いらいらや不眠に抑肝散加陳皮半夏家(よくかんさんかちんぴはんげ)
漢方事典
「抑肝散加陳皮半夏家はいらいらや不眠によく使われます」
処方のポイント
熱感を取り精神を安定化させる柴胡です。釣藤鈎、血液を補強する当帰・川芎、痰を除き精神安定化に働く半夏・茯苓・消化器系を賦活する白朮(あるいは蒼朮)・陳皮。甘草で構成されます。いらいらしやすい、不眠、お腹が張って食欲がない、横になると不安になる、幼児の夜泣き・疳の虫等に応用できます。甘辛味です。
抑肝散加陳皮半夏家が適応となる病名·病態
保険適応病名・病態
効能または効果
虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症。
漢方的適応病態
気血両虚の肝陽化風に痰湿の症候が加わります。すなわち、いらいら、怒りっぽい、頭痛、めまい感、眠りが浅い、頭のふらつき、筋肉のけいれんやひきつり、手足の震えなどの肝陽化風の症候に、元気がない、疲れやすい、食が細い、皮膚につやがない、動悸、しびれ感などの気血両虚の症候を伴い、さらに、舌苔が白膩、悪心、嘔吐、腹部膨満感などの痰湿の症候を認めるものです。
抑肝散加陳皮半夏家の組成や効能について
組成
柴胡2釣藤3川芎3当帰3白朮4茯苓4炙甘草1.5半夏5陳皮3
効能
柔肝・調脾・化痰
主治
肝脾不和・肝旺痰盛
解説
抑肝散加陳皮半夏家は「抑肝散」に燥湿化頹の半夏と、理気化痰の陳皮を加えた処方です。「二陳湯」の成分が配合されることにより、化痰作用が増強される痰が多いです。嘔吐悪心腹部膨満感あるいは下痢など痰湿の症状がみられる場合に適しています。
臨床応用
◇鬱証
「抑肝散」によって肝の機能を調節し、「二陳湯」によって化痰できるので、鬱証の治療に効果があります。鬱証では痰結(悪心、咽喉不利、胃満、苔腻)と気滞(胸悶、肋脹、イライラ)の症状が同時にみられることが多いです。