HSP(エイチエスピー)の種類と、HSCの子供への接し方
HSP(Highly Sensitive Person)とは、人よりも刺激に敏感で、感覚が鋭いため、音や光、匂い等に必要以上に反応したり、他人のささいな言動や感情の動きに振り回されたりする人のことです。日本人は比較的多く、約20%(5人に1人)がHSPであると考えられています。
目次
HSP(エイチエスピー)とは
HSPの特性は主に4つあります。
・Depth of processing(処理の速さ):物事を深く考える
・Over Stimulation(刺激を受けやすい):刺激に対して敏感
・Emotional Responsiveness & Empathy(感情的反応性・高度な共感性):刺激に対する反応が大きく強い
・Sensitive to Subtleties(ささいな刺激に対する感受性):些細なことまで気が付く
このようにHSPは刺激に対して敏感で他者の気持ちがわかりすぎるため、人付き合いが苦手な人が多かったり、疲れやすい傾向が強いとされています。
また食べ物にもその特性が反映され、過度に甘かったり酸っぱかったり、味覚を強く刺激するものが苦手な人が多いです。これらの性質は先天的なものであるため、生涯にわたってその影響を受ける可能性が高いです。
HSPの4つの種類
HSPは性格的な要素を含めて4つの種類に分類されます。また、HSPは先天的なものですが、性格的要素を含むため、後天的要素も含まれます。
内向型のHSP
HSPの約7割が内向型のHSPと考えられています。刺激に対して敏感で、得られる情報量が人よりも多いですが、その情報に一喜一憂し、自問自答を繰り返してしまう傾向が強いです。
そのため、うつ病や自尊心の低下などのリスクを伴ってしまいます。内向的で考えが深いため、読書や研究が好きな人が多いです。
外向型のHSP
外交的なため、交流が好きですが、そこから受ける刺激に対してネガティブな影響を受けてしまいます。そのため、外交的で多くの刺激に触れる機会がある反面、その刺激に対してネガティブな反応をしてしまい、自分自身を追い込んでしまう傾向があります。
よく言われる表現で「アクセルを踏みながらブレーキを踏んでいる」ような矛盾を抱えている人のことを言います。
内向的で刺激を求めるHSS型HSP
HSPの約3割が内向的で刺激を求めるHSS型HSPと考えられています。好奇心が強く、挑戦を好みますが、刺激に対して敏感であるが故に疲れやすいという面があります。また、同じことを繰り返すと刺激になれてしまうため、飽きやすいという面もあります。
コミュニケーションを取ることに対して抵抗はないですが、ストレスが一定水準を超えてしまうと1日中寝込んだりすることもあります。
外向的で刺激を求めるHSS型HSE
刺激に対して敏感なため、多くの情報に気づくことができ、外交的なため社会生活も上手くいくタイプです。メリットが多いように感じますが、HSPの特徴である刺激に対して敏感な点は変わらないので、収集する情報量が多くなるにつれて、疲労感はとても大きくなります。
その反面、周囲からは信頼され、リーダーなどの立場を任されることも多く、自身と周囲との期待が乖離してしまうことがあります。
HSCとHSPの違い
HSPという言葉の他にHSCという言葉があります。HSCとはHighly Sensitive Childの略語であり、HSPの中で子供のことを特にHSCといいます。
HSCの特徴はHSPと違いはなく、生まれつき刺激などに敏感な性質があります。そのため、環境の変化や人が大勢いる場所を苦手とすることが多く、学校などの集団生活になかなか馴染めないことがあります。
HSCの子供への接し方
親の中には、子供が学校などにうまく馴染めないことから、子育ての仕方が悪かったのかもしれないと自責する方もいますが、HSCは生まれつきの先天的な性質のため、親の子育ての仕方で原因ではありません。
HSCという性質を認めたうえで、無理させないことやいい面を見つけて伸ばしていくなどの接し方をしていきましょう。
HSPで辛くなった時の対処法
HSPの人の多くは刺激に対しての悩みを抱えたことがあると思います。しかし、性格的なものであり、なかなか改善することが難しいです。自分の特性と上手に付き合うための対処法を用意しておくといいでしょう。刺激やストレスをできるだけ避けるのが基本となります。
HSPを正しく理解する
HSPについて正しく理解していないと自分を責めてしまいかねません。まずは、自分が繊細な気質だと自覚することが大事です。そう自覚することで、他人と比べるのではなく、自分でできる範囲で頑張ろうと思考転換できます。
環境を変える
自分の意思ではどうにもならない生来的な要因が絡んでおり、HSP気質を変えることは困難です。そのため無理に自分を変えようとせず、異動や転職などの環境を変えることを考えてみましょう。自分に合った環境で過ごすことが重要となります。
刺激を遮断する
休息時間には、五感への刺激をなるべく抑えるようにしましょう。何もせず、じっとする時間をもつことも効果的とされています。疲れが溜まっている休日などは、ぼんやり過ごしてみることも一つの手です。
自分をいたわる
周囲のネガティブな感情を敏感に察知し、傷ついたり落ち込んだりすることも多いです。そのため、自分を肯定し、自尊心を回復することが重要となってきます。落ち込んでいる時こそ自分自身にポジティブな言葉をかけるよう意識しましょう。
相手の理解を期待しすぎない
相手と分かり合うことで居心地のいい環境をつくることができるかもしれませんが、相手の理解を期待しすぎてしまうと、もし違う反応が出た際に期待はずれの感情が強くなります。あまり相手に期待しすぎず、フラットな気持ちで伝えていくよう心がけましょう。
HSPであることを楽しむ
HSPは何もデメリットばかりではありません。感受性・想像力豊か、気配り上手、責任感が強い、思慮深い、危機管理能力が高いなど、HSPだからこそ得られるメリットもあります。そのため、そのメリットに目を向けることで自身の生活もより豊かになっていくはずです。
HSPだからといってマイナスな面ばかりでなく、むしろプラスな面も多々あります。メリットを活かしていくよう心がけていきましょう。
<執筆・監修>
九州大学病院
脳神経外科 白水寛理 医師
高血圧、頭痛、脳卒中などの治療に取り組む。日本脳神経外科学会専門医。