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朝起きた途端に目の前がぐるぐる回って大慌て!「めまい」ってどう対処すればいいの?

体験談

立ち上がるとぐるぐるめまいがする。寝起きは特にめまいがする…。
そんな自分ではどうにもならないめまい症状の改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 

「健タメ!」では読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「寝起きや寝返り時のめまい」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

寝起きや寝返りのタイミングで「ぐるぐる回る」めまいが心配…

初美さん(52歳女性)主婦の方からご質問をいただきました。

朝、起き抜けにトイレに行こうとベッドから立ち上がったんです。すると周囲がぐるぐると回って立っているのがやっとの状態に。少し経つと治まり、何事もなかったかのようにその日を過ごしました。
後日、今度は夜中に寝返りをうったら、急に天井がぐるぐると回りだしました。思わず叫んで隣の夫に助けを求めたものの、「うるさいな」と一蹴されてしまって…。
でもこれも数分すると治まりました。めまいがする時間は長くないのですがどうにも心配です。
寝ているときだけでなく、戸棚の上の物を取ろうと背伸びをしたときや、床に落ちたものを拾うときにも同じ症状がでます。
どんどんひどくなるのでは?と思わず悪い方向に考えてしまいます。どうしたらよいでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
ベッドから起き上がるタイミングや寝返りのとき、床にしゃがみ込む動作や背伸びで上のものを取ろうとする動きをすると、ぐるぐると回る「めまい」の症状が出る人は少なくありません。
今回は、ぐるぐる回るめまいの原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

ぐるぐる回るめまいの原因は自律神経の乱れと「水毒」

ぐるぐる回る、寝起きや寝返りで症状が出るのは「良性発作性頭位めまい症」という症状です。
良性発作性頭位めまい症は、三半規管の中の耳石が原因で起こります。
耳石は三半規管の入り口の前庭という場所にある、からだのバランスをとる小さな炭酸カルシウムの石で、普段は定位置にあります。
その位置で転がることで、からだの位置や動きを平衡感覚を司る前庭神経に伝える役割を担っていますが、この耳石が定位置を離れて三半規管に入り込むと、リンパ液が異常な流れを起こします。
このリンパ液の異常が、平衡感覚の維持に関係する細胞の働きを乱すことで、めまいを引き起こします。

この種類のめまいは、静止した状態から頭を動かして、決まった位置に来ると発作を起こすのが特徴です。
目が回るような激しいめまいで吐き気を伴う場合もありますが、数分で治まるケースが大半です。
この特徴は、ご相談者様の症状にもぴったり当てはまるかと思います。

また東洋医学において、めまいは主に「水(水分)」の異常と考えることが多いです。
東洋医学では「症」を定義する上で「気・血・水(生命エネルギー・血液・水分)」という重要な要素があります。
「水」はリンパ液や汗など、血液以外の体液をあらわし、「水毒」は体内の水分代謝の異常により水の巡りが滞り、からだのあちこちに偏在することで、さまざまな症状を引き起こしている状態をいいます。
さらにストレスなどによって気の流れが滞った「気鬱」などが合わさってめまいが起こる場合もあります。

ぐるぐる回るめまいのセルフ対処法と予防ケア3つ

1.できるだけ頭を動かさないように安静にする

めまいを起こしたときに、対処法として最も大切なのは安静にすることです。
頭を動かすと平衡感覚が乱れ、余計にめまいが悪化する恐れがあります。
もし発作が起きた場合は、頭をできるだけ動かさずに楽な体制をとりましょう。
光の刺激もめまいの悪化の原因になる事があるので、部屋を暗くするのも効果的です。

2.寝るときは頭を高くして、同じ方向で横向きに寝ない

良性発作性頭位めまい症は、耳石が三半規管に入ることが大きな原因の一つです。
寝るときに頭を少し高くすると、耳石が三半規管に入りにくくなり、めまいの予防に効果的です。
他にはこまめに寝返りをして、耳石を一か所にためないようにしましょう。また同じ方向を下にして横向きに寝ることも避けましょう。

3.ストレスを溜めないようにする

疲れやストレス、寝不足などもめまいを引き起こす大きな原因の一つです。
三半規管はストレスに弱く、過度にストレスがかかった状態が続くと過敏に反応しやすいといわれています。
適度な運動やストレッチ、睡眠を十分にとって、ストレスを溜めずにからだの状態を整えることは、めまいの予防に非常に効果的です。

根本的な体質改善には漢方薬がオススメ!

良性発作性頭位めまい症による回転性めまいを改善するために、就寝時の体勢を工夫したり、睡眠をしっかりとるなどの日常生活での対策に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)です。立ちくらみのようなクラッとするめまいに有効で、水はけを良くする利水効果のある生薬を含み、自律神経の働きを整える効果も期待できます。
また、めまいに加えて、下半身の冷えや胃腸不調の症状がある方には、胃腸機能を改善する人参や黄耆などの生薬を含み、食欲不振にも効果的な半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)がおすすめです。
一方、めまいや頭痛が天候に左右されるような場合は体内の水分の多少に関わらず水分代謝を整える五苓散(ゴレイサン)もよいでしょう。

就寝時の姿勢&ストレス解消でめまいを防ぎましょう

今回は、良性発作性頭位めまい症による回転性のめまい悩む方のためのセルフ対処法や予防法、漢方薬をご紹介してきました。
まずは日常生活のなかで発作を起こしにくくするような生活習慣を実践し、めまい発作を防ぐように心がけましょう。
良性発作性頭位めまいの場合は命の危険がなく、耳石が元の位置におさまることで自然に治癒する場合が多いです。
しかし、症状が強い場合には、思わぬ重大な病気が隠れている場合がありますので、躊躇せずに病院で検査を受けることも大事です。

また、めまいの改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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