疥癬はどんな病気?症状の特徴と予防方法

体のかゆみに悩む女性
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疥癬(かいせん)という病気があります。非常に強いかゆみを伴う病気で感染もするので、予防が重要になります。ここでは疥癬の症状の特徴と予防方法について解説します。

ヒゼンダニが引き起こす疥癬

かゆみ、全身、発疹なし アイキャッチ

疥癬はヒゼンダニによって引き起こされる病気です。ヒゼンダニとはどのようなものなのでしょうか。

ヒゼンダニとは

ヒゼンダニは疥癬虫とも呼ばれるダニです。大きさは成虫で大体400μメートルという小さなもので、肉眼ではほとんど見ることができません。また、雄は雌よりさらに小さいという特徴があります。

ヒゼンダニの成長は比較的早く、卵からかえると幼虫、若虫、成虫と約2週間で成熟します。

ヒゼンダニは皮膚にいますから、皮膚と皮膚が接触することで人から人へと感染が広がります。また、皮膚の中でも皮膚表面にいることはあまりなく、皮膚に自分自身で穴を掘ったり、元々ある毛包に隠れたりするため、ダニが寄生しているのを確認するのは難しくなります。

雄は皮膚表面を歩き回り、メスを探します。メスと雄が交尾をすると、メスは皮膚の角層に疥癬トンネルというトンネルを掘り進め、産卵をしていきます。産卵は大体1か月から1か月半の期間をかけて、1日2~3個ずつ産卵をし続けます。

卵は2~3日で孵化して、生まれた幼虫は疥癬トンネルからでてきて皮膚を這い回ります。

ヒゼンダニには乾燥に弱いという特徴があります。皮膚から離れると2~3時間で死んでしまいます。また、ヒゼンダニの活動は人の体温とおなじぐらいで動きが活発という特徴があります。

疥癬とは

疥癬とは、ヒゼンダニが感染する事によって起こってくる病気のことです。

疥癬の患者は年間8~15万人程度と言われており、比較的よく見られる病気です。感染経路は人と人との接触がほとんどです。

感染した直後は全く症状がありませんが、感染してから4~6週間でダニが多く繁殖し、ダニそのものやダニの糞などによって感作され、激しいアレルギー症状を起こして強いかゆみが生じます。

このような激しいかゆみは特に夜間に増強して、睡眠が妨げられることもあります。一方で、高齢者や、疥癬の特殊なタイプである角化型疥癬の場合はかゆみの訴えが少ないこともあります。

疥癬の診断は皮膚所見です。特徴的な皮疹として疥癬トンネルが見られる事が多く、手首の周りや指、肘などを確認すると見つけることができます。また、ダーモスコピーという皮膚を拡大して見る道具を使って皮膚を見ると、ヒゼンダニそのものを見る事もできます。

しかし、皮膚を歩いているヒゼンダニを見つけることは中々難しいため、何回か診察をすることでようやく診断がつくということもあります。

疥癬トンネルがある場合は、トンネルを削り取った組織片を水酸化カリウム液によって処理して顕微鏡で見ると、ヒゼンダニそのものや卵がみつかります。

皮膚症状は非常に強く続くため、確定診断がなされなくても駆虫薬を使用して治療を開始することがほとんどです。周りへの感染対策も非常に重要となります。

疥癬の種類と症状の特徴

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疥癬には通常の疥癬の他に角化型疥癬があります。それぞれどのように違うのでしょうか。

通常疥癬

通常の疥癬は、前述の通り激しいかゆみを伴います。ヒゼンダニ自体が皮膚表面にいることでアレルギー反応を起こし、おもに顔や頭にかゆみを感じるのが特徴です。

また、皮疹が視認できるのも特徴で、赤くブツブツとした様子が見られます。外陰部や脇の下には硬い丘疹が見られることがあり、疥癬に特徴的な皮疹と言われています。

しかし、よくわかる皮疹というものは少なく、一般的な湿疹と診断されてしまうことも少なくありません。普通の湿疹にしては強すぎるかゆみが特徴と言えるでしょう。

角化型疥癬

角化型疥癬は、通常型疥癬とは異なり桁違いに大量のヒゼンダニが感染している状態で、重症な疥癬と言えるでしょう。患部は肥厚した灰色から白色をした角質が増殖した状態となり、かさぶたも伴います。また、増殖が強いことを反映してひび割れも見られます。

ヒゼンダニの数は通常型疥癬であれば数十匹で起こってきますが、角化型は100万匹を超えることもあると言われ、非常に多くのヒゼンダニがいることがあります。

皮膚が硬くなっていますが、かゆみは意外と強くないことが多くあります。既にアレルギー反応を起こしている段階を通り越し、ヒゼンダニが多く増殖してしまっている状態です。

疥癬の予防方法

疥癬はどのように予防すれば良いのでしょうか。通常型疥癬と角化型疥癬の予防方法を紹介します。

通常疥癬の予防方法

通常の疥癬であれば、皮膚同士が接触することで感染します。そのため、患者さんに接するときには手袋を着用し、処置後にはしっかりと手洗いをするなどの標準的予防策が必要となってきます。

また、疥癬にかかっているという確定はないものの、生活状況から感染している可能性が高いときは、イベルメクチンなどの駆虫薬を使用していくことも予防となります。

また、極稀ですが布団など、患者さんが使用したものをすぐに他の人が使用した場合にも感染が広がることがあります。また洗濯をする人に感染が広がってしまうこともあります。ある程度時間を空けてから洗濯をするなどの対策が求められます。

角化型疥癬の予防方法

角化型疥癬はヒゼンダニの数が非常に多いですから、感染力が非常に強いのが特徴です。角化した皮膚はぽろぽろと落ちてきますが、その落ちてきた皮膚にダニが大量に生息しています。こぼれ落ちた皮膚の中でヒゼンダニが数時間生息しますから、それに触れる事で他の人に感染してしまうことがあるのです。

ですので、角化型疥癬を起こした人は基本的には自由に歩き回れるような状態にはしません。歩き回ると周囲に感染源となる皮膚がぽろぽろと落ちてしまいますから、移動範囲を制限せざるを得ないのです。

限定された環境の中で生活をした上で、ケアする人もしっかりと感染対策をする必要があります。

皮膚に触れるものだけではなく、空気中や床などにも感染性のあるものが飛び散っている可能性があるため、エプロンやゴーグルなど標準予防策以上の防護服を着てケアをする必要があります。感染を広げてしまわないように、防護服をその場で脱いでから他の場所に移動するといった対策も必要です。

角化型疥癬は特に感染力が強いので要注意です。

郷正憲

徳島赤十字病院 麻酔科 郷正憲 医師 麻酔の中でも特に術後鎮痛を専門とし臨床研究を行う。医学教育に取り組み、一環として心肺蘇生の講習会のインストラクターからディレクターまで経験を積む。 麻酔科標榜医、日本麻酔科学会麻酔科専門医、日本周術期経食道心エコー認定委員会認定試験合格、日本救急医学会ICLSコースディレクター。 本名および「あねふろ」の名前でAmazon Kindleにて電子書籍を出版。COVID-19感染症に関する情報発信などを行う。 「医療に関する情報を多くの方に知っていただきたいと思い、執筆活動を始めました」

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