眠れなさすぎて真夜中に大掃除! 生理前に限ってなぜ?

体験談

生理の前に限って目が冴えて全然眠れない、体は疲れているのにうまく寝付けない…。それは、もしかしたら月経前症候群(PMS)による入眠障害の症状かも!?
実は、多くの女性が月経前に起こるさまざまな症状に悩んでいます。

自分ではどうにもならない生理時の不調やつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「生理前の入眠障害」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。 

夜は眠れず昼間に居眠り…アレコレ気にせず安眠したい!

奈津美さん(39歳女性)、事務員の方からご質問をいただきました。

生理前になると体がだるくて疲れてしまいがちなのですが、なぜかそういうときに限ってうまく眠れなくて困っています。
もともと細かいことが色々気になるタイプではあるのですが、生理前の時期はその性格がさらに加速してしまうんです。よせばいいのに会社でやり残したことをアレコレ思い出してメモを取ったり、翌日やればいいことも次から次に頭に浮かんでしまって…。
目をつむっても全く落ち着かず、まさに眠りたいのに眠れない、といった状態です。
先月は、あまりに眠れないので部屋の大掃除をし始めたらすっかり疲れ果ててしまい、翌日会社で居眠りをしてしまったほど。
毎月、疲労困憊で生理を迎えるせいか、生理痛もひどくてつらいんです。
どうしたらこの生理前に限って全然眠れなくなる症状が治まるのでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
夜にしっかり眠ることができず、日中の眠気に悩まされるのはつらいですね。
今回は、生理前に起こる入眠障害の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

眠れないのは基礎体温の高さと自律神経の乱れが原因

月経前になると寝つきが悪くなるのは、女性ホルモンであるプロゲステロンの作用で基礎体温が高くなるため。
眠りに入る直前は深部体温(体の内臓の温度)が急激に下がる必要がありますが、月経前に体温が高いとスムーズに眠りに入りづらくなります。

また、東洋医学的な見方では、月経の前は「気・血・水(生命エネルギー・血液・水分)」が滞りやすくなると考えられています。
「血」の不足や滞り、またそれによって「気」の巡りの悪化することからくるストレスや自律神経の乱れも、眠れなくなる原因と言えるでしょう。

次の章では、こうした月経前の入眠障害に対する具体的な解決方法をお伝えしていきますね。

上手に眠りにつくための3つの対策

1.余分な熱を冷ます食べ物を取り入れよう

月経前に眠れなくなってしまうのは、体内に余分な熱がたまり、「気」の流れが滞ったり、逆流したりすることも原因のひとつといわれています。
また、「気」が滞り、神経過敏になったりソワソワと落ち着かない気持ちになっても上手く眠りにつくことができなくなります。
スムーズに眠りにつけるように、毎日の食生活の中に、余分な熱を冷ます食材や「気」を巡らせ落ち着かせてくれるハーブティーを取り入れてみましょう。

体内の熱を冷ます食べ物:きゅうり、トマト、セロリ、アロエ
気を巡らせ、鎮静するハーブティー:ペパーミント、バジル、カモミール、ラベンダー、リンデン

2.寝る前にホットミルクを飲む

睡眠の直前に飲食をするのは安眠の妨げになりますが、空腹感が強すぎても上手く眠ることができません。そんなときにオススメなのが、ホットミルクです。
牛乳に含まれるカルシウムには精神安定作用があり、タンパク質や鉄分をはじめとするミネラル類やビタミン類も多く含まれており、神経を穏やか整えてくれます。
また牛乳には、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌を促進してくれる効果もあるため、眠りにつく前の飲み物として最適といえるでしょう。

3.寝る直前まで仕事や活動を続けないこと

寝床に入って目をつむっても全然眠れないとなると、「何かをしなければ」という思いにとらわれがち。気になることがあっても、スマートフォンで調べてみたり、やり残した仕事を片付けようと作業を始めたりするのはやめましょう。
頭を使って活動し続けることで、まずます神経が高ぶり、眠れなくなる悪循環に陥ってしまいます。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

月経前の入眠障害を改善するために、市販薬などに頼るという選択肢に加えて、根本的な改善を目的とした漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、桂枝加竜骨牡蛎湯(ケイシカリュウコツボレイトウ)です。牡蛎(ボレイ)という安神作用、という精神を落ち着ける働きのある生薬が配合され、繊細でストレスを感じやすい方の「気」の巡りを良くして心を落ち着かせる効果があります。
また、貧血気味で心身ともに疲れてしまう場合は、胃腸の働き(脾)を整え、血を補い、精神不安を和らげてくれる加味帰脾湯(カミキヒトウ)もオススメです。
一方、月経前にイライラや不安不眠など症状が様々な場合は、三大婦人薬の加味逍遙散(カミショウヨウサン)もホルモンバランスを整える働きもあり、月経に伴う症状におすすめです。

「眠れないこと」を意識しすぎないことが大事

今回は、月経前の入眠障害に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
「眠れない」ということに意識を集中させず、心を落ち着かせてリラックスした状態で寝床に入るように心がけるようにしましょう。
また、月経前の入眠障害には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

関連記事