足がだるい原因は?むくみやすい女性の特徴

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足に余分な水分がたまると、ふくらはぎがむくんで、足がだるくなったり、重くなったりします。こうした症状に悩まされている女性は多いことでしょう。

ここでは足がだるくなる理由やむくみやすい女性の特徴、出産経験のある女性に多く見られる下肢静脈瘤などについて解説します。

女性の足がむくみやすい理由

足のむくみを気にする女性

女性は男性に比べて筋肉量が少なく、また、妊娠や生理の影響を受けるため、足がむくみやすい傾向があります。女性の足がむくみやすい理由について見ておきましょう。

足のむくみと筋肉量の関係

人間の体では、心臓から血液が全身の細胞へ動脈という血管を通じて酸素や栄養分を届けるために送り出され、細胞レベルで血液成分を届けると同時に細胞から排出された二酸化炭素や老廃物を回収して、静脈血管を介して心臓に血液を戻しています。

この血液の巡りの中で、下肢を流れて心臓に戻ってくる血液は、重力に逆らって心臓に還流する必要があり、そこで血液を戻すためのポンプの役割を担っているのがふくらはぎの筋肉です。

人間の下半身には全体の約7割程度の血液が集中していて、ふくらはぎの筋肉がスムーズに伸び縮みして動くことで血液を心臓に戻します。

つまり、ふくらはぎの筋肉組織がなんらかの理由で障害を受けてうまく動かなくなるとふくらはぎの領域で血液が停滞して足がむくむことに繋がります。

基本的に、女性は男性よりも筋肉量が少なく心臓に向かって血液を押し戻す働きが弱いと考えられているため、足が浮腫性変化を引き起こしてむくみやすい傾向にあると言われています。

黄体ホルモンの影響

女性では、特に妊娠や生理など、ホルモンの影響で足のむくみ症状が出現しやすいと考えられます。

実際のところ、妊娠中は足のむくみを感じやすいことが知られていて、約3割程度の女性が妊娠中にむくみを感じていると伝えられています。

そして、黄体ホルモンというホルモンの分泌量が特に月経前になると増加することによって、余分な水分が体に溜まりやすく足のむくみにつながります。

また、足のむくみの原因の一つになる下肢静脈瘤は、40歳以上の女性に多く認められることが知られていて、一般的に年齢とともに発症率は増加すると言われています。

足がだるくなる下肢静脈瘤とは

下肢静脈瘤イラスト

足の静脈には一度心臓に向かった血液が逆流して足に戻ることを防ぐ静脈弁がついていますが、その静脈弁が壊れて、逆流した血液が足に溜まって足がだるくなる病気を下肢静脈瘤と呼んでいます。

下半身の静脈血が心臓に戻ってくる際には、血液の逆流を防止する静脈弁が重要な役割を果たしています。しかし、静脈弁の機能が低下するなどによって逆流する血液が多くなると、血液が下半身にたまって血管が拡張して盛り上がる状態が下肢静脈瘤です。

基本的に自然に治ることはなく、時間の経過と共にゆっくりと進行し、代表的な症状としては主に血管が浮き出て下肢が重くだるいような疲労感やほてり感を自覚する、下肢が痛み浮腫が認められる、足に湿疹が形成されて皮膚炎や色素沈着になるなどが考えられます。

ひどい場合には、下肢に潰瘍が形成されて感染して全身状態が悪くなる場合もありますし、下肢全体がこぶのように浮き上がった外見を呈する為に精神的に苦痛を大きく感じるケースも見受けられます。

日本では30歳以上の男女において約6割の人に下肢静脈瘤が認められ、患者数は1000万人以上存在すると推定されています。

出産経験のある女性の約半数の割合で下肢静脈瘤が発症すると言われるほど身近な病気です。発症要因には遺伝も関係しており、両親とも下肢静脈瘤を発症している場合、その子供は90%以上の割合で発症すると指摘されています。

特に、妊娠時には、女性ホルモンである黄体ホルモンの影響に伴って静脈が柔らかくなって弁が壊れやすくなるため、下肢静脈瘤を発症しやすくなり、足がむくみやすくなると考えられます。

足がむくみやすい女性の特徴

むくみに悩む女性の足

足がむくみやすい女性の特徴として、次のものが挙げられます。

塩分・アルコールの摂り過ぎ

塩分は水分を抱え込む性質があり、塩分の摂り過ぎによって、身体の中に水分が溜まり、むくみを引き起こします。

味の濃い、塩分の高い食べ物を摂りすぎるとむくみの原因となり、塩分を過剰に摂取すると、余分な水分をうまく排出できなくなり体の中に溜まってしまいます。

日本人の1日あたりの塩分摂取量の目安は6g以下ですが、実際には平均で10g以上摂取していると言われています。

特に、加工食品や外食などには隠れた塩分が多く含まれているので注意する必要があります。

また、アルコールは血管内脱水を引き起こす作用があり、飲みすぎると体の水分が失われ、血液濃度が高くなります。

体は危険を回避するために血管内に水分を取り込み、血液濃度を低くしようとする際に、取り込んだ水分の一部がむくみとなります。

立ち仕事の人

姿勢の悪さは、血管やリンパ管を圧迫し、水分の流れを妨げるといわれていて、特に長時間同じ姿勢でいる人や、足を組む癖がある女性などは足の血液やリンパの流れが悪化して、足のむくみを引き起こす可能性が高まります。

人間の体は、心臓から血液が全身の細胞へ動脈という道を使って酸素や栄養分を届けるために送り出され、届けると同時に細胞から排出された二酸化炭素や老廃物を回収して、静脈という道を使って心臓に血液を戻します。

この流れの中で、足を流れて、心臓に戻る血液は、重力に逆らって心臓に戻らなくてはなりません。そこで血液を戻すためのポンプの役割を果たすのがふくらはぎの筋肉です。

立ち仕事やデスクワークなど、ずっと同じ姿勢の状態でいると、ふくらはぎの動きが少なくなり、筋肉の収縮作用によるポンプ機能がうまく働かなくなってしまう結果、足の血液が心臓に戻りにくくなり、うっ滞してむくみにつながります。

運動不足

運動不足によってふくらはぎの筋肉が衰えると、ポンプ機能が低下し、足の血液を心臓へ送り戻す効率が悪くなります。また、慢性的な運動不足は、血流の低下、筋力の低下を招きます。

運動不足は、血液やリンパ液の流れを悪くし、水分が滞りやすくなりますし、筋肉量が減ると代謝が低下し、水分代謝も悪化します。

運動は、血液やリンパ液の循環を促進し、余分な水分を排出する効果がありますので、特に下半身の筋肉を鍛えることは、むくみに効果的といわれています。

冷え性

女性は男性と比べると筋肉量が少ないため、冷え性が起こりやすい傾向にあります。

また、足のポンプ機能も男性と比べると弱いため、女性は比較的むくみが出やすいと言えます。

体の冷えは血行不良によるもので、足の毛細血管まで血液が循環しなくなるため、下肢の領域で血液やリンパの流れが滞って、足のむくみにつながります。

足がだるいときの対処法

背伸び運動をする女性

下肢静脈瘤は治療が必要となりますが、一時的に血行が悪くなって足がだるく感じるといった軽度の症状であれば、次に紹介する対処法によって改善が期待できるでしょう。

お湯に浸かりながらマッサージ

足がだるい際には、お風呂でお湯につかりながらふくらはぎに溜まった余分な水分や血液を心臓に戻すように意識しましょう。

筋肉を揉むのではなく、なでるようにして血流やリンパ液の流れを改善するように心がけ、ふくらはぎに位置する腓腹筋やヒラメ筋などの筋肉群をストレッチでほぐすことで、血液の流れを良好にして、血行促進する効果が期待できます。

適度な運動を取り入れる

足がだるくてしんどいときには、普段の生活のなかでウォーキングや階段の上り下りなどの運動を取り入れて、筋肉を鍛えてポンプ機能を働かせるようにしましょう。

例えば、足関節部分を回してほぐす、あるいは仰向けの状態で両足を挙上して小刻みに動かすことによって血流を促進することができます。

また、立位の状態でつま先立ちを20回程度行う運動などを通じて、ふくらはぎの筋肉を鍛えることで、筋肉領域のポンプ作用がしっかりと機能して、血流が改善しむくみ症状の予防効果を期待することができます。

水分の排出を促す食材を取り入れる

足がだるいときには、水分の排出を促進する作用を有する食材を取り入れることも検討してみましょう。

むくみや浮腫の主成分である水分や塩分(ナトリウム成分)をためないためにも、日常的な食生活において水分や塩分を過剰に摂取することを回避しましょう。

塩分の多い食事は、同時に水分の摂取にもつながるので、特に間食でのスナック類やカップラーメンなどを摂取することは控えて、なるべく普段の食事内容を薄味にするように努めましょう。

また、塩分の排出を促進するカリウムを日々の食生活で積極的に摂取するとともに、血流を良好にする働きがあるビタミンEも適度に摂取しましょう。

カリウムを多く含む食品としてはバナナ、もも、りんごなどの果実類、ひじきや昆布、納豆などが挙げられます。

ビタミンEを多く含む食べ物としては、アーモンドやピーナッツなどの豆類、アボカドやかぼちゃ、ほうれん草などの野菜類、たらこやいわしなどの魚介類が挙げられます。

弾性ストッキングを使用する

弾性ストッキングは、圧力のあるストッキングであり、足を直接的に圧迫して足のむくみを軽減して足のだるさを改善する効果が期待できます。

医療用の弾性包帯や市販の弾性ストッキングなどを用いてむくんだ足全体を圧迫することで静脈の還流を補助して、血液の循環をスムーズにする作用があります。

まとめ

これまで、女性の足はむくみやすい背景、足がだるくなる理由と対処法などを中心に解説してきました。

女性の足は、筋肉量や女性ホルモンの一つである黄体ホルモンなどの影響によってむくみやすく、足がだるくなりやすいと考えられています。

特に、一過性のむくみだけでなく、足の血管がボコボコ浮き出て数日間以上足のむくみ症状が続くような場合には下肢静脈瘤などの病気が潜んでいる可能性も考えられますので、できるだけ早めに専門医療機関を受診して相談しましょう。

下肢静脈瘤は良性の病気ですので、直接的に命に係わることはほぼありませんが、慢性的に足のだるさや痛み、浮腫などの症状が認められて生活の質を低下させます。

むくみ症状を解消して予防するには、むくみやすい生活習慣を改善し、ここで紹介したような対処法を実践するとよいでしょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

甲斐沼孟

産業医 甲斐沼孟医師。大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センター、大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センター、大阪大学医学部付属病院、国家公務員共済組合連合会大手前病院を経て、令和5年4月よりTOTO関西支社健康管理室室長。消化器外科や心臓血管外科領域、地域における救急診療に関する幅広い修練経験を持ち、学会発表や論文執筆など学術活動にも積極的に取り組む。 日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医・指導医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、大阪府知事認定難病指定医、大阪府医師会指定学校医、厚生労働省認定臨床研修指導医、日本職業・災害医学会認定労災補償指導医ほか。 「さまざまな病気や健康課題に関する悩みに対して、これまで培ってきた豊富な経験と専門知識を活かして貢献できれば幸いです」

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