小青竜湯の効果と使い方…鼻風邪や花粉症の気になる症状に
小青竜湯(ショウセイリュウトウ)は花粉症や、透明な鼻水が出る感冒初期によく使用される漢方薬です。
服用しても眠くならず、さまざまなシーンで使用できるため、実際に使ってみたいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
目次
小青竜湯(ショウセイリュウトウ)の効果と使い方
小青竜湯は体を温めながら、発汗を促して「水(水分)」のめぐりを良くし、鼻水や鼻づまりなどの鼻炎症状を改善する効果があります。
体がもっている防御機能に作用してアレルギー反応を抑える、鼻の粘膜の欠陥を収縮させて鼻づまりを改善する、といった働きも期待できます。
青竜は神話に出てくる四神のひとつで、東方を守り、雨を招き万物を発育させることができるとされています。大青竜湯に比べて発汗作用に劣るので小青竜湯といいます。
小青竜湯は波浪の中に潜って体内の痰飲を取り除く力を持つと考えられています。
小青竜湯は飲み始めてすぐに効果があらわれるため、症状の改善がみられたら服用をやめるようにしましょう。
鼻風邪に効果的な小青竜湯と荊芥連翹湯
鼻風邪は、外気に含まれるウィルスや細菌が上気道に侵入することで起こります。その後、体の防御反応として鼻水、鼻づまり、くしゃみ等の症状があらわれます。
鼻風邪の症状を根本的に改善するためには漢方薬の服用もオススメです。
「小青竜湯」は水のような鼻水や痰が出る方の水分代謝を整え、鼻の症状を抑える効果があります。
「荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)」は炎症を鎮めて膿を排出させる効果があるため、膿のような鼻水や鼻炎症状がある方にオススメです。
鼻詰まりが解消できなくて苦しいときは、温熱療法を試してみましょう。
熱めのお湯(40~50℃)にタオルを浸して軽くしぼり、鼻の付け根から鼻の穴あたりにタオルを当てて、ゆっくり鼻呼吸をします。
鼻の粘膜を温め、適度な湿り気を与えることで、血行が良くなり鼻が通りやすくなります。
痰の症状に効果的な小青竜湯と清肺湯
風邪をひいたときに痰が出るのは、ウィルスや細菌によって喉に炎症が起きているためです。
熱が下がっても痰が出続けることがありますが、これは喉の粘膜に残った病原体による炎症が続いているからで、通常は1週間程で症状が治まることが多いです。
東洋医学では痰を「痰液(たんえき)」と呼び、痰が体中に留まると、さまざまな臓器に病的な状態を起こすと考えられています。
漢方薬を服用して風邪による痰の症状を根本的に改善するのもオススメです。
「小青竜湯」は冷えた体を温めながら体内の水分代謝を促し、水っぽい痰を排出させる効果があるため、サラサラとした色の薄い痰や、鼻水をともなう痰の症状がある方にオススメです。
また、「清肺湯(セイハイトウ)」は喉や気管の炎症を抑えて痰をスムーズに排出する効果があるため、色が濃く、粘度の高い痰が出る方に効果的です。
また、痰が絡んで苦しいときはハチミツ生姜湯を試してみましょう。温かい飲み物を摂取すると気管が広がり、呼吸が楽になります。
体を温めてくれる生姜湯に喉の炎症を鎮めるハチミツを加えて「ハチミツ生姜湯」として飲むと効果的です。
花粉症の目の症状に効果的な小青竜湯と越婢加朮湯
花粉症は体内に入ってきた花粉に対する免疫反応により、さまざまな症状が引き起こされるアレルギー症状です。
特に目は角膜や結膜に直接花粉が付着するため、充血やかゆみなどの症状が現れやすくなります。
東洋医学では花粉症による目の症状は「気(生命エネルギー)」や「血(血液)」が滞る「肝気鬱血(かんきうっけつ)」により生じると考えられています。
花粉症による目の症状を根本的に改善するためには漢方薬の服用も効果的です。
「小青竜湯」は体が冷えて、くしゃみや水っぽい鼻水がある方の余分な水分を排出する作用があります。
「越婢加朮湯(エッピカジュツトウ)」は目のかゆみや皮膚が熱を持ったように熱くなっている方の症状改善にオススメです。
外出したあとは目に花粉が入っているため早めに洗眼液で花粉を洗い流すことが大切です。
水道水で目を洗うと塩素により目を傷つけてしまうことがあるため、市販されている防腐剤フリーの洗眼液を使いましょう。
また、目がかゆいときは、保冷剤や冷たいタオルをまぶたに当てると効果的です。
花粉症による鼻血に効果的な小青竜湯と葛根湯加川芎辛夷
花粉症によるアレルギー性鼻炎の症状が強いときは、鼻の粘膜に炎症が起き、鼻水やくしゃみが頻発します。
鼻をかむ回数が増えるため、鼻の粘膜が傷つき、出血しやすくなります。
東洋医学では花粉症などのアレルギーにより、冷えから「水(水分)」のバランスが崩れて「水毒(すいどく)」の状態になったり、体内に余分な「熱」が溜まることで鼻の粘膜が充血・炎症を起こすとされています。
漢方薬を用いて、花粉症による鼻血を根本的に改善するのも良いでしょう。
「小青竜湯」は鼻炎症状を和らげ、鼻血を抑える効果があります。
「葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)」は鼻の通りを良くする効果があるため、鼻づまりや、黄色い粘液のような鼻水の方にオススメです。
鼻をかむときは、鼻呼吸から口呼吸に切り替え、反対の鼻の穴をしっかりと抑えて片側ずつ優しく丁寧にかみます。
このとき、急いで鼻水を押し出そうとせず、少しずつ鼻から空気を出して刻むようにかむのがポイントです。
また、鼻の奥に指やティッシュペーパーを乱暴に押し込むと、粘膜を傷つけてしまい、鼻血の原因となりますので注意しましょう。
花粉症による肌荒れに効果的な小青竜湯と黄連解毒湯
花粉症による肌荒れは「花粉皮膚炎」と言い、皮膚を通して侵入しようとする花粉に対するアレルギー反応の一種です。
症状としては肌が敏感になり、乾燥や赤み、かゆみなどが生じます。
東洋医学では、皮膚の症状は内臓の乱れによるものと考えられています。
花粉症による肌荒れは体が冷えて「寒証(かんしょう)」の状態になり、「気(生命エネルギー)」が乱れることにより生じるとされています。
花粉症による肌荒れを根本的に改善するためには漢方薬の服用もオススメです。
「小青竜湯」は肌荒れだけでなく、くしゃみや鼻水がある方の冷えた体を温めることで症状を改善する効果があります。
また、「黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)」は皮膚が赤みを帯びてかゆみがある方の余分な「熱」や毒素を排出し肌荒れを改善する効果があります。
肌のバリア機能を保つために、保湿スキンケアを欠かさないようにしましょう。洗顔の際は、よく泡立てた洗顔料で肌をこすらないように優しく洗い、しっかりすすぐようにしてくださいね。
洗顔後はすぐに保湿力の高い化粧水や乳液をつけて肌を乾燥から守ることが大切です。肌荒れがひどいときは、花粉の飛散するシーズンだけ敏感肌用のコスメに変更すると良いでしょう。
まとめ
ここでは小青竜湯を取り上げ、その効果と使い方、並びに実際に小青竜湯が処方されるいくつかのトラブルを見てきました。
小青竜湯は風邪をひいたときの鼻水や痰、花粉症のアレルギー症状などに有効です。
症状に合わせてセルフケアを実践したり、他の漢方薬を取り入れるなどして、気になる症状の改善に役立ててみてはいかがでしょうか。