血便の原因と効果的な漢方…鮮血や腹痛などの症状に気づいたときの対処法
血便とは、消化管内で出血が生じ、血液が混入した状態で排出される便のことをいいます。
鮮やかな色の血や大量の出血があると不安を感じる女性も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
目次
鮮血便の原因と効果的な漢方
真っ赤な鮮血が混ざった便を鮮血便といいます。
ここでは、鮮血便の主な原因と対処法、効果的な漢方薬について解説していきます。
鮮血便の原因
血便とは、消化管内で出血が生じて、血液が混入した状態で排出される便をいいます。
真っ赤な鮮血が混ざった便(鮮血便)が出るのは、血液排出までの時間が短いと考えられるため、肛門に近い小腸や大腸、肛門からの出血の可能性があります。
東洋医学では、疲労やストレスによる「気(生命エネルギー)」と「血(血液)」の滞りによって、腸に炎症が起きている状態と考えます。
鮮血便のケアと漢方
便秘などが原因で排便時にいきむ行為は、肛門に強く圧力をかけるため出血を起こしやすくなります。
排便の時間はあまり長くならないよう3分程度に留め、無理に出そうと頑張りすぎないことが大切です。
仕事などで長時間立ちっぱなし、座りっぱなしなど同じ姿勢を続けることは、肛門のうっ血を招き、痔になる原因の一つでもあります。
こまめに休憩をとって体勢を変え、血の巡りを改善するようにしましょう。
根本的な体質改善には漢方薬もオススメです。
排便困難により痔が悪化した方の「気」と「血」の巡りを改善して穏やかな便通を招き、症状を改善する作用のある「桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)」や、血便による出血量が多い方には止血効果のある「芎帰膠艾湯(キュウキキョウガイトウ)」などが効果的です。
下痢をともなう血便の原因と効果的な漢方
下痢を伴う血便には、重大な疾患が隠れているケースがあります。
ここでは、下痢を伴う血便の主な原因と対処法、効果的な漢方について解説していきます。
下痢をともなう血便の原因
大腸炎に伴う血便は血液と粘液、時には膿が混じることがあります。
潰瘍性や虚血性の大腸炎では、下痢状の血便が頻発して症状が長期に渡るといわれます。
便が細く下痢と便秘を繰り返す場合は大腸ガンが考えられます。
大腸ガンは初期症状が現れにくい病気です。下痢を伴う血便がある場合は、まず医療機関を受診しましょう。
東洋医学の考え方では五臓のうち「肺」を大腸に関係の深いものと考えます。下痢や便秘などの排便の異常も「肺」に関係していると考えます。
下痢をともなう血便のケアと漢方
下痢を伴う血便の場合、まず医療機関で医師の診断を受けることが最も重要ですが、下痢の症状が辛いときは腸を安静にすることが大切です。
脱水症状を起こさないようしっかり水分を補給して、食事を控えて腸を休ませましょう。
食事は腹痛や血便が治ってきてから、少量ずつおかゆやうどんなどの食事からスタートし、徐々に普段の食事に戻していきましょう。
腸内環境を整えるよう意識することも大切です。
アルコールや甘い物の過剰摂取は控え、納豆や味噌など発酵食品や食物繊維などを積極的に摂取するよう心がけてくださいね。
漢方薬による根本的な改善もオススメです。
下痢により衰弱した身体を温める作用のある「茯苓四逆湯(ブクリョウシギャクトウ)」や、身体を温めて腹痛を和らげ、しぶり腹を改善する作用のある「桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)」などが効果的です。
腹痛をともなう血便の原因と効果的な漢方
腹痛を伴う血便には「大腸炎」が隠れている場合があります。
ここでは、腹痛を伴う血便の原因と対処法、効果的な漢方薬について解説していきます。
腹痛をともなう血便の原因
激しい腹痛を伴う血便の出る病気で、代表的なものに「虚血性大腸炎」があります。
この病気は、何らかの原因で大腸への血流が悪化し、循環障害が起こることで生じるといわれています。
原因は運動不足やストレスなどによる便秘、高脂質な物の摂取などが挙げられます。それ以外でも潰瘍性大腸炎や細菌性の腸炎などによっても腹痛を伴う血便が生じます。
血便が出たらまず病院で医師の診断を受けることをオススメします。
東洋医学では、このような腸の炎症は「血」の滞りによって起こるとされています。
腹部を温め冷えを解消し、血を巡らせるようにしましょう。
腹痛をともなう血便のケアと漢方
腸炎が腹痛や血便の原因の場合は、回復を早めるために食事は摂らずに水分補給のみで様子を見て、腸を安静にするとよいでしょう。
脱水を起こさないよう白湯やスポーツドリンクでの水分補給は継続しますが、食事は症状が落ち着いてから、少量ずつ開始します。
食事を再開するときも、まずおかゆや柔らかく煮たうどんなど消化の良いものから徐々に通常の食事に戻しましょう。
腸の炎症を抑えるには、「血」の滞りを改善することが重要です。無理のない程度の運動を日常生活に取り入れることで、全身の代謝を高めてお腹を温め、血流を改善しましょう。
便秘がちの方は、骨盤周りのストレッチや下半身の筋肉を鍛えるスクワットを取り入れると効果的です。
根本的な体質改善には漢方薬がオススメです。
下痢や便秘で腹痛を起こす方の痛みを軽減する作用のある「桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)」や、胃腸を温めて炎症を抑える作用のある「中建中湯(チュウケンチュウトウ)」などが効果的です。
痛みのない血便の原因と効果的な漢方
血便が出ても、出血が起きた部分によっては痛みを生じないことがあります。
ここでは、痛みを伴わない血便の原因と対処法、効果的な漢方薬について解説していきます。
痛みのない血便の原因
消化管の中でも痛みを感じる神経がない大腸粘膜からの出血の場合、痛みのない血便が見られることが多いといわれます。
大腸や直腸にできるポリープや大腸憩室からの出血、痔による血便などが、痛みを伴わない血便の主な原因と考えられています。
東洋医学では、腸で起きる炎症は腸の働きを司る「肺」と生殖機能や免疫機能を司る「腎」の機能低下によって起こると考えます。
痛みのない血便のケアと漢方
腸の病気を防ぐためには腸内環境を整えておくことが重要です。
また、暴飲暴食は、胃だけでなく腸にも大きな負担をかけます。食事はできるだけ消化が良くて、食物繊維やビタミン、ミネラルの豊富な和食中心のメニューと取り入れ、腹八分目を心がけましょう。
ストレスはさまざまな病気を悪化させる引き金になるといわれます。
血便の原因となっている病気の悪化にもつながることがあるため、自分なりのストレス解消法を見つけ、自律神経を整えるよう心がけましょう。
漢方薬による根本的な体質改善には漢方薬が効果的です。
身体の熱や炎症を取り除く作用のある「黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)」や、身体の下部で起こる出血を抑える作用のある「芎帰膠艾湯(キュウキキョウガイトウ)」などがオススメです。
まとめ
血便に伴う症状の種類ごとにそれぞれの原因と対処法、効果的な漢方薬についてご紹介しました。
血便には重篤な病気が隠れている場合があります。セルフケアで解決できるケースもありますが、血便が出た場合はまず医療機関を受診し、医師の診断受けることをお勧めします。
医師の診断を受けた上で、ここで紹介した対処法や効果的な漢方薬を参考に、症状の改善に努めましょう。