閉経後のおりものや尿漏れなどのケア方法とオススメ漢方
女性は閉経後とともにホルモンの分泌量が大きく変わり、それに伴って局部にさまざまな不快な症状が現れることがあります。
目次
閉経後のおりもの増加のケア方法と効果的な漢方
ホルモンバランスの急激な変化に伴う1つに、おりものの増加があります。
ここでは閉経後のおりもの増加の原因と効果的なセルフケアについて解説していきます。
おりもの増加の原因
閉経後はエストロゲン分泌が低下し、膣の粘膜は萎縮して薄くなっていきます。
そのため膣が乾燥してバリア機能の低下による細菌感染が起きたり、蒸れによる炎症を起こすことでおりものの増加を誘発します。
東洋医学では子宮や膣が炎症を起こす原因を、下半身に熱がたまることによる「湿熱」と考えます。
おりもの増加のケア方法と効果的な漢方
外陰部の蒸れは炎症を誘発する原因となります。蒸れや刺激は極力避けるような習慣をつけましょう。
ボトムスや補正下着を長時間着用するときは、タイトなものではなくゆったりとしたものをつける、おりものシートは頻繁に交換する、といった蒸れない習慣を生活の中で意識してみてください。
疲労の蓄積も免疫力を低下させ、膣の自浄作用の低下につながるため注意が必要です。
免疫力の低下によって、細菌性膣炎やカンジダ菌の感染による膣炎にもなります。
良質な睡眠をとり、その日の疲れはその日のうちに解消できるよう心がけましょう。
根本的な体質改善には漢方薬もオススメです。
下半身の湿気や炎症を抑えて「湿熱」を改善する「竜胆瀉肝湯(リュウタンシャカントウ)」や「気・血(生命エネルギー・血液)」の滞りを改善し「血瘀(けつお)」の解消に効果的な「温経湯(ウンケイトウ)」などが効果的です。
閉経後の陰部のかゆみのケア方法と効果的な漢方
閉経によるホルモンバランスの急激な変化に伴う症状の1つに、デリケートゾーンのかゆみがあります。
ここでは閉経後に出る陰部のかゆみの原因とセルフケアについて解説していきます。
陰部のかゆみの原因
閉経後はエストロゲンの分泌が低下することにより、膣内の粘液が減って乾燥が生じることで陰部のかゆみを誘発します。
東洋医学では、生殖機能や泌尿器系の機能を司る「腎」の働きが衰えること、「血」の滞りが原因の「血瘀」などから陰部のかゆみが生じると考えます。
陰部のかゆみのケア方法と効果的な漢方
陰部のかゆみを改善するには、まず患部を清潔かつ快適に保つことを意識しましょう。
直接触れる下着はナイロンなどの化学繊維ではなく、肌に優しく通気性の良いコットンやシルクなどの天然素材のものが肌の負担が少なくなります。
おりものシートもオーガニックコットンのものを使うなど、化学繊維が直接触れないようにすることがオススメです。
膣などの粘膜強化のためにも「腎」の働きを補う食材を積極的に取り入れましょう。
「腎」の働きを補う食材として代表的なものは、クルミや山芋、オクラ、黒キクラゲなどです。また、カフェインなどの刺激物や塩分の多いものはできるだけ避け、ビタミンやミネラル、良質なタンパク質を摂取することを意識してみてください。
根本的な体質改善には漢方薬も良いでしょう。
「腎」の働きを補い、粘膜に潤いを与える「八味地黄丸(ハチミジオウガン)」や身体の余分な熱を覚ます効果のある「黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)」などがオススメです。
閉経後の頻尿・尿漏れのケア方法と効果的な漢方
閉経によるホルモンバランスの急激な変化に伴う症状の1つに、頻尿や尿漏れの症状があります。
ここでは閉経後の頻尿や尿漏れの原因とセルフケアについて解説していきます。
頻尿・尿漏れの原因
膣の弾力性や伸縮性を保つ働きのあるエストロゲンの分泌低下により、尿道や膀胱が萎縮して尿を貯めておくことができなくなります。
さらに加齢とともに子宮や膀胱を支える骨盤底筋の筋力低下が起こり、頻尿や尿もれを誘発することがあります。
東洋医学では、生殖機能や泌尿器系の機能を司る「腎」の働きの衰えで、体内の水分バランスに異常をきたすことが原因と考えます。
頻尿・尿漏れのケア方法と効果的な漢方
頻尿や尿もれを防ぐために、水分の摂り方には注意しましょう。
コーヒーやお茶、アルコールなど利尿作用のある飲料を摂りすぎている方は、頻尿や尿漏れの症状を悪化させることがあるため少し控えめにすることをオススメします。
白湯や、カフェインを含まないほうじ茶などをこまめに摂取するようにしてみてください。
加齢による骨盤底筋の筋力低下も泌尿器系のトラブルの原因となります。
尿意を感じてから数分我慢して排尿する膀胱トレーニングなども、筋力を鍛えるために効果的です。
普段より少し多めに歩くだけでもトレーニングになるので、できる範囲で筋力を鍛える意識を持ちましょう。
漢方薬による根本的な体質改善もオススメです。
「腎」を補い、口渇や頻尿症状を改善する効果のある「八味地黄丸(ハチミジオウガン)」、排尿を促し、膀胱の粘膜保護効果もある「猪苓湯(チョレイトウ)」などが効果的です。
閉経後の膀胱炎のケア方法と効果的な漢方
閉経によるホルモンバランスの急激な変化に伴う症状の1つに、膀胱炎があります。
ここでは閉経後に膀胱炎になりやすい原因と、症状が出た時のセルフケアについて解説していきます。
膀胱炎の原因
閉経後の女性は、エストロゲンの減少で膣が萎縮し、潤滑が悪くなることで細菌感染をしやすくなるため膀胱炎にかかりやすいといわれます。
東洋医学では、生殖や泌尿器系の機能を司る「腎」が弱ることで、膀胱炎や頻尿などの細菌感染によるさまざまな症状が起きやすくなると考えます。
膀胱炎のケア方法と効果的な漢方
膀胱炎になってしまったときは、トイレの回数を増やして膀胱に侵入した細胞を尿ごと体外へ排出することが大切です。
トイレの回数が増えることを怖がらず、普段以上に水分を摂取しましょう。
そしてお腹や腰回りを冷やさずしっかりと温めて血の巡りを改善し、細菌に対する抵抗力を強くするよう心がけることが大切です。
根本的な体質改善には漢方薬も良いでしょう。
膀胱の粘膜を保護しながら尿量を増やし、菌を排出する効果のある「五淋散(ゴリンサン)」や、細菌による炎症を鎮めて排尿を促し、毒素を排出する「竜胆瀉肝湯(リュウウタンシャカントウ)」などがオススメです。
閉経後の性生活の違和感のケア方法と効果的な漢方
閉経後に起きる膣粘膜の萎縮や膣内の粘液減少によって性行為時に痛みが生じることがあります。
ここでは閉経後の性生活の違和感の原因とセルフケアについて解説していきます。
性生活の違和感の原因
エストロゲンには、膣内の粘膜に潤いを与えることで細菌の侵入を防ぐ働きがあります。
閉経後、エストロゲンが急激に減少することで、膣の粘膜は萎縮して薄くなっていきます。
さらに膣内の粘液が減って乾燥が生じることで、性交時の痛みや出血に繋がります。
東洋医学では、生殖機能や泌尿器系の機能に関わる「腎」の衰えや「血」の滞りによる「血瘀」が陰部の痛みや違和感の原因と考えます。
性生活の違和感のケア方法と効果的な漢方
エストロゲンの減少によって、女性の外陰部は自浄作用が弱まるといわれています。
デリケートになっている部分をボディ用のアルカリ性石鹸で洗ってしまうと、洗浄力が強すぎて膣内のバリア機能が損なわれてしまいます。
適切なpH(水素イオン指数)に設定されている弱酸性のデリケートゾーン専用ソープを使い、擦らず優しく洗いましょう。
セックスレスの状況が続いていると、膣が萎縮して柔軟性を失ったり、潤いが減る原因となります。
パートナーとうまくコミュニケーションをとりつつ、定期的に性行為をすることが大切です。
パートナーとの性行為が難しければ、膣内の血行を良くするためにご自身の清潔な手指でのオイルマッサージも血流アップに効果的があるとされています。
根本的な体質改善には漢方薬もオススメです。
「血虚」を改善して陰部の乾燥や炎症を抑えて痛みを改善する「四物湯(シモツトウ)」や、「血瘀」を改善して弱った「腎」を補う効果のある「八味地黄丸(ハチミジオウガン)」などが効果的です。
まとめ
閉経後の局部の不快感について症状別に原因、簡単に実践できるセルフケアについてご紹介しました。
局部の症状は人にも相談しにくいため、お1人で悩まれている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
こちらの記事を参考に、不快な症状改善のためセルフケアを実践してみてください。
閉経後に起こりやすいさまざまな症状の改善に漢方薬が効果を発揮した例があります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合には、お近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。