人前でもところ構わず出るげっぷに困惑…知人との食事会も楽しめない!

食後のゲップ アイキャッチ
体験談

食事中は特に頻繁にげっぷが出てしまうので会食の予定があるとストレスを感じてしまう、更年期に急に体重が増えるとともにげっぷの回数がやたら増えてしまった…。
30〜60代の幅広い世代の女性のなかには、このような「げっぷの出やすさ」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「げっぷが出やすい」症状をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

更年期ストレスのやけ食いが原因!?頻繁なげっぷと胃の不調がつらい…

食欲不振の女性

千晶さん(48歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。

人一倍よく働き、よく食べるタイプで健康自慢だった私ですが、このところことあるごとにげっぷが出てしまい困っています。特にひどいのが食後で、楽しく会話しながらお腹いっぱい食べた後などは特に、ところ構わずげっぷが出てしまうんです。
一緒に食事をするといっても、家族や気のおけない友人ばかりなので、げっぷが出ても白い目で見られてしまうわけではありません。でも、親しき仲にも礼儀ありといいますし、彼らに不快な思いをさせていないかも気になってしまって…。
それに、最近は更年期のせいかイライラ感が募ってむやみに甘いものや油っぽいものを食べ過ぎてしまうことも多く、胸焼けがしたりげっぷが出始めてから「あ、また食べ過ぎてる!」なんて気づく始末。若い頃はこんなことはなかったのですが、いったいどうしてしまったのでしょうか。
胃腸の調子も思わしくないのに、かといって食べることもやめられず、ストレスは溜まる一方です。一応女性ですし、仕事中に人前でげっぷが出てしまうのも恥ずかしいものです。
どうにかこのげっぷが出やすい症状を改善することはできないものでしょうか。何か良い方法があれば教えてください。」

ご質問ありがとうございます。
げっぷは人間なら誰しも出ることのある生理現象ではありますが、胃腸の不調に加えて頻繁に出てしまうとなると、心配になってしまいますよね。
今回はげっぷが出やすくなる原因や改善方法について詳しくお伝えしていきましょう。

胃腸機能の低下や無意識の空気の飲み込みが原因に

ストレスにさらされる胃のイメージ

げっぷとは、呼吸や食事、会話の際に無意識に胃の中に取り込まれた空気が溜まり、その空気が食道から出てくるという生理現象です。
通常は食道と胃のつなぎ目にある筋肉が食道への空気逆流を防いでいますが、胃のなかの空気が増え過ぎて内圧が高まると、この筋肉がゆるみ、げっぷが出るのです。空気が増える原因としては、過度なストレスによる胃腸機能の低下、姿勢の悪さ、早食いや飲食時の会話習慣などさまざまな理由から空気を飲み込みやすくなることが挙げられます。
こうした理由から頻繁にげっぷが出てしまう症状を「呑気症」や「空気嚥下症」といいます。もし頻繁なげっぷに加えて胃痛や腹痛、吐き気などが起こる場合は逆流性食道炎などの病気の可能性もあるため、医療機関での検査をオススメします。

また東洋医学では、げっぷを「曖気(あいき)」といい、ストレスや緊張から気が滞る「肝気鬱血(かんきうっけつ)」や暴飲暴食から体に余分な熱が溜まる「湿熱(しつねつ)」、胃腸機能の低下による「脾気虚(ひききょ)」などが頻繁なげっぷの原因と考えられています。

次の章ではこのような「げっぷの出やすさ」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

げっぷの症状を改善する3つのセルフケア

1.空気の飲み込みやすさを改善する

朝食

頻繁にげっぷが出るのは、早食いや会話をしながらの飲食、ガムを噛むなど、日常的な習慣によって空気を飲み込みやすくなっていることに原因がある場合も多いものです。
食事の際は、焦ってかきこむように食べたりせず、ゆっくりよく噛んで食べるようにしましょう。
こうした呑気症は歯の噛み締め癖から唾液が増え、飲み込む回数が増えることでも起こりやすいといわれています。日常的に歯を食いしばる癖があれば、意識して改善するようにしましょう。

2.胃腸に負担をかけないようにする

げっぷが頻繁に出るのを抑えるには、空気を飲み込まない工夫に加え、胃に負担をかけないことも大切です。
ストレスの蓄積や過度な緊張はできるだけ避けてリラックスできる時間を作りましょう。
また胃に負担をかけやすい脂肪や糖分の多い食べ物、アルコールは控えて消化の良い食事に切り替えるのもオススメです。そして食後はすぐに動かずに、30分ほど休憩することで消化機能を高めるように意識することも有効です。

寝るときにげっぷが出て苦しいときは胃の内容物が食道に逆流するのを防ぐため、食道が胃の入り口より低くならないように上半身を高くし、左側を下にして寝ると良いでしょう。

3.姿勢の悪さや肥満の改善を

ヨガ

猫背で姿勢が悪かったり、デスクワークで長時間にわたって前かがみになっていたりすることも頻繁なげっぷの原因になります。
姿勢の悪さから体の軸が曲がり、骨盤や仙骨に歪みが生じると、胃や腸に空気が溜まりやすくなるのです。背筋を伸ばすように意識したり、ヨガや整体で体のバランスを整えるように意識してみてください。

また、太り過ぎている方の場合、内臓脂肪が胃を圧迫してげっぷが出やすくなることもあります。脂肪の多い食事は胃酸の分泌を過剰にして逆流性食道炎などを引き起こす要因にもなるため、肥満傾向にある方はある程度食事制限をして体重を落とすことを意識しましょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

漢方薬

げっぷの出やすさを改善するためには、セルフケアに加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)です。体力があり、ストレスを感じたときや食後にげっぷがよく出る方に、みぞおちのつかえを改善し、胃腸の働きを良くして症状を改善する効果があります。
また、あまり体力がなく、胃痛や胃もたれをともなうげっぷが出やすい方には、胃腸症状を和らげる効果のある安中散(アンチュウサン)も良いでしょう。
一方、ストレスで気分的な症状も見られる場合は、半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)がオススメです。

体と心のバランスを整え、胃腸の負担を減らしましょう

雑炊

今回は、げっぷの出やすさに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状を抑えるには、食事や日頃の習慣で空気を飲み込みやすくなっていないかを見直すとともに、ストレスや食生活による胃腸への負担を避けること、姿勢の悪さや肥満を改善して体のバランスを整えることが大切です。
また、こうしたげっぷの悩みには、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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