イヤホンやテレワークによる頭痛とは?症状を和らげる方法を解説

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最近ではテレワークを導入する企業が増えました。在宅勤務となった方も多いのではないでしょうか?

そんな中、増えるのがテレワークによる頭痛です。今回はテレワークによる頭痛について詳しく見ていきましょう。

イヤホンで頭が痛くなるのはなぜ?

自宅や電車内、テレワーク中など日々の生活にイヤホンが欠かせないものになりました。街中でもよくイヤホンをつけている方を見かけます。しかし、長時間使用することで頭痛や吐き気の症状に襲われる人が増えています。 

長時間の使用による緊張型頭痛

長時間のイヤホンを使用していたり、寝る時に小さい音量でも音楽を聴きながら寝ている人もいるのではないでしょうか?

長時間使用することで、ヘッドホン難聴や緊張型頭痛の原因となります。また、音量をいつも大音量で聴いていたり、音量全体の60%以上の音量で聴いている方は注意が必要となります。

イヤホンが耳に合っていない場合の緊張型頭痛

イヤホンのイヤー部分が耳の形に合っていないと、耳が痛くなってしまうだけでなく、耳の周りの筋肉や頭全体なども血行不良になってしまう可能性があり、緊張型頭痛につながります。

逆位相音の影響

特にイヤホンのイヤーの左右やネックバンドを肩に回さず使っていると緊張型頭痛になる恐れがあります。また、最近ではノイズキャンセル機能付きイヤホンが標準となってきました。ノイズキャンセリングは、外部の音をシャットアウトしてくれてかなり便利な機能です。

しかし、このノイズキャンセリング機能は、周囲の騒音に対して逆位相音を流します。すなわち、雑音に対して人間に聞こえない音を流し続けているということです。この逆位相音が吐き気や頭痛を招いてしまうこともあります。

テレワークで起きる頭痛の種類

テレワークで起きる頭痛には、次に挙げる片頭痛、緊張型頭痛、後頭神経痛などがあります。

片頭痛

在宅勤務の場合、専用のデスクがなくてリビングダイニングなどでテレワークする方も多いのではないでしょうか。ダイニングテーブルは、ノートパソコンを使うにはテーブルが低くて椅子は高い場合が多く、猫背の姿勢になりがちです。

猫背の姿勢は首に大きな負荷がかかり、ストレートネック(スマホ首)を引き起こします。このストレートネックによって片頭痛の発作が起き、痛みのせいで首や肩がこわばってしまうことで、緊張型頭痛も併発して悪化してしまうことがあります。

緊張型頭痛

先ほども述べたように、専用デスクでなく、不良姿勢(猫背など)となることで、ストレートネックとなって、緊張型頭痛を引き起こします。ま

また、パソコンやタブレット、スマートフォンからはブルーライトが出ています。ブルーライトは波長が380〜500nmの青色光で目に見える光の中で最も波長が短く、紫外線に近い強いエネルギーを放ち、目の奥の網膜まで到達します。

網膜細胞が青い光の刺激に強く反応するため、ブルーライトによる眼精疲労が起き、緊張型頭痛を悪化させます。

後頭神経痛

長時間猫背の姿勢でいることで後頭神経痛も起こります。モニターを正面ではなく、左右どちらか前方に置いて使っている人も多く、モニターを見る際、体は正面を向きながら首だけひねるといった歪んだ姿勢になります。

このとき顔を向けた側の後頭神経が頭蓋骨と頚椎に挟まれ、反対側の後頭神経が引っ張られます。そうすることで後頭神経が興奮して後頭神経痛が起こります。

後頭神経痛とは、頭痛というよりも頭皮の末梢神経がダメージを受けて痛む神経痛のひとつです。後頭神経には大後頭神経、小後頭神経、大耳介神経の3つがあり、これらの神経がダメージを受けることで発生し、片側の首から後頭部にかけてのチクチク、キリキリ、ズキズキとした激痛がある場合や、ピリッと一瞬電気が走るような痛みを繰り返す場合があります。

また、急激に首を前や後ろに倒したり、首を回したりすると痛みが起き、頭皮に触れたりしただけで痛むことがあるのが特徴です。

頭痛の症状を和らげる方法

頭痛を和らげるのに適した方法は頭痛の種類によって異なります。タイプ別に頭痛を和らげる方法を見ておきましょう。

片頭痛

テレワークでは通常の勤務とは異なり、勤務地へ赴かなくていいため、起床が遅くなったり、だらだらとしてしまって就寝が遅くなったりと、1日の生活リズムが乱れがちです。

睡眠ホルモンであるメラトニンは、朝日を浴びるとセロトニンに変わります。生活リズムが乱れることでセロトニンが足りなくなり、片頭痛が悪化します。まずは生活リズムを整えるよう気をつけましょう。

不良姿勢になっている方はパソコンスタンドなど補助グッズを活用して高さを調整し、前傾姿勢にならないようにしましょう。さらに、仕事の合間に首や肩などのマッサージを行いましょう。

緊張型頭痛

不良姿勢になっている人は、テレワークで前傾姿勢にならないように環境を整えることが必要となります。また、パソコンのブルーライトを長時間みることは眼精疲労につながるため、長時間の連続使用を避けるか、避けられない場合はブルーライトをカットする眼鏡を活用するなどの工夫をしましょう。

後頭神経痛

後頭神経痛は強い痛みが出る神経痛ですが、1週間程度で自然に改善することが多いです。

後頭神経痛が起きたら、まずは痛みの元を短時間冷やしましょう。長時間冷やしてしまうと筋肉の凝りが起きてしまいます。

また、最も痛みを感じる部位か神経痛の根元を5秒ほど指で強めに押して離すことを数回繰り返すことで、神経の興奮が抑えられ、痛みが和らぎます。神経痛であるため、通常の消炎鎮痛薬を飲んでも効果がありません。

後頭神経痛の予防は、何よりも不良姿勢を正すことが大事となります。パソコンやスマホを使う際は、首や肩の筋肉に負担がかからないように正しい姿勢で使うようにしましょう。

いかがでしたでしょうか。頭痛の頻度が強くなったなと感じる方は、テレワークが増えたことが原因かもしれません。思い当たる方は、再度テレワーク時の自身の姿勢、生活リズムを見直しましょう。そうすることで頭痛も改善されるかもしれません。改善しない場合は、一度病院を受診して相談してみましょう。


<執筆・監修>

九州大学病院
脳神経外科 白水寛理 医師

九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。
日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

白水寛理

九州大学病院 脳神経外科 医師   九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。 日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

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