にかけて尿漏れがひどくてシートが手放せない。生理の前に限ってなぜか尿が漏れてしまうことがある…。
30代女性のなかには、このような「若年性の尿漏れ」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「30代女性の尿漏れ」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

赤ちゃんを抱っこした瞬間に尿漏れ!一人で出かけるのも不安に…

麻美子さん(32歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

30歳を過ぎての初産を終え、産後2ヶ月が経ちますが、産後の肥立ちが悪いのか、いまだに疲労感が強く、体力がまったく回復しません。しかも、追い打ちをかけるように尿漏れの症状も起きてしまい、赤ちゃんのお世話をするだけでも疲労困憊の毎日です。
先日も、授乳中にすごい勢いでウンチをしたのがわかったので、「オムツからはみ出す前になんとかしなくちゃ!」と慌てて立ち上がった瞬間、まさかの自分がお漏らしを…。赤ちゃんを抱っこしたまま立ち上がったことでお腹に力が入ったせいだとは思うのですが、わずか5㎏弱の重みで漏らしてしまうなんて本当にショックでした。赤ちゃんのオムツ替えどころか私の方が尿漏れシートが必要になるなんて。
先輩ママでもある姉に相談したところ、「そんなの産後は誰でもあることだから!そのうち治るから気にしないで尿漏れシートしておけば大丈夫!」なんて笑い飛ばされ、多少は気が楽になったのですが、やはり何度漏らしても毎回ショックを受けてしまいます。最近では、いつ漏れるかという不安でひとりで近所に買い出しにいくのも不安で仕方がありません。一体どうしたらこの尿漏れを改善することができるのでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
子宮を支えている骨盤底筋群や靭帯は、分娩時に緩んだり傷ついたりすることがありますので、産後に尿漏れに悩む方は少なくありません。ですが、慣れない育児に加えてこうした症状があると、どうしても不安になってしまいますよね。
今回は、30代女性の尿漏れの原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

30代女性の尿漏れは出産による骨盤底筋の緩みや腹圧が原因

30代で起こる尿漏れには、主に、妊娠出産や肥満、便秘などにより、膀胱を支えている骨盤底筋が緩んで起こる「腹圧性尿失禁」と、咳やくしゃみ、重いものを持った際に突発的に起こる「腹圧性尿失禁」があります。
また、月経前や月経時には、プロゲステロンという黄体ホルモンの増加により子宮や膀胱の筋肉が柔らかくなるため、尿漏れを起こしやすくなることもあります。

東洋医学では、冷えや「血(血液)」の滞りから「水(水分)」のバランスを調整している「腎(じん)」の機能が弱くなり、水分代謝のバランスが乱れて「水毒(すいどく)」や「水滞(すいたい)」の状態になることで、尿漏れなどの尿トラブルが起こると考えられています。

次の章では、このような「30代女性の尿漏れ」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

30代女性の尿漏れを改善するセルフケア3選

1.食物繊維と適度な水分補給を心がける

頻尿の症状があり、トイレが間に合わずに尿漏れを起こしてしまう方は、水分摂取や食生活について見直してみましょう。
冷たいものの摂り過ぎやコーヒー、アルコールなど利尿作用のあるものの飲み過ぎは尿漏れの原因になるため控えるべきですが、不安に思うあまり水分自体の摂取を少なくし過ぎるのも良くありません。脱水症状や熱中症を招く危険性が高まります。
さらに食生活でも食物繊維が足りない場合、水分が不足することで便が硬くなり、さらに便秘を悪化させてしまいます。
慢性の便秘になると排便時にトイレでいきむ機会も増え、骨盤底筋が緩みやすくなり、尿漏れを悪化させる原因になってしまいます。
こうした悪循環を防ぐためにも、日々の食生活で食物繊維をしっかり摂り、水分不足にならない程度に、温かいお茶や常温の水を飲むようにしましょう。

2.不用意な不安を避けて日常を楽しむこと

尿漏れの症状があると、もし出かけた先でトイレが間に合わなかったらどうしよう、その場所にトイレがなかったら…などと考え過ぎてしまうこともあるのではないでしょうか。
不安やストレスを溜めてしまうことで心因性の頻尿を引き起こし、尿漏れが起きやすくなってしまうこともあるため、なるべく楽観的に考えるようにしてみましょう。
例えば、出かける前に目的地付近のトイレの場所を確認しておけば不安にならなくて済みますし、出かける際には尿漏れシートを装着しておけば、万が一の時にも安心です。
多少の症状であれば、よくあることと割り切って生活を楽しむようにすることも大切です。

3.寝ながらできる骨盤底筋エクササイズをする

妊娠や出産で骨盤底筋が緩んでしまったことにより尿漏れが起きている場合は、骨盤底筋を鍛えるエクササイズが有効です。毎日の生活の中にエクササイズを取り入れることは、ヒップアップやウエストの引き締めにも繋がるため、ボディメイクのためにも積極的に取り入れるとよいでしょう。

1.仰向けに寝て肩幅と同じくらい足を開き、膝を立てます。
2.おしりを引き締め、尿道から肛門にかけて力を入れ、腰を高く上げます。
3.そのままの体勢で5秒キープしてから力を抜きます。

※1〜3までの動作を10回ほど繰り返し、1日3回ほど行うようにしましょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

こうした尿漏れを改善するために、市販薬や処方薬の服用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)です。体力が低下して疲れやすく、腰から下の冷えが強い方の体を温め、「腎(じん)」の機能を回復させて尿漏れ症状を改善する効果があります。
また、咳やくしゃみなどをした際に尿漏れが起こる方には、骨盤底筋の機能を衰えを改善する効果のある補中益気湯(ホチュウエッキトウ)も良いでしょう。

一方、葛根湯(カッコントウ)は、膀胱の筋肉に働きかけることで症状を改善するので産後の腹圧性の尿漏れに用いられることがあります。

尿漏れ対策を心がけ、過度に不安にならないこと

今回は、若年性の尿漏れ症状に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、骨盤底筋を緩める原因となる便秘を避けるためにも食物繊維と適度な水分を摂り、エクササイズを実践することが大切です。尿漏れでの不安を過度に感じ過ぎず、ストレスを溜めないようにしましょう。

また、こうした気になる尿漏れの症状改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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