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孫娘の入園グッズが作れない…手指の関節痛で得意の手芸もお預けに!

体験談

更年期を迎えてからなんだか手指がこわばって痛みや動かしづらさを感じるようになった、指先に力がうまく入らず細かい手作業をするのが苦痛になってしまった…。
40〜50代の更年期世代の女性のなかには、こうした手指の症状に悩んでいる方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

こんな自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は更年期の「手指の痛みや変形」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

​​手指の関節に起きた謎の痛みとこわばり…原因不明の症状の解消法は?

美智代さん(53歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

ありがたいことにこの年齢までたいした病気をすることもなく無事に過ごしてこられたのですが、ここ数ヶ月、違和感を感じていることがあるんです。それは、手指の関節のあたりに感じる謎のこわばりや動かしづらさ…。
四六時中痛むというほどではないものの、細かい手作業をすると、ピリピリと関節のあたりに痛みが走り、思うように指が動かせないんです。特に怪我をしたわけでもないので、これはいったい何なんだろうと思い悩んでいます。
私には8歳、6歳、3歳の孫がいるのですが、上の2人には幼稚園入園のときに必要な手提げ袋やポーチなどの入園グッズを全て手作りしてきたんです。
趣味の手芸をいかせるのが嬉しくてしていたことなのですが、このまま指の痛みがひどくなったら末の孫娘にだけ手作りの入園グッズを作ってあげられないかと思うと悲しくて!
なるべく早めにこの手指の症状が治まってくれると良いのですが何か良い方法はないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
これまで簡単にできていたことや楽しみにつながっていたことが加齢とともにできなくなってしまうのは、気持ちの面でもつらいことですよね。
今回は更年期における手指の痛みや変形の原因や改善方法について詳しくお伝えしていきましょう。

更年期の手指の痛みや変形の原因は結節が主な原因に

更年期に見られる手指の関節の痛みや変形が起こる原因としては、主に第一関節に起こる「へバーデン結節」、第二関節に起こる「ブシャール結節」が挙げられます。
これは、手指の関節に骨のコブのような結節ができるために、腫れや痛み、水ぶくれなどの症状が起こる症状です。個人差はあるものの、関節軟骨の摩耗などによって手指に変形が生じることもあります。
こうした結節が生じる原因は定かではありませんが、女性ホルモンが減少し、ホルモンバランスが乱れる更年期や、産後、授乳期などにも見られるため、ホルモンの変動と何らかの関係があると考えられています。
関節の痛みは、結節以外にもリウマチなどでも起こるため、見分けが難しい場合は素人判断をせず、医師の診断を受けるようにしましょう。

また東洋医学では、更年期には「気(生命エネルギー)」「血(血液)」「水(水分)」の乱れからさまざまな不調が生じるとされており、特に手指の関節の痛みや痺れの症状は、血虚や血瘀(けつお)など「血」の不調から生じると考えられています。

次の章では、こうした症状を予防・対処するための具体的な方法をお伝えしていきます。

更年期の手指の症状への予防&対処法3選

1.エクオールの摂取でホルモンの働きを補う

手指に起こる関節症状には、遺伝や環境要因などのさまざまな原因が考えられますが、更年期に起こる女性ホルモンの減少やホルモンバランスの急激な変化も要因になると考えられています。
予防法としては朝晩の手指の関節部位のマッサージなども有効ですが、体の内側からの対策としては、女性ホルモンと同様の働きをするエクオールが有効です。
エクオールは、大豆や豆腐、投入などに多く含まれる大豆イソフラボンによって腸内で作られるものですが、体質によってはエクオールを体内で作り出せない場合もあるため、大豆製品を摂ることに加えてサプリメントで補っても良いでしょう。

2.テーピングで痛む部位を固定しましょう

手指の痛みがつらくて手が動かしづらい、家事や手作業がしずらい場合には、テーピングで患部を固定するのもひとつの方法です。
医療用のテープを関節周辺にぐるぐると2〜3周巻きつけておくことで関節の動きが制限されるため、負担がかかりにくくなり、痛みの緩和が期待できます。
テープを選ぶ際は、関節固定効果の高い少し厚みのあるものや、水仕事をしても水が染み込まない撥水性のあるものを選ぶと良いでしょう。

3.無理せず専門医の診断と治療を受けましょう

ヘバーデン結節やブシャール結節は、リウマチとは違い、自然に痛みや腫れがひくことも多いといわれていますが、悪化すると症状が長引いたり、手指の変形を招いてしまうこともあります。
リウマチとの区別がつかない場合や、関節にしびれや違和感を感じる場合は、なるべく早期に整形外科などの専門医に相談しましょう。
初期の段階で症状を抑える治療を行うことで、治癒までの時間を早めたり、痛みなどの症状を和らげ、日常の不自由さを改善することができるでしょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

更年期の手指の痛みや変形を改善するためには、セルフケアや整形外科での治療に加えて、体質の改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、桂枝加朮附湯(ケイシカジュツブトウ)です。特に冷えて痛むような関節痛に用いられ、体を温めて血行を良くして、余分な水分を排出して患部の痛みをやわらげていきます。
また、患部の炎症が強く熱感があって腫れている場合は、越婢加朮湯(エッピカジュツトウ)がオススメです。
一方、体力がなく、冷えが強いタイプで唇や皮膚が乾燥するタイプでは、温経湯(ウンケイトウ)を用いることがあります。

早期の段階で対策と治療をし、症状の悪化を防ぎましょう

今回は、更年期の手指の痛みや変形の改善方法や漢方薬をご紹介してきました。
つらい手指の症状を改善するためには、早期の段階で専門医の診断を受け、適切な対処をすることが大切です。
予防のためにも、日頃から大豆製品やエクオールのサプリメントを摂取し、ホルモンの減少を補っておくと良いでしょう。

また、こうした更年期の症状にまつわる悩みには、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

竹田由子

薬剤師 竹田由子(たけだゆうこ) 臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。 元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。 漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。

プロフィール

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