なぜ死因に?若年性アルツハイマーの症状を知っておこう

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若年性認知症は病名ではなく、65歳未満で発症する認知症の総称となります。

ここでは若年性認知症の原因や症状について解説します。

若年性認知症の原因は?

「若年性認知症の実態と対応の基盤整備に関する研究」によると、若年性認知症の原因疾患には、血管性認知症(39.8%)、アルツハイマー病(25.4%)、頭部外傷後遺症(7.7%)、前頭側頭葉変性症(3.7%)、アルコール性認知症(3.5%)、レビー小体型認知症(3.0%)などがあります。

若年性認知症の中でも多いアルツハイマー型認知症とは

若年性認知症でも4分の1を占めるアルツハイマー型認知症について見ていきましょう。若年性アルツハイマーとは18歳〜64歳までに発症するアルツハイマー型認知症のことを指します。

若年性と高齢者の最も大きな違いは、発症年齢になります。また、男女比にも差があります。高齢者の認知症は女性が多いですが、若年性認知症は男性の方が発症率が高いという報告があります。

若年性アルツハイマーの原因は完全に特定されておらず、さまざまな要因が指摘されています。

遺伝的原因

近親者の中に若年性アルツハイマー患者がいる場合は、若年性アルツハイマーを発症する可能性が高くなります。一方、高齢者のアルツハイマー型認知症では遺伝的要因は薄いと考えられています。

乱れた食生活

乱れた生活習慣は、認知症の発症と関係のある血管性障害や糖尿病を引き起こし、ひいては認知症へとつながっていきます。

外的要因(事故等)

交通事故などによる頭部への外傷も原因となりえます。自転車事故やスポーツ選手は脳に障害を受けやすく、発症リスクが増加します。

過度な飲酒・喫煙や薬物乱用

飲酒には脳の萎縮の可能性があり、若年性アルツハイマーを引き起こす原因となりえます。また、薬物乱用も同様に脳の萎縮を引き起こすため、若年性アルツハイマーを引き起こします。

生活習慣病

高血圧の場合、脳血管障害の原因となり、若年性アルツハイマー病へとつながる可能性があります。また、糖尿病になると若年性アルツハイマーになるリスクが2倍になるといわれています。糖尿病は、脳に老廃物が溜まりやすくなることで若年性アルツハイマーの原因になると考えられています。

若年性アルツハイマーの中核症状

中核症状とは、脳が萎縮しダメージを受けることで現れる認知症特有の症状です。日常生活に支障をきたすほか、認知症の進行とともに症状が悪化していきます。

記憶障害

比較的新しい記憶から薄れていきます。数日前のことが思い出せなくなり、大事な予定や約束を忘れてしまいます。しかし、予定や約束を忘れたことの自覚がないため、周囲の人に指摘されても思い出すことができず、仕事などのトラブルの原因となります。

見当識障害

日付や季節、親しい人の顔などを正確に認識することができなくなります。これも、日常生活の中でさまざまな支障が出るため、仕事でのトラブルの原因となります。

理解力・判断力の低下

物の片付けができなくなる・仕事の内容が頭に入らない・運転中の判断が遅くなり事故を起こすなど、理解・判断力が低下します。

実行機能障害

物事を順序立てて計画的に実行することが困難になります。切符の買い方がわからない・料理の作り方がわからないなどの症状が出てきます。

若年性アルツハイマーの周辺症状

周辺症状とは、中核症状に加えて、本人の性格や生活環境が影響することで現れる次のような症状を指します。

妄想

嫉妬妄想や被害妄想、物とられ妄想といった妄想が出てきます。

幻覚

実際には見えていないものが見える幻覚や、聞こえていないものが聞こえる幻聴といった症状がでてきます。幻覚でみられるものは、動物や人物に関するものが多いです。

不安・焦燥・抑うつ

働き盛りのときに認知症を発症するため、本人にとっても非常に辛いものになります。また、職場での周囲の反応に過敏に反応していまいます。

それにともない、認知症に伴う易怒性や感情失禁などもみられ、精神状態が不安定になります。今まで社交的だったのが、抑うつ状態に陥る場合もあります。

アルツハイマーが死因になるのはなぜ?

若年性アルツハイマーの場合、予後は10〜15年といわれています。若年性レビー小体型認知症の寿命は7年、前頭側頭型認知症は6〜9年といわれているので、若年性認知症の中では比較的寿命が長いと言えます。

症状の進行に伴って、脳や身体に障害が進んでいき、死因となります。アルツハイマーが直接の原因ではないにしろ、アルツハイマーが起因となって、他の症状(交通事故、脳血管障害、誤嚥性肺炎など)を呈することが原因となります。

いかがでしたでしょうか。認知症を発症するのは高齢者だけと思われがちですが、若年でも起こります。働き盛りの年代であるため、仕事がうまくいかず、周りから迷惑に思われてしまいます。本人に認知症の自覚がないため、それがさらに本人を苦しめることにつながります。周りの人がおかしいなと感じたときは様子を見ようとせず、病院に相談しましょう。


<執筆・監修>

九州大学病院
脳神経外科 白水寛理 医師

高血圧、頭痛、脳卒中などの治療に取り組む。日本脳神経外科学会専門医。

白水寛理

九州大学病院 脳神経外科 医師   九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。 日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

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