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突然肩がつり、彫像さながらに固まった私に救世主…後輩の神ワザに感謝!

体験談

寝返りを打とうとして体の向きを変えかけた瞬間に肩がつってしまった、デスクワークの途中で肩を伸ばそうとぐーっと伸びをした瞬間、肩の筋肉がひきつってしまった…。
30〜50代のミドルエイジ世代の女性のなかには、このような「肩がつる症状」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「肩がつる症状」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

肩凝りをほぐそうとして激痛が!急に肩がつったときの対処法を教えて!

千晶さん(49歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。

終始デスクワークをしているせいか、長年ひどい肩こりに悩まされてきた私。そのうえ、先日ちょっとしたことで肩がつってしまったために、今はうかつに身動きするのも怖くて仕方がありません。
その日は、前日にやり残したこともあり、朝から集中してPCとにらめっこしていたんです。無意識のうちに肩の凝りをほぐそうとしたのでしょうか、おもむろに腕を肩に伸ばそうとした瞬間、伸ばした腕側の背中の筋肉がビビーンと引きつってしまったんです。
「うわっ!」と言ったまま片手を伸ばして固まってしまった私を見て、隣の席の後輩もびっくり。「肩つった! いま肩つってるとこ!」と助けを求める目をしたら、よしきた、とばかりに後輩が、つっている肩をさすってゆっくりゆっくり筋を伸ばしながら、どうにかこうにかもとの状態に戻してくれたんです。聞けば、彼女のお母さんは編み物の先生で、よく肩をつっていたので、いつもこの方法で治してあげていたのだとか…。
なんともミラクルな手技でしたが、もし隣に後輩がいなかったら、私はあのまま片手を上げた状態で、一人で彫像のように固まり続けていたに違いありません。今回はたまたま良かったのですが、今後、またいきなり肩がつらないとも限りません。何か良い予防策や対処法があれば教えてください。

ご質問ありがとうございます。
肩に限らず「つる」症状は予期せぬタイミングでいきなり起こることが多いため、後輩の方が近くにいてくださり、本当に良かったですね。
今回は、肩がつる原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

筋肉のこわばりや冷えなどが肩がつる原因に

自分の意思と関係なく筋肉が収縮してけいれんし、硬直することを「つる」と言います。
特に肩は日頃の運動不足や筋肉疲労、冷えから肩の筋肉がこわばってつることが多く、痛みをともなって動かしづらい状態になります。
原因としては、加齢による筋肉量の減少、冷えによる体温低下や脱水、ナトリウム・カリウム・マグネシウムなどのミネラルの不足などさまざまな要因が挙げられます。また、糖尿病や動脈硬化、末梢神経の障害をともなう慢性疾患がある方は症状を引き起こしやすいと言えるため、注意が必要です。

東洋医学では、こうした症状は「気(生命エネルギー)」と「血(血液)」が一時的に不足した状況で生じるとされ、体に不足した栄養を補うことが大切だと考えられています。

次の章ではこのような「肩がつる」症状を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

肩がつる症状の予防&セルフケア3選

1.ゆっくりと肩のこわばりをほぐしましょう

突然肩がつってしまったら、無理に伸ばそうとせず、まずは痛みの少ない体勢をとってゆっくりと深呼吸をしましょう。
動かせる範囲でゆっくりと肩を動かしてみて、つった場所を伸ばすようにしたり、肩甲骨を回すようにしたりして、徐々に筋肉のこわばりをほぐしていきます。また、冷えによって肩に引きつりや痛みが起きてしまった場合は、痛む場所をカイロやホットタオルなどで温め、血の巡りを良くするのも効果的です。

2.水分&ミネラル補給と冷え対策を万全に

水分やカルシウム、マグネシウムなどのミネラルが不足すると、筋肉の働きを助ける電解質が不足し、身体がつりやすくなってしまいます。
寝る前や運動や入浴時などの汗をかきやすいタイミングで適切に水分を補給し、脱水を避けるようにしましょう。
そして筋肉が柔軟に動くためには、冷えを改善し、全身の血液や水分の巡りを良くすることも大切です。夏場でも入浴はシャワーで済ませず、ゆっくり肩まで湯船に浸かって体の芯まで温まるようにしましょう。

3.肩のストレッチを習慣づけましょう

頭を支える役割のある首や肩は常に緊張状態にあります。同じ姿勢をとり続けることや、運動不足から筋肉が硬くなりこわばると、筋肉がけいれんしてつりやすくなってしまうのです。
筋肉が凝りやすく、肩がつりやすいという方は、日頃から肩のストレッチや軽い運動を行い、血の巡りを良くして症状を予防しましょう。
作業中はこまめに休憩を取り、肩甲骨を回すストレッチで肩甲骨周辺の背中の筋肉をほぐし、血流を良くするように心がけて見てください。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

肩がつる症状を改善するために、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)です。飲んで数分で効果が発現するといわれている漢方薬で、筋肉疲労や運動不足から肩がつってしまう方、筋肉のけいれんを起こしやすい方に不足している「気」や「血」を補ってけいれんを鎮め、痛みを緩和する効果があります。
また、冷えが原因で肩がつりやすい方には体を温め、全身の血の巡りを良くして症状を改善する効果のある葛根湯(カッコントウ)も良いでしょう。

一方、月経に伴い肩こりの症状が出やすく、手足が冷える冷えのぼせがあるような方は桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)がオススメです。

運動不足を避け、肩を冷やさないようにしましょう

今回は、肩がつる症状に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状が起こりにくくするためには、日頃から適度な運動をして筋肉をしなやかに保ち、水分不足や肩の冷えに注意することが大切です。
もし、寝ているときに肩の激痛が起きて目がさめる、といった症状がある場合は、まれに心臓病など大きな病気による痛みである可能性もあるため、病院を受診して正確な診断を受けることが大切です。
こうした気になる症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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