後頭部の頭痛の原因は?後頭神経痛の特徴と改善方法

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ズキっと後頭部が痛むという経験をしたことはありませんか?

片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛は三大慢性頭痛と呼ばれており、みなさんも一度は聞いたことがあると思います。

近年はテレワークの普及に伴い、後頭神経痛が増えてきているようです。ここでは後頭部の頭痛、特に後頭神経痛について詳しくみていきましょう。

後頭部の頭痛になる後頭神経痛とは

後頭神経痛の原因、症状の特徴、他の頭痛との違いについて順に解説していきます。

後頭神経痛の原因

後頭神経には大後頭神経、小後頭神経、大耳介神経の3つがあります。大後頭神経は後頭部から頭頂部にかけて分布しており、小後頭神経は側頭部に分布しています。

大耳介神経は耳の後ろの付近の皮膚に分布します。この3つの神経はいずれも、僧帽筋や胸鎖乳突筋などの頭を支える首の筋肉の間から皮膚の表面に向かって出ています。

そのため、首の筋肉による圧迫が刺激となって後頭神経が損傷され、後頭神経痛が生じます。この圧迫の原因として一番多いのが、不良姿勢です。デスク周りなどの環境が整いにくい自宅では、パソコンに向かう姿勢が悪くなりがちです。画面が低い位置にあると猫背の姿勢になってしまいます。この猫背の姿勢で長時間いることでストレートネック(スマホ首)が起き、後頭神経痛を誘発します。

そのほかにも首や肩がもともとこっている人や、加齢による頚椎の変形により首の筋肉の圧迫が起こります。

さらに精神的ストレスや気候の変化なども誘因となることがあり、そのほかにも風邪や中耳炎あるいは貧血や甲状腺などのホルモン異常、悪性腫瘍やパーキンソン病などの神経変性疾患で出現することもあるため注意が必要です。

まれに、帯状疱疹のウイルスが原因となることもあります。帯状疱疹は通常体の片側だけに起こり、発疹が出る前に神経痛が出ることが多くあります。頭皮に出た発疹は見えにくいこともあり、後頭神経痛と間違えることもあるため、小さな水疱がないかどうか確かめることが大切です。

後頭神経痛の症状の特徴

後頭神経痛は頭皮の神経が急に過敏になることで起こります。後頭神経痛の痛みの特徴は次の通りです。

・片側の首から後頭部・頭頂部にかけてのチクチク、キリキリ、ズキズキとした激痛。
・ピリッと一瞬電気が走るような痛みを繰り返す。痛みがないときはスッキリしている。
・一度起きると数日から数週間続く。
・急激に首を前から後ろに倒したり、首を回したりすると痛みが起きる。
・入浴時シャンプーをするときや、ヘアブラシで髪をとかしたり、頭皮に触れたりしただけで痛むことがある。
・痛みが強いと、枕に後頭部が触れるだけで疼痛がある。
・雨の日の前日に多く、天候の影響を受ける。

一般的な頭痛との違い

片頭痛は発作性にズキンズキンと脈に一致した拍動性の頭痛ですが、後頭神経痛は脈の拍動に一致せずズキンと痛みます。また、両側が痛むというよりは、片側が痛むことが多いです。

後頭神経痛は、首や頸部、後頭部から肩の筋肉が緊張し、血流の悪化から緊張型頭痛が同時に起こることもあります。緊張型頭痛は数時間〜数日間にわたり頭が重く、締め付けられるような頭痛であり、後頭神経痛とは痛みが異なります。

後頭神経痛を改善するためには

後頭神経痛の治療には、神経痛に有効なテグレトールが使用されます。常用量を最初から飲むとふらつきや眠気が出やすいので、少量から開始して、少しずつ増量してゆくような方法で使用されます。

どうしてもテグレトールが使用できない場合には、抗てんかん薬として使用されているアレビアチンやリボトリールが使用されます。しかし、テグレトールに比べると効果は劣ります。

自身でできる対応としては、まずは痛みの元を短時間冷やしましょう。長時間冷やすと筋肉のこりにつながってしまうので短時間にとどめましょう。

また、最も痛みを感じる部位を5秒ほど指で強めに押して離すことを数回繰り返すのも有効です。神経痛であるため、通常の消炎鎮痛薬を飲んでも効果は薄いです。

何よりも後頭神経痛の予防には、普段の不良姿勢を正すことが大切です。パソコンやスマホを使うときは、首や肩の筋肉に負担がかからないように正しい姿勢を心がけましょう。

後頭部の激しい痛みはくも膜下出血の可能性も

後頭部に突発的に起こる強い頭痛のひとつに、脳動脈解離やくも膜下出血があります。動脈解離は、事故などによる首の外傷、運動時の首をひねる動作などを原因として、動脈が裂けてしまった状態です。

後頭神経痛と症状が似ており、MRI検査で診断する必要があります。解離性動脈瘤や血管の狭窄から、くも膜下出血や脳梗塞を起こす可能性があります。

いかがでしたでしょうか。後頭神経痛が疑われる症状が現れたら長時間同じ姿勢でいないようにし、適度に休憩をしてストレッチなどの軽い体操をしましょう。また、頭痛が頻繁に生じる場合には、医療機関に相談してみましょう。

白水寛理

九州大学病院 脳神経外科 医師   九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。 日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

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