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歩いているだけなのになぜ!?顔とおでこだけじっとり汗ばむ謎の現象!

体験談

体の他の部分はそうでもないのになぜか顔だけが汗びっしょりになってしまうことがある、顔やおでこからの汗がひどくてメイクをしてもすぐドロドロになってしまう…。
30〜40代のプレ更年期世代の女性のなかには、こうした「顔汗」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

そんな自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「顔汗」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。 

暑くもないのに顔だけが汗ばんで…不快な顔汗にどう対処する?

麻美子さん(37歳女性)、看護師の方からご質問をいただきました。

看護師をしながら中学1年生の息子と2人で暮らしているシングルマザーです。近くに住む実父母にサポートしてもらいつつなんとか母子生活を成り立たせてきましたが、最近になって担当する病棟を異動することになり、心身ともにヘトヘトな状態です。
深夜勤務が増えたせいか、休憩時間になると一気に張り詰めていた気持ちがゆるみ、ボーッとしてしまいます。それに、なぜか巡回中にただ歩いているだけなのに顔から汗がどっと流れてくることもあり、「私、いったいどうしちゃったの?」という感じです。猛ダッシュしたわけでもなければ炎天下にいるわけでもないのにじっとりと汗ばんだ顔をしている私をみて、同僚も「え?大丈夫?扇風機つける?」なんて気遣ってくれるのが申し訳なくて…。
夜間に働くこと自体は慣れているつもりなのですが、朝方ウトウトした状態で息子のお弁当を作ってから二度寝する生活が続き、疲れているのかもしれません。
今日も厚手のガーゼタオルで顔やおでこに滲む汗を拭きながら仕事をしてきましたが、あんなに空調も万全な環境の中で顔にだけ汗をかくなんて、やっぱりおかしいですよね。
特にどこか悪いわけではないのですがやっぱり不快で仕方ありません。こうした顔汗って、いったいどう対処すれば良いのでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
たいして暑くもないのに顔やおでこから汗が出ると心配になってしまいますよね。こうした汗の症状は、疲労やストレスによる自律神経の乱れ、運動不足や冷房の効いた環境で過ごすことによる汗腺の働きの低下など、さまざまな原因が考えられます。
今回は、こうした顔汗の原因や改善方法について詳しくお伝えしていきましょう。

顔汗は自律神経の乱れと体の汗腺の衰えが原因

体に比べて特に顔面からの発汗が目立つ、といった”顔汗”の原因には、ストレスや緊張、不安から自律神経のバランスが崩れて発汗を促す交感神経が過敏になることや、更年期のホルモンバランスの乱れによるものなどが挙げられます。
普段からの運動不足や、エアコンの空調により汗をかく機会が少ないことで体の汗腺が衰え、動きの多い顔の汗腺の負担が増えることも顔から汗が出る原因になります。
それ以外にも、糖尿病やバセドウ病、顔面多汗症などなんらかの代謝や神経の疾患の可能性があるため、暑くもない時期や運動もしていないときにも大量に汗が出る場合は、医療機関で適切な治療を受けるようにしましょう。

また東洋医学では、自律神経の失調により「気(生命エネルギー)」の不足や、体内の水分バランスが崩れてしまうことが発汗の原因と考えられています。

次の章ではこうした「顔汗」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

顔汗を改善する3つのセルフケア

1.運動&入浴による発汗で汗腺を活発化

日頃から空調の効いた場所で過ごして汗をかかない生活が続くと、多くの汗腺が休眠状態になり、比較的活動の活発な汗腺のある顔や脇の下などから、局所的に汗が出るようになってしまいます。
毎日の生活のなかにジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を取り入れたり、湯船に浸かってたっぷり汗をかいたりすることで体全体の汗腺を活発化し、衰えてしまった汗腺機能を高めるようにしましょう。

2.ストレスや疲労を溜め込まないこと

心身のストレスや疲労の蓄積、睡眠不足、昼夜逆転などの不規則な生活によって汗の分泌をつかさどる自律神経が乱れ、発汗を促す交感神経が過敏になることも、顔汗の大きな原因になります。
日頃から十分な睡眠や栄養バランスのとれた食事をとることを心がけ、疲労やストレスを溜め込まないようにしましょう。忙しい毎日のなかでも生活にメリハリをつけ、自分の好きなことをしてリラックスできる時間を作るように心がけてみてください。

3.「大包」のツボを刺激して顔汗を抑える

なかなか顔汗が止まらない、というときには、顔や上半身の発汗を抑えるツボ「大包(だいほう)」を刺激する方法もオススメです。

◎大包(だいほう)
場所:脇の真ん中から少し下にある、6番目の肋骨のすぐ下にあるくぼみ周辺。
押すと軽い痛みを感じる方もいますが、このくぼみを中指で2分ほどゆっくりと指圧しましょう。顔をはじめ、上半身の汗を抑える効果があります。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

顔汗を改善するためには、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)です。冷えがあり水太りタイプの方の水分代謝を整えて尿として排出し、過剰な汗を改善する効果があります。
また、五苓散(ゴレイサン)も水分代謝が乱れているタイプの汗に用いられることがあります。
一方、ストレスや緊張から顔やおでこ、手のひらや足の裏、脇の下など局所的に汗をかきやすい方には、「気」を巡らせて余分な熱を追い出す効果のある荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)も良いでしょう。

運動習慣&生活の改善で自律神経を整えましょう

今回は、顔の汗に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状を改善するためには、汗腺の活発化のためにも適度な運動を習慣化し、規則正しい生活を送るようにしましょう。できるだけストレスや疲労を溜め込まないようにしてリラックスした時間を持つようにすることも自律神経を整えるのに有効です。

また、こうした汗の症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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