口が渇き過ぎてカラッカラに…夫婦ふたりきりのだんまり生活のせい⁉︎
最近なぜか唾液の量が減って口の渇きを感じることが増えた気がする、すぐに口が乾いて口内がカラカラになるので、外出時にはペットボトルの飲み物が手放せない…。
50代〜60代の世代の女性のなかには、このような口が渇く症状「ドライマウス」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。
こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「ドライマウス」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。
目次
年々ひどくなるドライマウスが地味につらい…ラクになる方法を教えて!
美智代さん(54歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。
閉経を迎えた頃からでしょうか、なんとなく口の渇きが気になるようになったんです。ちょこちょこと水を飲んだりこまめにティータイムを楽しんだりして一時的に口の中を潤わせてはいるものの、少し時間が経つとまた口の中がカラカラに渇いてしまい、どうもスッキリしません。
特にどこが痛いということもないのですが、“地味につらい”とはまさにこのことで、最近は趣味の編み物にも集中できなくなってきてしまいました。
しかも、年々症状が悪化しているのか、よく考えたら症状を感じ始めた頃より口の渇きがひどくなってきている気がするんです。2人の娘が同居していた頃は、それでも毎日おしゃべりしたりして気が紛れていたのですが、ありがたいことに去年2人して良縁に恵まれ、家を出たものですから、残るのは無口で因業な主人ひとり…。
口の中がこんなにカラッカラに渇いてしまうのは、夫婦二人してむっつりと黙りこくっている時間が増えたせいかもしれない、なんてつい思ってしまうこともあります。
まだまだ老後も長いですし、身も心も潤った状態で過ごしたいものです。まずはどうにかしてこの口の渇きを解消できないものかと思っているのですが、何か良い方法はないものでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
ドライマウスの症状は更年期以降に気になり始める方も多く、緩やかに進行するために、自覚しないままに症状が進行してしまうこともあります。地味な症状ではありますが、日常的にストレスを感じてしまうようになるとつらいですよね。
今回はドライマウスの原因や改善方法について詳しくお伝えしていきましょう。
加齢やホルモン減少による唾液量の減少が原因
ドライマウスとは、唾液が減り、口やのどが乾燥した状態のことをいいます。
原因としては、加齢やホルモンの減少によって舌の筋肉や唾液腺が衰え、唾液の分泌量が減ることによって生じることが多いようです。
合わない入れ歯の装着による咀嚼回数の減少、服用している降圧剤や抗アレルギー薬など薬の副作用、過度の飲酒やストレスによっても唾液の減少が起こると考えられています。唾液が減ると、会話や食事をしづらくなることに加え、歯周病や虫歯、口内炎や味覚障害などの要因となることもあります。
また、口に加えて目や膣など複数の部位が乾燥する場合は、免疫疾患のひとつであるシェーグレン症候群の可能性もあるため、思い当たる症状がある方は病院で検査を受けるようにしましょう。
東洋医学では、人体にとって必要な水分である「津液(しんえき)」の量が減ったり、流れが滞ることで口の渇きが生じると考えられています。
次の章ではこのような「ドライマウス」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。
ドライマウスを改善する3つのセルフケア
1.水分を摂り、よく噛んで食事をすること
唾液を増やすには、唾液の元となる水分補給をしっかりすることはもちろん、日頃から口をよく動かし、口の周りの筋肉を鍛えることが大切です。
唾液腺の多くは唾液を押し出すポンプの役目をしている筋肉に囲まれているため、口周りの筋肉が衰えることで唾液の分泌量が減ってしまうのです。食事の際はよく噛んで食べるように心がけ、一口につき20~30回は噛むことを目標にしてみましょう。
するめや昆布など硬めの食材をゆっくり噛むことや、酸味のある梅干しやレモンなどの食材を取り入れて唾液の分泌を促すのもオススメです。
2.マッサージで唾液の分泌を高める
唾液の分泌を増やすためには、唾液腺を刺激し、唾液を出やすくすることも大切です。唾液分泌を促すマッサージをご紹介しますので、1日数回、できる範囲で毎日の生活の中に取り入れてみましょう。
①耳下腺を刺激する
耳の付け根の少し下にあるくぼみから頬にかけての部分を親指以外の4本の指で押さえ、後ろから前に向かって10回ゆっくり回します。
②舌下腺を刺激する
両手の親指を揃え、顎の真下からグーッと舌を押し上げるようにして10回押します。
③顎下腺への刺激
親指を下顎の骨の内側の軟らかい部分に当て、耳下から顎下まで、骨に沿って5カ所ほどを順番に5回ずつ押します。
3.自律神経を整え、リラックスした毎日を!
唾液の分泌は自律神経によって調節されているため、ストレスや緊張を感じることで口が渇いたり、唾液の状態がネバネバしたりします。ドライマウスを改善し、サラサラの唾液で潤った口腔状態にするためには、リラックスした精神状態で過ごすことが大切です。
交感神経と副交感神経のバランスを整えるためにも、ストレスや疲労の蓄積を避けて規則正しい生活を送り、たっぷりと良質な睡眠をとるように心がけましょう。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
ドライマウスを改善するためには、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、六味丸(ロクミガン)です。東洋医学では加齢により腎が衰え、口の乾きやほてり、むくみ、頻尿などが生じるとされます。腎を補い加齢による症状の改善を目指します。
また、比較的体力があって多尿多飲で口の乾きに悩む方は、体の余分な熱を冷まして唾液の分泌を促進する効果のある白虎加人参湯(ビャッコウカニンジントウ)も良いでしょう。
一方、五苓散(ゴレイサン)は水分代謝を整えるため、尿量の減少やむくみもある方の口の乾きに有効です。また、口渇に加えて喉や鼻の粘膜も乾くようだと、麦門冬湯(バクモンドウトウ)が良いでしょう。
唾液の分泌を促して口内の潤いを取り戻しましょう
今回は、ドライマウスに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善には、こまめな水分補給をすることに加え、よく噛んで食事をすることで口の周りの筋肉を鍛え、唾液腺のマッサージをして唾液の分泌を高めることが大切です。
また、こうしたドライマウスの改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。