温経湯の効果と使い方…月経前や閉経後の気になる症状に
温経湯(ウンケイトウ)は生理不順や更年期障害などに効果を期待でき、婦人科でも処方されている漢方薬です。
気になる症状を改善するために、温経湯を使ってみたいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、温経湯の効果と使い方を確認し、実際に温経湯が効果を発揮するいくつかの症状を取り上げます。
漢方薬とあわせて取り入れたいオススメのセルフケアも紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
目次
温経湯(ウンケイトウ)の効果と使い方
温経湯はホルモンバランスの乱れによる生理不順を改善する効果があり、手足のほてり、唇が乾くなどの症状が気になる人にオススメです。
また、更年期障害や不眠、湿疹、足腰の冷え、しもやけ、手荒れなどにも効果があります。
温経湯は記載された用法または医師の指示に従って服用します。
薬によっては腸から吸収されるものもあるため、一般に「食前または食間に服用」となっています。食前なら30分前に、食間なら食後2時間空けて服用します。
月経前の不安定さに効果的な温経湯と加味逍遙散
月経の1週間くらい前から、乳房の張りや下腹部の痛みなどの身体症状、感情の不安定さなどの精神症状が現れることがあり、これらを月経前症候群(PMS)といいます。
PMSは排卵期を過ぎて月経が始まるまでの期間にホルモンバランスが急激に変化し、自律神経が乱れることで起こります。
東洋医学では、情緒不安定などの精神症状に対して「肝」の乱れを整えて「気・血・水(生命エネルギー・血液・水分)」のバランスをとることが重要だと言われています。
このような症状の根本的な改善には漢方薬の服用がオススメです。
「温経湯」は冷え性で月経不順があり、のぼせや皮膚の乾燥などが気になる方に効果があります。
また、「加味逍遙散(カミショウヨウサン)」は微熱や動悸、不眠などがある方の血と気の流れを良くし、ヒステリー症状を鎮めてくれる効果があります。
月経前の不安定さにオススメのセルフケア
ウォーキングなどで軽く汗を流すことは、気血の流れが良くなり、イライラが解消されます。日中に体を動かし、夜はぐっすり眠るようにしましょう。
また、ビタミンB6の不足や、カフェイン・砂糖の摂りすぎはPMSの悪化につながるため、栄養バランスのとれた食事を心掛けましょう。
月経前、気持ちが不安定になっているときは、無理をせずゆっくりと過ごすようにしてくださいね。
万が一ミスをしてしまっても、自分を責めずに心を落ち着かることが大切です。
閉経後のおりもの増加に効果的な温経湯と竜胆瀉肝湯
女性ホルモンのエストロゲンは、膣内の粘膜に潤いを与え、細菌の侵入を防ぐ役割があります。
ところが、更年期から閉経後は次第にこのエストロゲンの分泌量が低下するため、細菌感染が起こりやすくなり、おりものの量が増加します。
東洋医学では、子宮や膣が充血したり、炎症を起こしてしまったりする原因を、下半身に余分な熱が溜まることによる「湿熱」によるものと考えます。
このような症状には漢方薬の服用が効果的です。
「温経湯」は冷えが強いのに手足のほてりがあり、白っぽいおりものが多く出る方に良いでしょう。
他にも「竜胆瀉肝湯(リュウタンシャカントウ)」は、おりものや尿が濃く、匂いが気になる方にオススメです。
閉経後のおりもの増加にオススメのセルフケア
タイトなボトムスなど締め付けの強い服や、おりものシートを長時間装着することは陰部の蒸れや刺激の原因になります。日頃から服装に注意し、おりものシートは頻回に交換しましょう。
過労や睡眠不足を続けると、膣の中にある常在菌が衰え、自浄作用を低下させてしまいます。
膣の自浄作用が低下すると、細菌性の膣炎やカンジタ菌の感染による膣炎を引き起こす可能性もあります。
良質な睡眠を確保し、疲れを溜め込まないようにしましょう。
強いストレスを受け、自律神経のバランスが乱れることにより、おりものの量が増えることがあります。
ハーブティーを飲んだり、好きな趣味を楽しんだりすることでストレスを解消し、リラックスして過ごしましょう。
子宮内膜症に効果的な温経湯と桂枝茯苓丸
子宮内膜は月経時に経血として体外に排出されますが、体内にとどまり子宮内腔以外の場所で増殖し、炎症や癒着を引き起こすことを子宮内膜症といいます。
子宮内膜症がある場所からプロスタグランジン(子宮内膜から分泌される痛みの原因物質)が分泌されることで、月経時の痛みや下腹部痛、腰痛、排便時痛、性交痛などの症状が現れます。
東洋医学では、子宮内膜症は「しょうか」と呼ばれ、女性ホルモンのアンバランスや「血瘀(けつお)」が原因の一つになっていると考えられます。
根本的な改善を目指すなら、漢方薬の服用がオススメです。
「温経湯」は冷え性でのぼせやほてりがあり、皮膚がかさつきやすい方に効果的です。
そして、「桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)」は血液の流れを良くし、痛みを和らげる効果があります。
子宮内膜症にオススメのセルフケア
子宮内膜症の痛みが強い場合は、下腹部や腰を温めることで血液循環が改善し、痛みが軽減することがあります。
使い捨てのカイロや、足湯、半身浴などで体を温めるようにしましょう。
夏場でも冷たい飲み物は避け、ホットドリンクを選びましょう。
温かい紅茶にシナモンとすりおろした生姜を入れた「シナモン&ジンジャー紅茶」は体を内側から温め痛みを和らげてくれます。
肉類や乳製品はプロスタグランジンのもとになる脂肪酸が含まれています。できるだけ、脂肪分の高い製品は控えるようにしましょう。
顔のシワに効果的な温経湯と八味地黄丸
更年期になると女性ホルモンのエストロゲンが減少し、肌の潤いやハリを保つ機能が低下します。
肌が乾燥することで、シワやたるみが進行していきます。
東洋医学では、老化=「腎」の老化(腎虚)と考えます。
更年期になると「血」の不足や滞りが生じ、血から栄養を与えられる「気」も滞り、肌のハリや潤いが不足するのです。
このような症状には、漢方薬を服用して根本的な体質改善を目指すのもオススメです。
「温経湯」は生理不順や冷え・ほてり、皮膚や髪の乾燥に効果的で、「八味地黄丸(ハチミジオウガン)」はアンチエイジング全般が気になる方にオススメです。
顔のシワにオススメのセルフケア
顔のシワ対策のために顔の筋肉を動かすエクササイズを取り入れると良いでしょう。
3つのエクササイズを紹介します。
・眼輪筋を鍛える「8の字」エクササイズ
1.目を見開き、眼球を横に「8」の字を描くようにゆっくり動かします。
2.回転方向を変えて5回ずつ回します。
・口輪筋を鍛える「舌回し」エクササイズ
1.口を軽く閉じ、舌を歯の外側に這わせ、3秒かけて大きく回します。
2.回転方向を変え、1日30セットを目安に行います。
・顔全体の筋肉を鍛える「あいう」エクササイズ
1.口を縦に大きく開けて「あー」と言いながら10秒キープします。
2.「あ」「い」「う」を各10秒ずつで1セットとし、1日15セットを目安に行います。
まとめ
ここでは温経湯を取り上げ、その効果と使い方、並びに実際に温経湯が処方されるいくつかのトラブルを見てきました。
温経湯は女性特有のトラブルに効果を発揮してくれる女性の味方ともいえる漢方薬です。
症状に合わせてセルフケアを実践したり、他の漢方薬を取り入れるなどして、気になる症状の改善に役立ててみてはいかがでしょうか。