生理前の気になる9つの症状を徹底解説! 効果的なケア方法と漢方

お悩み

生理前になると胸の張り、体重増加、むくみといった身体的な症状や、イライラ、情緒不安定といった精神的な症状が現れます。
月経の3~10日前の間に起きる月経前症候群(PMS)は月経開始とともに軽くなって、気にならなくなることがほとんどです。しかし、毎回同じような症状に悩まされるのはつらいですよね。

この記事では、生理前のよくある9つの症状を取り上げ、ケア方法と漢方薬を紹介します。

生理前のイライラに効果的なケア方法と漢方

生理前になると、いつもよりイライラしてしまうことはありませんか?

生理前のイライラは月経前症候群(PMS)の症状のひとつです。
月経前症候群の原因は脳内ホルモンの変動、生活習慣の乱れ、ビタミンB6の不足、エストロゲンの低下などがあります。

ここでは、イライラを解消する方法をいくつか紹介します。

入浴でリラクゼーション

37~40℃のぬるま湯にゆっくり浸かることで血行が良くなり、イライラを緩和できます。
全身浴は15~20分、半身浴は20~30分を目安に就寝の1~2時間前に入浴すると良質な睡眠につながります。

生理前にオススメの食べ物

生理前のイライラは気が滞ることで引き起こされるので気を巡らせる食べ物(セロリ、シソ、ミカン、大根、キクラゲ、そば)を積極的に摂りましょう。
また、エストロゲンに似た作用を持つ大豆もオススメです。

ハーブティー、アロマオイルで嗅覚を刺激しリラックス

嗅覚は脳にダイレクトに作用するため、良い香りを嗅ぐことで気持ちを安定させることができます。
イライラ解消に役立つハーブティーとアロマオイルは次の通りです。

  • イライラを解消するハーブティー

・カモミール
・チェストツリー
・セントジョーンズワート
・サフラワー
・ジャスミン
・ラズベリーリーフ

  • イライラを解消するアロマオイル

・ラベンダー
・ローズ
・クラリセージ
・ゼラニウム
・ローマンカモミール

アロマオイルはお風呂に2~3滴垂らす、ティッシュやタオルに1~2滴垂らす、ぬるま湯を入れたコップに1~2滴垂らす、といった使い方ができます。

イライラに効果的な漢方薬

イライラを根本的に改善したい方は漢方薬もオススメです。

加味逍遥散(カミショウヨウサン)は、気・血(生命エネルギー・血液)の生成や巡りを改善し、月経異常、のぼせ、冷え、神経の高ぶりや抑うつに効果があります。
抑肝散(ヨクカンサン)は神経質、不眠に効果があります。

詳しくは「生理のせいで月イチで離婚の危機!どうしたらこの感情爆発を抑えられますか?」の記事で紹介しています。
https://kentame.com/archives/7340

生理前の倦怠感に効果的なケア方法と漢方

月経前の不調は女性ホルモンの変化や栄養バランスの乱れなどが影響しています。
倦怠感も月経前の不調のひとつです。
倦怠感を感じたら次の点に注意してみてください。

頑張り過ぎない

生理前に倦怠感を感じたときは頑張り過ぎに気をつけましょう。
やる気がない時に「頑張らないと」と気を張ってしまうと、それがストレスとなり体調が悪化してしまうことがあります。
この時期のつらい症状は「静養が必要」という体のサインと考えてゆったりとした気持ちで過ごしましょう。

倦怠感に効果的な漢方薬

月経前の倦怠感を根本的に改善するためにオススメなのが、漢方薬の服用です。

補中益気湯(ホチュウエッキトウ)は胃腸の働きを高める効果があります。
また、人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)は貧血や冷え症の方にオススメです。

詳しくは「ご飯も作りたくない…生理前の異様な倦怠感でおしどり夫婦が崩壊の危機!」の記事で紹介しています。
https://kentame.com/archives/7382

生理前の眠気に効果的なケア方法と漢方

排卵が終わり月経が始まるまでの期間(黄体期)は、プロゲステロンの分泌が盛んになり眠気が強くなります。
またこの期間は体温も高めの状態が続くため、一日中強い眠気に襲われやすくなります。

生理前の眠気を改善するケア方法を紹介します。

急な血糖値の上昇を抑える

糖分の多いケーキやジュースなどを摂取するとインスリンが大量に分泌され、その反動で血糖値が急降下します。
低血糖状態になると余計に眠気を感じやすくなるため、糖質の多い食べ物は控えましょう。

パワーナップを使う

パワーナップとは積極的仮眠と言い、いわゆるお昼寝のことです。
昼間に20分程度の睡眠をとると脳内がリセットされ、午後のパフォーマンス向上が期待できます。

ツボ押しをする

眠気を覚ましたいときにはツボ押しも効果が期待できます。

合谷(ごうこく)は、手の甲にある親指と人差し指の間のくぼみにあるツボです。
百会(ひゃくえ)は、頭頂部から見て、目と目の間と左右の耳を結んで交差したところにあるツボです。

眠気に効果的な漢方薬

月経時の症状を根本的に改善するためには漢方薬の服用が効果的です。

加味逍遙散(カミショウヨウサン)は血液の流れを良くし、のぼせや疲労感を解消することで体のリズムを整えてくれる効果があります。
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)は貧血による疲労感や頭重感のある方にオススメです。

詳しくは「生理前の居眠りグセがひどすぎて、ついたあだ名は「眠り姫」…!」の記事で紹介しています。https://kentame.com/archives/7370

生理前の腹痛に効果的なケア方法と漢方

排卵時の腹痛は、卵子が外に排出される際に卵胞液と血液が腹膜を刺激することで起こります。
また、月経前はホルモンバランスの変化により月経痛のような痛みが起こりやすいです。

生理前の腹痛を改善するためのケア方法を紹介します。

骨盤をゆるめるストレッチ

月経時に骨盤が上手く緩んでいないと月経痛につながります。
ストレッチで骨盤の広がりをサポートしましょう。股関節ストレッチとあぐらストレッチの手順は次の通りです。

  • 股関節ストレッチ

1.体操座りをし、大きく開脚をします。膝を直角に立てて手は体の後ろにつけます。
2.大きく息を吐きながら膝の重みを利用し右膝を内側に倒します。
3.左膝も同様に内側に倒します。
4.ゆっくりと左右5回ずつ繰り返します。

  • あぐらストレッチ

1.あぐらをかき、上半身はまっすぐな状態で踵を股間近くに引き寄せます。
2.体の後ろに手をつき、胸を開き上体を引き上げるように息を吸い背筋を伸ばします。
3.股関節から体を折るようにして深く息を吐きながら上体を前に傾けます。

腹痛に効果的な漢方薬

月経時の腹痛を根本的に改善するために漢方薬の服用をオススメします。

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)は血の滞りを解消し、のぼせや肩こり、腹痛を鎮めてくれる効果があります。また、大建中湯(ダイケンチュウトウ)は体を温める効果があるため、冷え性やお腹を下しやすい方に効果的です。

詳しくは「生理前の腹痛で月の半分が憂うつ…生理なんてなければいいのに!」の記事で紹介しています。
https://kentame.com/archives/7467

生理前の頭痛に効果的なケア方法と漢方

月経時の頭痛は女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少し、痛み物質が放出され脳の血管に炎症が起きることで発生します。

生理前の頭痛を改善するためのケア方法を紹介します。

適度な睡眠時間をとる

睡眠不足によるストレスで頭痛が起きることがあります。睡眠は5~6時間とるようにしましょう。
また、寝過ぎも頭痛の原因となるため、休日も規則正しい生活を心掛けてくださいね。

刺激を減らす

明るいライトや騒音なども頭痛が悪化する原因となります。頭痛が起きたら、暗くて静かな場所で安静に過ごしましょう。

入浴はぬるめのお湯で

体が温まり過ぎると血管が拡張し頭痛が起こりやすくなります。
お風呂の温度は42℃以下とし、長時間温まるのは避けましょう。

頭痛に効果的な漢方薬

月経前の頭痛は漢方薬の服用で根本的に改善することもオススメです。

呉茱萸湯(ゴシュユトウ)はズキズキと脈打つような片頭痛に効果的です。
むくみや胃腸症状を伴う頭痛の場合は五苓散(ゴレイサン)がオススメです。

詳しくは「まるで生理までのカウントダウン…つらい頭痛にさよならを!」の記事で紹介しています。
https://kentame.com/archives/8552

生理前の胃痛に効果的なケア方法と漢方

月経直前は子宮を収縮させ経血をスムーズに出すためにプロスタグランジンという生理活性物質が分泌されます。
この物質は胃を収縮させる作用もあるため胃痛の原因となります。

生理前の胃痛を改善するためのケア方法を紹介します。

食生活を見直す

冷たいもの・糖分・脂肪分・カフェインなどの刺激物は控え、食べすぎに注意しましょう。

体を温める

月経直前は体が冷えやすく、冷えから胃痛が増悪することがあります。

カイロや湯たんぽでお腹周りを温めましょう。
また、ホットドリンクをゆっくり飲んで胃を温めるのも効果的です。

ツボ押しをする

胃痛の緩和にはツボ押しがオススメです。

内関(ないかん)は手首内側の横じわの中央から指3本分肘寄りの位置にあるツボ。ズキズキした胃の痛みや不快感を緩和する効果があります。

足三里(あしさんり)は膝のお皿の下の外側のくぼみから指4本分下にあるツボ。胃腸全般の不調を改善、予防に効果的です。

胃痛に効果的な漢方薬

月経前の胃痛を根本的に改善するために漢方薬の服用をオススメします。

安中散(アンチュウサン)はお腹や内臓を温め、胃腸の痛みを和らげる効果があります。
また、胃苓湯(イレイトウ)は胃痛や吐気、胃もたれ、下痢などを改善する効果があります。

詳しくは「胃に異常がないのに拷問級の痛み…これも生理前の症状!?」の記事で紹介しています。
https://kentame.com/archives/7389

生理前の腰痛に効果的なケア方法と漢方

月経前は子宮収縮を促し経血をスムーズに排出させるためプロスタグランジンという生理活性物質が多く分泌されます。
この物質は血管や筋肉を収縮させる作用があり、これが腰痛の原因となります。

生理前の腰痛を改善するためのケア方法を紹介します。

血の巡りをよくする

下腹部や仙骨(腰とお尻の間にある骨)を温めると腰痛を和らげることができます。
また、普段から体を冷やさないように冷たい飲み物は避け、入浴時はぬるめのお湯に浸かる習慣をつけましょう。

靴を見直す

高すぎるヒールや足の形に合わない靴を履くと疲労が腰に溜まり腰痛の原因となります。
歩きやすく、クッション性のある靴を選びましょう。

ツボ押しをする

腰痛の緩和にはツボ押しも効果的です。

手根(しゅこん)は手首の付け根部分の内側、横じわの少し上あたりにあるツボ。ゆっくり揉みほぐすことで血流がアップし痛みが緩和されます。

労宮(ろうきゅう)は手の指を内側に軽く曲げた時、中指と薬指が触れる部分、手のひらのほぼ真ん中に位置するツボ。自律神経を整える効果があります。

腰痛に効果的な漢方薬

月経前の腰痛の根本的な改善には、漢方薬の服用も良いでしょう。

五積散(ゴシャクサン)は冷えによる腰の痛みを和らげる効果があります。
また、通導散(ツウドウサン)は血液の流れを良くし、腰痛、肩こり、便秘のある方にオススメです。

詳しくは「歩くのもつらい…ギックリ腰のような生理前の激痛に脂汗!」の記事で紹介しています。
https://kentame.com/archives/7315

生理前の不安定に効果的なケア方法と漢方

月経開始1週間前から乳房の張り・下腹部の痛みなどの身体症状のほかにも、感情の不安定さなどの精神症状が現れます。

「不安定だな」と感じたときのケア方法を紹介します。

月経前は無理せずゆっくりと過ごす

月経前は精神的に不安定になりやすく、勘違いやミスを起こしやすくなります。無理をせずゆっくりと過ごしましょう。

適度な運動と十分な睡眠

ウォーキングなどの軽い運動は血の巡りが良くなり、イライラ解消につながります。
特にヨガは精神面も整えることができるのでオススメです。
日中に運動をし、夜はぐっすり眠るようにしましょう。

食事にも気をつける

ビタミン・ミネラル(特にビタミンB6)は症状が緩和されるため積極的に摂取しましょう。
反対にカフェインや砂糖の摂りすぎは症状の悪化につながりますので注意してください。

生理前の不安定に効果的な漢方薬

月経前の気持ちの不安定さを改善するために、漢方薬の服用も効果的です。

加味逍遙散(カミショウヨウサン)は血と気の流れを良くし、動悸や不眠、ヒステリー症状を鎮めてくれる効果があります。
温経湯(ウンケイトウ)は冷え性や月経不順、のぼせや皮膚の乾燥が気になる方にオススメです。

詳しくは「生理前は人格豹変! 気持ちの波がひどくて恋も破綻寸前…」の記事で紹介しています。
https://kentame.com/archives/7349

生理前のうつ症状に効果的なケア方法と漢方

排卵期を過ぎる頃、急激にホルモンバランスが変化し自律神経が乱れます。このとき、うつ症状が生じることがあります。

生理前のうつ症状を改善するためのケア方法を紹介します。

深呼吸をする

精神症状が表れている時は全身の筋肉に負荷がかかり呼吸が浅くなりがちです。
呼吸が浅いと十分な酸素が取り込めずストレスを増幅させてしまいます。ストレスを感じたら鼻からゆっくり息を吸うように意識しましょう。
血の巡りを良くし、深い呼吸を実践できるヨガも良いでしょう。

質の良い睡眠を取る

睡眠時間は長ければ良いというものではありません。
特に自立神経を整える成長ホルモンは就寝3時間後までの間に分泌が盛んになるため、この時間に深く入眠できるかがポイントです。
就寝時間と起床時間を決めて規則正しい生活を心がけてくださいね。

自分を甘やかす

月経前でうつうつとしている時は自分を甘やかしましょう。
頑張らなきゃ!と自分にプレッシャーをかけると症状が悪化する恐れがあります。ラクな気持ちで乗り切りましょう。

うつ症状に効果的な漢方薬

生理前のうつ症状を根本的に改善させるためには漢方薬の服用もオススメです。

加味帰脾湯(カミキヒトウ)はうつや不眠などの精神症状を鎮めてくれる効果があります。
半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)は胃腸が弱く、ストレスで胸がつかえるような症状のある方には良いでしょう。

詳しくは「生理前は「全部私が悪い…」と思い詰めてしまいます。これってPMSですか?
」の記事で紹介しています。
https://kentame.com/archives/735

まとめ

月経前症候群(PMS)にはさまざまな症状がともないます。
頑張りすぎないこと、良質な睡眠をとること、食事に気を配ることがケアの基本です。

生理前の症状に漢方薬が役立つ例もあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合には、お近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。

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