腹痛や便秘を改善するには?症状ごとに効果的な漢方薬を紹介

お悩み

腹痛や便秘は身近なトラブル。あまり深刻に考えなくても良い場合がほとんどですが、症状が続くようだと背景に何か病気があるのではないかと心配になったりします。

ここでは、さまざまなタイプの腹痛を取り上げ、原因や対処法を解説します。
また症状に合わせて使い分けたい、オススメの漢方薬も紹介します。

ストレスによる腹痛に効果的な漢方

ストレスを受けると自律神経のコントロール機能が乱れ、胃腸の働きに異常をきたします。
ストレスによって腸が過敏になり、下痢や便秘を繰り返す「過敏性腸症候群」をもつ人が増加傾向にあるといわれています。

東洋医学では、ストレスからくる胃腸症状を自律神経の過緊張状態から生じる「肝鬱気滞(かんうつきたい)」から生じると考えます。

ストレスからくる腹痛を改善するためには、自律神経の働きやホルモンバランスを整えることが大切です。

香りはダイレクトに脳に働きかけ、自律神経やホルモンバランスを整える効果があるとされています。
ローズマリーやレモン、ゼラニウム、カモミールローマンなどの精油(エッセンシャルオイル)を、ハンカチに1〜2滴垂らして香りをかぐと、緊張するシーンでの緊張緩和に効果的です。

根本的な体質改善には漢方薬がオススメです。
「肝鬱(かんうつ)」と呼ばれる自律神経の過緊張状態を緩和する作用のある「四逆散(シギャクサン)」や、お腹を温めて腹直筋の緊張をとる「桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)」などが効果的です。

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便秘による腹痛に効果的な漢方

一般的に便秘は3日間便が出ない、または排便が週3回未満の状態を指します。
より正確には、体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態を指します。

東洋医学では、便秘を「気(生命エネルギー)」の異常、「血(血液)」の滞り、「水(水分)」の不足により起こると考え、胃や腸に余分な「熱」がこもることで腹痛が生じると考えます。

便秘による腹痛を予防するためには、規則的な排便習慣を身につけることが重要です。
便意は、一度我慢をすると行き場を失った便が腸内に留まって次第に硬くなります。便意を感じたタイミングで排便をすることが大切なので、毎日決まった時間に排便する習慣をつけると便秘になりにくくなります。

漢方薬による根本的な体質改善もオススメです。
腸の働きを活発にし、穏やかな便通を促す作用のある「大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)」や、「気」と「血」のバランスを整えてスムーズな排便を促す「桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)」などが効果的です。

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食べ過ぎによる腹痛に効果的な漢方

食べ過ぎは胃腸に大きな負担をかけ、消化吸収機能を低下させます。胃には食べた物を消化しやすい形に分解し、小腸に送り出す働きがあります。
けれども暴飲暴食をすると、食べ物が胃に留まる時間が長くなり腸への移動が鈍ることで、腹痛を起こしやすくなります。

東洋医学では、暴飲暴食により体内で「湿邪(しつじゃ)」「熱邪(ねつじゃ)」「寒邪(かんじゃ)」など病気の元が生まれ、胃腸の働きが失調する「食滞(しょくたい)」の状態となり、腹痛が起きると考えます。

食べ過ぎが原因で腹痛が起こってしまったときは、まず安静にしてお腹の状態を整えたのちに白湯で水分を補給しましょう。
白湯はお腹を温め、胃腸の血流をアップさせて消化を促す効果が期待できます。一気に飲まずに時間をかけてゆっくり飲むよう意識しましょう。

根本的な体質改善には漢方薬も効果的です。
消化不良のある方の消化を助け、「食滞」を解消する作用のある「平胃散(ヘイイサン)」や胃内の「水」の停滞を改善して消化器官の機能を高める「六君子湯(リックンシトウ)」などがオススメです。

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食後の腹痛に効果的な漢方

食後に起こる腹痛は、自律神経の影響が大きいと考えられます。
ストレスや疲労、緊張で胃腸などの消化管の働きが弱まり、炎症を起こしている場所を食べ物が通ることで、それが刺激となり痛みを感じます。

東洋医学では、消化管の働きを司る「脾(ひ)」と「胃」の気が滞ることによる「脾虚(ひきょ)」の状態から食後の腹痛などの不調が起こると考えます。

食後の腹痛を起こさないようにするためにできることとして、寝る直前の食事を控えることが挙げられます。
食べたものが胃から腸へ移動するのは、通常1〜2時間を要します。食後すぐに寝てしまうと、胃の内容物が十分に消化しきれずに胃もたれや上腹部痛を生じやすくなります。
夕食が遅くなる場合は軽食を事前にとり、寝る前の食事は軽く済ませましょう。

根本的な体質改善を目指すなら漢方薬も良いでしょう。
体内の余分な「水」の停滞を解消することで、消化不良を伴う胃もたれや腹部の張りを改善する作用のある「平胃散(ヘイイサン)」や、身体を温め「気」の流れを良くする作用のある「六君子湯(リックンシトウ)」などがオススメです。

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辛いものを食べた後の腹痛に効果的な漢方

辛いものを食べた後の腹痛は、香辛料に含まれるカプサイシンなどによって胃腸の粘膜が刺激され、胃酸の分泌が過剰になることで起こるとされています。

東洋医学では、辛いものの摂りすぎで「熱」が胃にこもり「胃熱(いねつ)」が生じることで「気」が滞り、胃炎症状を起こすと考えます。

刺激物を食べた後に腹痛が起こってしまったときは、まず安静にして痛みが落ち着くのを待ちましょう。
このときに冷たい水を一気飲みしたり、大量に飲むと余計に胃を刺激して腹痛を悪化させることがあります。水分を摂りたくなったときは、温かい白湯をゆっくり飲むよう心がけましょう。

根本的な改善には漢方薬がオススメです。
身体を温めて余分な「水(水分)」を取り除き、腹部の痛みを改善する「六君子湯(リックンシトウ)」や、辛い物を食べた後、体内で不足するとされている「血」や「水」を補い、「血熱」を冷ます効果のある「黄芩湯(オウゴントウ)」などが効果的です。

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右脇腹の痛みに効果的な漢方

右脇腹の痛みは胆石の可能性があります。
胆石は食生活の欧米化によるコレステロール上昇、肥満や過食、不規則な食生活やストレスなどが主な原因と考えられています。

右脇腹の痛みの原因とされる胆石は、生活習慣と密接に関係しています。
特に胆汁の濃度を高くする原因となるアルコールや、胃を刺激する炭酸飲料は、胆石の痛み発作の原因となるため、これらの飲み物はできるだけ控えましょう。

漢方薬による根本的な体質改善もオススメです。
胆石による痛みを和らげ、胆石形成を予防する作用のある「大柴胡湯(ダイサイコトウ)」や炎症を鎮めて腹痛を和らげると共に、ストレスなどの精神症状を改善する作用のある「四逆散(シギャクサン)」などが効果的です。

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ガス溜まりによる腹痛に効果的な漢方

ガス溜まりによる腹痛は、ストレスや疲労などで自律神経が乱れ腸内で悪玉菌が増えやすい環境になることで起こるとされています。オナラや便を我慢する、緊張状態が長時間続くことなどで、腸内にガスが溜まって大きな塊になります。
そして腸は大きく膨らみ、働きも弱まることで腹痛や胃痛に繋がります。

東洋医学では、自律神経の乱れによって「気」が滞ることでガス溜まりが生じると考えます。

ガスが溜まりお腹が張って苦しく感じるときは、入浴の際にお腹を温めながら優しくマッサージをすると効果的です。
おへその周りに手を当ててさするようにマッサージをします。時計回りに刺激してまんべんなくお腹を刺激しましょう。

根本的な体質改善には漢方薬も効果が期待できます。
「気」と「血」の巡りを整えて穏やかに排便を促す作用のある「桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)」や、身体を温めて胃腸の働きを改善する効果のある「大建中湯(ダイケンチュウトウ)」などがオススメです。

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まとめ

腹痛の種類別に原因と対処法、効果的な漢方薬を紹介しました。
普段から腹痛にお悩みの方は、ここで紹介したセルフケアを辛い症状の改善に役立ててください。

腹痛には漢方薬を用いた根本的な体質改善が効果を発揮した例があります。セルフケアを試してもなかなか改善しないときは、お近くの漢方医や漢方薬局にご相談くださいね。

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