鼻をかんだティッシュを眺めドンヨリ…黄色く粘つく鼻水が不気味過ぎる!
鼻の炎症が続くうちに黄色くどろっとした粘り気のある鼻水が出てきて気持ちが悪い、風邪の治りかけになるとネバネバした黄色い鼻水が出るようになる…。
30〜60代の幅広い世代の女性のなかには、このような「黄色く粘つく鼻水」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。
こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。
今回は「黄色く粘つく鼻水」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。
目次
ドロっと喉に流れる不快感にゾワッ! ネバネバした黄色い鼻水を解消したい!
玲子さん(53歳女性)、会社員の方からご質問をいただきました。
このところなんとなく体調が優れずに家に引きこもりがちな生活が続いたせいか、気が滅入ってしまい、風邪っぽいような鼻炎のような症状が続いています。寝ても覚めても鼻がグズグズして、鼻づまりで息苦しいこともしょっちゅうです。
さらには、鼻をかんでもドロっとした黄色くネバネバした鼻水が喉の奥の方に降りてくることもあり、気持ちが悪くて仕方がありません。
先日も、気晴らしに家じゅうピカピカにしようと掃除を始めたのですが、ハウスダストのせいか鼻のムズムズ感も気になり出し、やる気も一気にダウン!
その夜もドロっとした鼻水で寝苦しく、夜中に鼻をかんだのですが、怖いもの見たさで鼻をかんだティッシュを開いてみると、黄緑色のそれはそれは気味の悪い色をした鼻水がへばりついているではありませんか…。枕を高くしてなんとか眠りにつきましたが、翌日もなんだか頭が重だるいような気がして、鼻水をすすってはウンザリした気分で過ごしています。
そろそろ重い腰を上げて耳鼻科で見てもらわなくてはと思ってはいるのですが、この不気味な色の鼻水の原因はいったい何なのでしょうか。治療に加えて早めに改善できる方法があればぜひ教えてください。
ご質問ありがとうございます。
黄色く粘度の高い鼻水は、風邪やアレルギー、副鼻腔炎の悪化によって生じると考えられますが、放置して悪化すると頭痛や味覚の感じづらさなどが現れることもあるため、なるべく早く対処することが大切です。
今回はこうした黄色く粘つく鼻水の出る原因や対処方法について詳しくお伝えしていきましょう。
黄色く粘つく鼻水は白血球や免疫細胞の死骸の排出が原因
黄色く粘り気のある鼻水の多くは、細菌感染やアレルギーによって副鼻腔が炎症を起こし膿のたまる「副鼻腔炎」が原因になっていると考えられます。
また、風邪の治りかけやアレルギー性鼻炎の症状が進行した場合にも鼻水が黄色く粘度の高いものになることがあります。
こうした黄色く粘つく鼻水は、炎症に抵抗するために機能して死んだ白血球や免疫細胞が、鼻水に含まれて排出されることによるものです。
軽度の炎症であればセルフケアでの回復も可能ですが、症状が長く続く場合や頭痛や嗅覚の低下をともなう場合は耳鼻咽喉科を受診し、専門医の治療を受けるようにしましょう。
東洋医学では、鼻に余分な熱が溜まって炎症を起こす「熱証(ねっしょう)」の症状によって黄色く粘つく鼻水が生じると考えられています。
次の章ではこのような「黄色く粘つく鼻水」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきます。
黄色く粘り気のある鼻水を改善するセルフケア3選
1.鼻腔内の鼻水はこまめにかんで排出する
副鼻腔の炎症が慢性化すると、炎症を抑えるために戦った白血球の死骸や免疫細胞によって、鼻水の色が黄色くなります。鼻腔内に溜まった鼻水をかまずに鼻腔内に溜め込んでしまうと鼻腔内に細菌が繁殖しやすくなり、さらに炎症が悪化してしまうため、こまめに鼻をかみ、スムーズに鼻水を排出するようにしましょう。
もし鼻づまりの症状がひどく、鼻をかみづらい場合は、温かい飲み物の蒸気を吸ったり、濡らしたタオルをレンジで温めたホットタオルを鼻の上にあてたりするのも効果的です。粘膜の腫れが緩和されて分泌物がスムーズに出てくることがあります。
2.鼻うがいで鼻を洗浄して分泌物を排出する
ドロっとした鼻水が鼻腔に溜まって苦しいときは、「鼻うがい」をするのもオススメです。
鼻うがいで鼻腔内を洗浄すると、黄色い鼻水や鼻の奥にくっついた膿性の分泌物が排出されて鼻がスッキリします。
ただし、鼻の粘膜を傷つけないためにも、鼻うがいは必ず水道水ではなく生理食塩水で行うことや、1日に2〜3回までに止めることが大切です。
最近では市販の鼻うがい専用液もあるため、そうしたものを活用すると良いでしょう。
3.症状が続く場合は耳鼻咽喉科への受診を!
風邪を引いた際に黄色く粘つく鼻水が出る場合は、しっかりと睡眠をとって体力の回復に努め、体を冷やさないようにしましょう。早期の回復のためにも、栄養バランスの良い食事をとることが大切です。
風邪の治りかけに生じる黄色い粘つく鼻水は一時的な症状で時間とともに回復することが多いものですが、もし、黄色い鼻水が1ヶ月以上続く場合は「副鼻腔炎」の可能性もあり、放置すると慢性化した蓄膿症や中耳炎などの病気を引き起こすこともあるため、我慢せずに早めに耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。
根本的な体質改善には漢方薬が効果的!
黄色く粘つく鼻水を改善するためには、セルフケアや耳鼻咽喉科での治療に加えて、体質の改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)です。熱感を伴う鼻づまりに対して、熱を発散させて鼻の通りをよくする働きがあり、症状を改善します。
また、荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)は、鼻腔内の熱を冷まし、血行を改善して腫れをひかせて鼻の炎症を抑えるので良いでしょう。
一方、風邪や鼻づまりが悪化して黄色く粘つく鼻水が出る方には、体を温めて水分代謝を促し、鼻の通りをよくして症状を改善する葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)もオススメです。
風邪や鼻炎の悪化を防ぐための体力づくりを!
今回は、黄色く粘つく鼻水が出るときの対処方法や漢方薬をご紹介してきました。
症状を改善するためには、しっかりと睡眠をとり、栄養バランスのとれた食事をして免疫力を高め、風邪や鼻炎の悪化を防ぐことが大切です。
黄色く粘つく鼻水がなかなか解消しない場合は、悪化したり他の病気を併発する前に耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。
こうした鼻水にまつわる悩みには、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。