寒気や震えの対策法は? 症状ごとに効果的な漢方薬を紹介

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風邪の引き始めの寒気や震えだけではなく、熱を伴わないものや、月経前に起こる特有のものなど、寒気や震えにはさまざまな種類があります。

ここでは寒気や震えをさまざまなタイプに分け、タイプ別の原因や対処法、効果的な漢方薬について解説していきます。

悪寒戦慄の対策法と効果的な漢方

発熱して体温が上がろうとするときにゾクゾクとした寒気を感じ、歯がガチガチ鳴るほど震えてしまうような状態を「戦慄悪寒」といいます。

症状を起こす理由はさまざまですが、更年期世代の女性の場合、ホルモンバランスの乱れに伴って自律神経がバランスを崩すことで生じることが多いといわれています。

東洋医学では、悪寒戦慄ののちに発熱するものを「寒熱」によるものと考えます。
一方、発熱のないものは「陽虚」による冷えから「血(血液)」の巡りが滞り「血瘀(けつお)」の状態となることから生じると考えます。

「戦慄悪寒」の症状は「陽気」の不足から生じることがあります。
身体の内側から起こる冷えを改善するために「陽気」を補う海老、鶏肉、牛肉など食材を積極的に摂り入れましょう。ターメリックや胡椒、山椒などのスパイスも効果的です。

根本的な体質改善には漢方薬もオススメです。
身体を温め、痛みや炎症を鎮めて自律神経を整える「柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)」や、身体の表面を温めて発汗を促すことで体内にこもった「熱」を発散させる効果のある「麻黄湯(マオウトウ)」などが効果的です。

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熱のない寒気の対策法と効果的な漢方

疲れやストレスにより体力が低下していると、発熱するエネルギーが足りずに免疫機能が正常に働かなくなることがあります。
そうした場合、寒気やだるさがあっても発熱するためのエネルギーが足りず、熱が出ないまま辛い症状だけが続きます。

東洋医学では、寒気は感じるものの熱の上がらない病態を、冷えによる「寒証」によるものと考えます。
これは、「気虚」「血虚」「水毒」が主な原因と考えられています。寒気を伴う風邪は、疲労やストレスで免疫力が下がり、抵抗力が弱まったところで冷えやウイルスなどの「寒邪」が入ることで起こるとされています。

寒気を感じたら、首を曲げた際に一番飛び出ている骨の下、へこんだ部分にある「大椎(だいつい)」という身体を温めるツボを押してみてください。寒気や震え、微熱症状、冷えによる肩こりにも効果的です。

漢方薬を用いた根本的な改善もオススメです。
ゾクゾクした寒気をとり、首筋の痛みや関節痛を和らげる効果のある「葛根湯(カッコントウ)」や、発汗を促して体内にこもった熱を発散する効果のある「麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)」などが効果的です。

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月経前の寒気の対策法と効果的な漢方

月経前の寒気の原因として、「体温の変化」と「自律神経の乱れ」が関係していると考えられています。

特に月経前は黄体ホルモンが活発化する影響で、体温は上昇するものの代謝が落ちて血行が悪化し、冷えを感じやすくなります。
さらにホルモンバランスの変化で自律神経が乱れ、ストレスや感情の起伏が高まることでも冷えを生じるとされています。

東洋医学では、月経前に「気・血・水(生命エネルギー・血液・水分)」のバランスが乱れることでさまざまな不調が起こると考えます。
特に寒気は身体が冷えることからくる「風寒(ふうかん)」により起こると考えます。

月経前の冷え対策としては、とにかく身体を冷やさず温めることが大切です。
特にお腹の周りや、冷えやすい手足などは保温性の下着や腹巻などの冷えとりアイテムを活用することもオススメです。

根本的な体質改善には漢方薬も効果的です。
身体を温めて穏やかな発汗を促し、寒気を和らげる「桂枝湯(ケイシトウ)」や、寒気からの発熱がある場合には、身体にこもった熱や炎症を引かせる作用のある「柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)」などが良いでしょう。

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二日酔いによる寒気の対策法と効果的な漢方

お酒を飲むことで身体が熱くなり、顔が赤くのぼせたようになることがあります。
これはアルコールの血管拡張作用により、一時的に血流が増えることで体温が上昇するためといわれています。
しかしアルコールが原因で拡張した血管は、翌日には収縮して体温が一気に下がります。
このときの急激な体温の変化が、自律神経の働きを乱して体温調節機能を狂わせることで寒気を起こすといわれています。

二日酔いによる寒気を起こしたときは、まず休息をとって体調を整えましょう。
少し症状が落ち着いてきたら、湯船に浸かり、身体を芯から温めます。
熱いお湯は血管を拡張させて、再び体温調節機能を乱し症状がぶり返すことがあります。少しぬるいと感じるくらいの温度のお湯でじんわりと温まるのが良いでしょう。

根本的な症状の改善には漢方薬がオススメです。
身体に溜まった余分な「水」を排出する作用のある「五苓散(ゴレイサン)」や、体内にこもった熱や炎症を鎮める効果のある「柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)」などが効果的です。

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手足の震えの対策法と効果的な漢方

姿勢や動作に伴って手足に震えが生じ、不規則な不随意運動が起こる症状を「本態性振戦」といいます。
自分の意思とは関係なく震えが起き、ストレスなどによる交感神経の高ぶりによって症状が強くなるとされています。

東洋医学では、体の震えは「風」により引き起こされ、自律神経を司る「肝」と関係が深いといわれています。

本態性振戦は手足に力を入れたり不自然な体勢をとったときに起こります。なるべく無理な体勢や姿勢を避けましょう。
加齢とともに筋肉が衰えることでも震えが起きるといわれます。マッサージやストレッチで筋肉疲労を取り除き、手先を使う動作や運動を積極的に日常生活の中に取り入れることもオススメです。

根本的な体質改善には漢方薬がオススメです。
「血」を補い、筋肉の急な痙攣や震えを緩和する「芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)」や、身体に溜まった余分な「熱」の逃がし、筋肉を緩めて震えを和らげる作用のある「抑肝散(ヨクカンサン)」などが効果的です。

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緊張による震えの対策法と効果的な漢方

精神的な緊張で震えが起きる生理的振戦は、覚醒や興奮に関係する神経伝達物質のノルアドレナリンが血液中で上昇することで起こります。
不安や緊張を感じたときに活発に分泌されるノルアドレナリンは、交感神経を活性化させることで心拍数や体温、血圧を急上昇させ、震えや動悸、発汗の原因となるとされています。

東洋医学では自律神経を司る「肝」の機能の不調により、ストレスを感じたときに「気」や「血」の流れが滞ることで症状が出るとされています。

緊張による震えを感じたときは、「腹式呼吸」で脳にたっぷり酸素を送り込むことで、パニック状態を回避することができます。

漢方薬による根本的な体質改善もオススメです。
「気」を巡らせて「肝」のうっ血を改善し震えを伴う緊張を和らげる効果のある「四逆散(シギャクサン)」や、「気」や「血」を巡らせて自律神経を整える作用のある「加味逍遙散(カミショウヨウサン)」などが良いでしょう。

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まとめ

寒気や震えを症状別に分けてそれぞれの原因と対処法、効果的な漢方薬について紹介してきました。

寒気や震えを伴う辛い症状でお悩みの方は、この記事で紹介したセルフケアを症状改善に役立ててください。

また、こうした症状の改善には漢方薬が効果を発揮した例があります。セルフケアを試してもなかなか症状が改善しない場合は、お近くの漢方医や漢方薬局にご相談くださいね。

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