がんになりやすい大腸ポリープとは?検査方法と病理検査
大腸ポリープとは、大腸の粘膜部がイボ状に盛り上がって隆起し、大腸内側の部分に突出した病変を指しています。注意が必要なのは大腸ポリープが悪性の場合です。大腸ポリープのなかには、種類や大きさによってがん化しやすいと考えられているものがあります。ここではがんになりやすい大腸ポリープの特徴や検査方法について解説します。
目次
大腸ポリープとは
40歳以降の中年層に多く認められる疾患であり、ポリープが高確率で発生する部位としては大腸のなかでも直腸やS状結腸と言われており、その大きさは数mm大のものから数cmに及ぶものまでさまざまです。
一般的に、大腸ポリープに伴う自覚症状が乏しいために気づきにくいことも多い一方で、 60歳代にもなるとおよそ2人に1人がポリープ病変を有していると推察されており、女性に比べて男性に多く発症しやすいことも特徴的です。
大腸ポリープの直接的な原因はまだ明確ではありませんが、脂肪の過剰摂取や食物繊維不足のみならず便秘そのものが危険因子のひとつだと考えられており、便秘によって大腸内に貯留している便が発酵を起こすことで大腸病変の引き金になると考えられています。
大腸ポリープの種類
大腸ポリープは腫瘍性と非腫瘍性、上皮性と非上皮性に分類されます。
腫瘍性と非腫瘍性の違い
大腸ポリープは組織タイプによって腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに分けられます。さらに、腫瘍性ポリープは悪性腫瘍・良性腫瘍に分類されています。
そして、非腫瘍性ポリープは炎症性ポリープ・過形成ポリープ・過誤腫性ポリープ・その他のポリープに分けられます。
このうち、悪性腫瘍化(がん化)するのは腫瘍性ポリープのうちの良性腫瘍(腺腫)であり、非腫瘍性ポリープは、ほぼがん化する心配のないポリープといわれています。
炎症性ポリープは腸に炎症を起こす病気が原因で発症し、過形成ポリープは加齢が原因、過誤腫性ポリープは粘膜の過剰発育が原因になり発症します。
上皮性と非上皮性の違い
大腸ポリープとは、大腸の内側の表面から隆起したものの総称です。
大腸ポリープの発生起源によって、上皮性・非上皮性、また細胞増殖の有無により腫瘍性・非腫瘍性に分類されています。
上皮性のものを「癌」、また非上皮性のものを「がん」と表記する規則になっています。
大腸ポリープの多くは上皮性・腫瘍性病変であり、なかでも大腸腺腫が最も多く、早期癌も含まれています。
大腸ポリープががんになる場合
大腸ポリープががんになる確率や、大腸ポリープから大腸がんが発生するまでの経過について見てみましょう。
ポリープの大きさとがんになる確率
日本の消化器学会のガイドラインでは、「大きさが6mm以上のポリープは基本的に切除治療を勧める」としており、「サイズが5mm以内のポリープは経過観察が可能である(ただし、例外あり)」と記載されています。
過去に4000個以上のポリープを対象に調査した論文結果によれば、全ポリープの大きさ別によるがん確率の分類では、ポリープのサイズが10mm以下であれば約0.1%、10~20mm以下だと約2%、20mm以上の場合には約19%のポリープががん化していたとのことです。
また、大腸ポリープの大きさが2cm以上の大きさになるとがんの可能性が60%以上になるという報告もありますので、大腸がんへの進展を未然に予防するためには、大腸ポリープをサイズが小さい段階で切除しておくことが重要です。
大腸ポリープはサイズが大きくなればなるほどがん化する可能性が高くなり、大きさが6mm以上からポリープが悪性腫瘍に発展する可能性があるため積極的な切除が推奨されています。
大腸ポリープから大腸がんが発生するまでの経過
大腸ポリープは、ポリープを形成する細胞によって、腺腫性ポリープ、過形成性ポリープ、炎症性ポリープなどに分類されています。
特に、積極的な切除治療が必要なポリープは、腺腫性ポリープと大きな過形成性ポリープとされています。
大腸ポリープには色々な種類があり、そのなかでも腺腫性ポリープと呼ばれるタイプは、病変が大きくなって大腸がんに発展してしまう恐れが高いと言われています。一般的には10年以上の経過をかけて大腸がんに進展すると考えられています。
大腸ポリープのなかでも腺腫性ポリープは、他のタイプのポリープと比較してがん化する可能性が高く、さらに腺腫性ポリープ自体のサイズが大きくなればなるほど、悪性腫瘍化する可能性が上昇すると考えられています。
大腸ポリープの検査方法
大腸がんや大腸ポリープは、40歳代から徐々に罹患率が増え始めて年齢を重ねるにつれて発症リスクも上昇するため、市区町村などの各自治体では40歳以上の方に対して便潜血検査が広く実施されています。
ただし、初期の大腸がんの場合には、出血をきたさないこともあるため、便潜血検査だけでは病変が見過ごされることもあり、一定の注意を払う必要があります。
大腸ポリープを発見するために行われる最初の検査としては便潜血検査があり、この検査では便に血液が混じっているかどうかを調べて、万が一陽性の場合は、精密検査として大腸内視鏡検査などが実施される流れとなります。
大腸ポリープは、サイズが大きい病変や出血する危険性が高いもの以外は、基本的には外来レベルで大腸内視鏡検査を実施して、病巣部を切除して検体を検査に提出します。
切除した大腸ポリープは、病理組織学的な診断を行い、がん細胞の有無やがんが血管やリンパ管に侵入しているか、どの深さまで深達しているかなどを正確に判定します。
悪性かどうかを判定する病理検査とは
病理検査とは、生体から採取された組織標本の一部や検体の細胞を観察して、どのような病気であるかを正確に診断する検査方法であり、大腸がんの確定的な診断を行う際にも、採取した組織を顕微鏡で観察して、慎重に診断が実施されることになります。
さらに、大腸がんの生検を行う場合には、腫瘍がすべて取り除かれているか、がん組織がどれくらいの深さまで進行しているか、がんが周囲の静脈やリンパ管などに転移していないか、がんの種類や性質はどのようなものかなどを含めて病理検査で評価します。
がんの性状やタイプ、深達度や転移の有無などを総合的に確認して、それらの情報や検査結果に基づいて大腸ポリープや大腸がんに対する治療手段が検討されます。
家族性大腸腺腫症とは
家族性大腸腺腫症は、100個以上の腺腫性ポリープが結腸および直腸の一面を覆うように生じる常染色体顕性遺伝(優性遺伝)疾患です。
家族性大腸腺腫症は、疫学的に8,000~1万4,000人に1人の頻度で発生し、ポリープは50%の患者で15歳までに、95%の患者で35歳までに認められます。
また、未治療の患者例ではほぼ全例において、40歳までにがんが生じるといわれています。
遺伝子検査
家族性大腸腺腫症は、生殖細胞系列におけるAPC遺伝子の病的バリアントを原因とする遺伝性疾患です。
臨床的に家族性大腸腺腫症と診断された場合、遺伝子検査による確定診断は必須ではありませんが、APC遺伝子の病的バリアントの部位と表現型(大腸腺腫の数や随伴病変)には関連があるとの報告があります。
そのため、遺伝子検査の結果は確定診断だけではなく、診療方針の決定やサーベイランスを考慮する上で重要な情報となることがありますし、APC遺伝子プロモーター1B領域の異常で起こる胃腺がんおよび胃近位ポリポーシスの原因特定にも役立ちます。
また、病的バリアントが同定された方(発端者)の場合、血縁者においては発端者で見つかった病的バリアントの有無のみを確認するシングルサイト検査を行うことができます。
発端者と同じ病的バリアントが同定された場合、未発症の時期から効果的なサーベイランスを実施することで早期診断や早期治療が可能になります。
家族性大腸腺腫症は、大腸内視鏡検査で100個を超えるポリープが発見されることで診断され、診断された際には、具体的な遺伝子変異を同定するために遺伝子検査を行うべきであると考えられています。
遺伝子検査が行えない場合は、近親者を対象とした年1回のS状結腸鏡検査によるスクリーニングを12歳から開始することが重要です。
まとめ
これまで、大腸ポリープが悪性の場合とはどのような状態か、その検査方法と病理検査などを中心に解説してきました。
大腸ポリープという病気は、わが国ではこの20年間で増加の一途をたどっており、おおむね40歳代ごろから罹患率が増加し始めて、年齢が上がるにつれて発症しやすくなる疾患と考えられています。
主に、日常生活における脂肪分の摂り過ぎや食物繊維の不足などの要因が大腸ポリープの発症リスク因子と認識されています。
大腸ポリープが大きくなると、がんになる場合もあるため、大腸がんを事前に予防するためには、便潜血反応検査や大腸内視鏡検査を受け、がん化するリスクのあるポリープを切除することが重要です。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。