更年期障害のちょっとした症状の対策とオススメの漢方薬
閉経前後の女性は心身にさまざまな不調が生じがちです。
30~40代はプレ更年期、40~50代は更年期にあたり、体調管理には特に気をつけたい時期です。
更年期障害の症状としては「ほてり」や「のぼせ」、「手足の冷え」などが代表的です。
この他にも人によっては、皮膚のかゆみ、ドライマウス、ドライアイ、食欲不振、抜け毛といった症状が現れます。
ここでは、更年期障害のちょっとした症状を取り上げ、改善するための対策とオススメの漢方薬を紹介します。
目次
更年期の「皮膚のかゆみ」対策とオススメの漢方薬
エストロゲンは、皮膚の水分を保つセラミドやコラーゲン、ヒアルロン酸の合成を促し、肌のハリや潤いを保つ役割をしています。
更年期になるとこのエストロゲンが減少し、皮膚が乾燥しやすくなります。
皮膚のかゆみ対策を確認しておきましょう。
こまめにスキンケア
普段から肌を清潔に保ち、全身を保湿しましょう。
入浴は37~38℃のぬるま湯に入るようにし、入浴後は5分以内に乳液や保湿クリームを塗りましょう。
肌に効く食材を取り入れる
皮膚の症状に効果のある食材を毎日取り入れましょう。
・ビタミンB2:皮膚の保護、口内炎予防(レバー、納豆、干し椎茸、卵など)
・ビタミンB6:皮膚の抵抗力増進、免疫機能の維持(カツオ、まぐろ、レバー、五穀米など)
・ビタミンC:コラーゲンの合成、皮脂の分泌を調整、美白作用(パプリカ、ブロッコリー、キウイ、柿など)
・ビタミンE:血行改善、抗酸化作用、老化を遅らせる(かぼちゃ、アボガド、アーモンド、オリーブオイルなど)
・コラーゲン:皮膚の水分保持、美肌(牛すじ、鶏肉、魚の皮、えびなど)
・ヒアルロン酸:皮膚の水分保持、美肌、肌の弾力を維持(ウナギ、フカヒレ、鶏の手羽・皮など)
・大豆イソフラボン:皮膚の水分保持機能を高める(豆腐、豆乳、サプリなど)
全身の洗い方を見直す
肌の痒みを強く感じるときは、ボディーソープで全身を洗うのは週2~3回程度に控えましょう。腋や足の裏、股などの気になるところだけ毎日洗うと良いでしょう。
更年期の皮膚のかゆみにオススメの漢方薬
皮膚の痒みを根本的に改善するためには、漢方薬の服用をオススメします。
加味逍遙散合四物湯(カミショウヨウサンゴウシモツトウ)は血を補い巡らせ、乾燥した肌を潤す効果があります。
更年期「ドライマウス」対策とオススメの漢方薬
更年期になり女性ホルモン(エストロゲン)が少なくなると、唾液の分泌が減り、口が渇きやすくなります。
ドライマウス対策を確認しておきましょう。
しっかり噛んで食べる
食事のときは、よく噛んで食べましょう。1口あたり30回を目標に、意識して噛むことが大切です。
また、イソフラボンは更年期のドライマウスを和らげる効果があります。大豆製品やサプリなどを積極的に摂取しましょう。
唾液腺を刺激する
耳のすぐ前にある唾液腺を指でクルクルとマッサージしたり、アメやガムを食べることで唾液が出やすくなります。食事の前や、空腹時に唾液腺を刺激しておくと、食事中の飲み込みにくさが軽減されます。
体の水分が足りないと唾液も少なくなります。こまめに水を飲むようにし口の中を潤しましょう。
ストレスをためない
ストレスがかかると交感神経が刺激され、唾液の分泌量が減り、ドライマウスになりやすくなります。ストレスをためない生活を心掛けましょう。
更年期のドライマウスにオススメの漢方薬
ドライマウスを根本的に改善するためには漢方薬の服用が効果的です。
麦門冬湯(バクモンドウトウ)は口腔の潤いを補い、胃腸を整えます。白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)は体内にこもった余分な熱を冷ましながら、水分を補う効果がありオススメです。
更年期の「ドライアイ」対策とオススメの漢方薬
更年期になると女性ホルモンが減少し、全身の潤いも減ってきます。
それにより、目も乾燥しやすくなりドライアイになります。
また、パソコンやスマートフォンの画面を長時間見たり、細かい文字を見ていると、まばたきの回数が減り目が渇きやすくなります。
ここではドライアイ対策を確認しておきましょう。
まばたきを意識する
パソコンなどで作業しているときは定期的にぎゅっとまぶたを閉じるとドライアイ予防になります。
ストレスをためない
リラックスしているときは涙が増え、ストレスが溜まっている状態だと涙が出にくくなってしまいます。
ストレスをためない生活を心掛けましょう。
加湿器を活用する
冬場や空調が効いている場所はとても乾燥しているため、室内干しや加湿器で調整しましょう。
更年期のドライアイにオススメの漢方薬
ドライアイを根本的に改善するためには、漢方薬の服用がオススメです。
麦門冬湯(バクモンドウトウ)は肺や胃の水分を補い、体に潤いを与える効果があります。
また、人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)は貧血気味で疲れやすく、不安や不眠などの精神症状や目の乾燥に効果があります。
更年期の「食欲不振」対策とオススメの漢方薬
更年期の食欲不振は女性ホルモン(エストロゲン)の減少が原因と考えられています。
ホルモンバランスが乱れて自律神経が不安定になると、胃腸機能が低下し、消化不良や胃もたれ、吐き気などが起こりやすくなります。
食欲不振への対策を確認しておきましょう。
便秘解消につとめる
便秘の解消は食欲不振の改善につながります。
加齢によって腹筋が衰えてくると、腸の筋肉も弱くなり動きが鈍くなるので、日頃から体を動かして腸を刺激しましょう。
栄養を意識した食事を
食欲不振になると、食事量が減り栄養が不足しがちになります。ミネラルやビタミンB群の多い食材を積極的に摂りましょう。
良質な睡眠をとる
自律神経を整えるために、次のポイントを意識して十分な睡眠をとりましょう。
・就寝の3時間前には食事を済ませる
・就寝の2時間前までに入浴する(40℃くらいのぬるま湯がオススメ)
・就寝前に携帯やパソコンは触らない
アロマを取り入れる
アロマの香りはホルモンバランスや自律神経の乱れを整えます。
オレンジスイートやグレープフルーツなどの柑橘系の精油は、消化を促し食欲を刺激する成分であるリモネンを多く含んでいるためオススメです。
更年期の食欲不振にオススメの漢方薬
食欲不振の根本的な改善には、漢方薬の服用が効果的です。
六君子湯(リックンシトウ)は胃腸の働きを高め、吐き気・食後の膨満感・下痢などを改善します。人参湯(ニンジントウ)は胃腸を温めることで消化機能をアップし、食欲不振を改善します。
更年期の「抜け毛」対策とオススメの漢方薬
エストロゲンはヘアサイクルを正常に保ち、髪の新陳代謝をスムーズにする働きがあります。
更年期になると、このエストロゲンが減少するため抜け毛などの症状として現れます。
ここでは抜け毛対策を確認しておきましょう。
タンパク質とイソフラボンを摂取
髪の成分は主にタンパク質で構成されているため、肉や魚、豆腐や卵などのタンパク質を摂りましょう。
また、大豆イソフラボンは女性ホルモンに似た働きをするエクオールが含まれているため、ホルモンバランスの乱れを改善する効果があります。意識して摂取するようにしましょう。
良質な睡眠をとる
睡眠不足は頭皮の新陳代謝を滞らせてしまうため、規則正しい生活を心掛けましょう。
深い睡眠を得ることで自律神経のバランスが整い、健康な髪が育ちます。
頭皮の血行を改善する
入浴後は、頭皮に育毛剤をつけて指の腹で念入りにマッサージしましょう。
血行が良くなることで、頭皮に酸素と栄養が行き渡り健康な髪が生えやすくなります。
更年期の抜け毛にオススメの漢方薬
抜け毛を根本的に改善するために漢方薬の服用をオススメします。
十全大浦湯(ジュウゼンダイホトウ)は髪のパサつきを抑え、コシを甦らせる効果があります。
また、八味地黄丸(ハチミジオウガン)は白髪が目立ち、実年齢より老けて見える方にオススメです。
黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)は頭皮がべたつき、ペタンとして見える方には良いでしょう。
まとめ
更年期にはさまざまな症状が現れます。ストレスをためない、良質な睡眠をとる、タンパク質やイソフラボンを意識して摂取することが対策の基本になります。
更年期障害の症状に漢方薬が役立つ例もあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合には、お近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。