脱水や筋肉量も影響?健康診断のクレアチニンが高くなる原因

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クレアチニンは、腎臓から排泄される老廃物のひとつです。健康診断や定期検診などでクレアチニンの数値が基準値から外れている際には、慢性腎炎や腎不全などの病気を疑うことになります。

一方で、クレアチニンの数値は体に異常がなくても高くなる場合もあります。ここではクレアチニンが高くなる原因について解説します。

クレアチニンとは

クレアチニンは、筋肉が運動するための重要なエネルギー源であるクレアチンリン酸という物質が代謝された後にできる老廃物です。クレアチニンは身体にとって不要物のひとつとして認識されています。

血液に含まれるクレアチニンは通常であれば腎臓で濾過されて尿として排出されます。血液中のクレアチニンの濃度や数値の上昇は、腎臓の機能が低下していることを反映しています。

健康診断のクレアチニンの基準値

クレアチニンの数値検査は、腎臓の機能を調べる上で、広く用いられているポピュラーな検査です。

健康診断などの場面では、血液検査を実施してクレアチニン値が基準値や正常値よりも高いかどうかをチェックします。正常よりも高い値を示す場合には、腎臓の働きが悪くなっている可能性があります。

一般的な血中クレアチニンの基準値は、男性で0.65~1.09mg/dL、女性で0.46~0.82mg/dLと規定されています。

クレアチニンが高いと自覚症状は出る?

クレアチニンは尿以外では体外に排出されない物質であるため、血液中のクレアチニン値が上昇している場合には、腎機能が悪化して、尿が産生できなくなっている可能性があります。

採血結果にてクレアチニンの数値が高い場合には、急性腎臓病や慢性腎不全など腎臓に何らかの異常が認められて、腎臓に血液が流れにくくなって、老廃物が十分に排泄できない状態に陥っている可能性が想定されます。

クレアチニンの数値が軽度のみ上昇している際には、ほとんど自覚する症状はありませんが、血中クレアチニン値が2~3mg/dl以上になると浮腫、貧血、倦怠感などの症状が出現することも見受けられます。

クレアチニンが高くなる原因

クレアチニンが高くなる原因を確認しておきましょう。

<h3>脱水

脱水はよく認められる腎機能低下の要因であり、クレアチニンが上昇する原因のひとつです。

脱水状態がクレアチニンの数値を上昇させる理由は、体内の水分量の減少によって血液が濃縮されるからです。

いわゆる脱水状態になると、体内の水分が不足して、血液中の水分量が減少するとともに、腎臓に循環する血液量も減少して、クレアチニン値が上昇します。

筋肉量が多い

クレアチニンの数値は体の筋肉量に比例しています。運動や筋力トレーニング、あるいは高たんぱく食の摂取によって筋肉量が多い場合には、クレアチニンの数値も高くなる傾向があります。

その反対に、痩せていて筋肉量が少ない場合には、クレアチニンの数値が相対的に低くなります。

一般的に若い男性など筋肉量が多い場合にはクレアチニン値は相対的に高くなり、反対に女性や高齢者など筋肉量が少ない場合にはクレアチニン値は低値を示す傾向があります。

クレアチニンの数値は筋肉量に左右されやすい特徴があるために男女差が大きく、腎機能が半分程度まで低下しないと高値を示さないこともあることから、最近ではより腎機能を精度高く評価できる推算糸球体濾過量(eGFR)の検査を追加して実践することもあります。

慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病は生活習慣病などをはじめとして何かしらかの原因によって腎臓の機能が障害を受けて低下してしまう病気を指します。

慢性腎臓病は新たな国民病と言われることもあり、高血圧や糖尿病などの疾患が強く関連して発症するケースが多いです。

一般的には、年齢を重ねれば重ねるほど腎機能は自然と低下することから、高齢になるほど慢性腎臓病の発症リスクが高くなり、並行して肥満や高血圧、糖尿病、脂質異常症などの病気を合併することで慢性腎臓病を引き起こすと考えられています。

慢性腎臓病の原因は加齢や生活習慣病、ネフローゼ症候群などの腎疾患、膠原病、各種感染症、遺伝性異常、腎臓で代謝される薬剤などがあります。

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群は、腎糸球体係蹄障害による大量の尿蛋白漏出とそれに伴う低アルブミン血症を特徴とする症候群です。クレアチニン値が上昇する原因のひとつでもあります。

アルブミンは本来血管内に水を引き込み、血流を維持する大事な役割を持っていますが、その血液中のアルブミン濃度が下がることで低タンパク血症になり、全身の浮腫や様々な症状が発生する疾患です。

血中アルブミン濃度が下がると、血管外へ水分が漏れて溜まってしまうことにより、下半身や顔面部などを中心として肺、心臓、腹部のスペースにも水が溜まります。

糸球体とは小さな穴が網目状に空いている微細な血管でできた組織で、ふるいのような役割を持っています。本来であれば穴を通過できないアルブミンが、糸球体の炎症によって穴を通過してしまい、尿となって排泄されます。

ネフローゼ症候群の代表的な症状は、全身の浮腫、タンパク尿(尿の泡立ち)、低タンパク血症、易感染性、凝固能亢進などが挙げられます。

基本的には自覚症状が乏しく、健康診断の尿検査で発覚することもありますが、浮腫症状そのものは下腿前面部を10秒ほど押してへこみが持続するほどの浮腫が出現すると言われています。

浮腫が全身に広がり悪化すると急激な体重増加だけでなく、胸腔内や腹腔内のスペースに水成分が溜まることで呼吸苦、食欲低下、腹痛、陰嚢水腫なども認められますし、腎機能が低下して循環する血液量が増えると肺水腫や心不全を引き起こす可能性もあります。

まとめ

これまで脱水や筋肉量などが影響する健康診断のクレアチニンが高くなる原因を中心に解説してきました。

クレアチニンは、筋肉を動かすためのエネルギーを消費した後に作成される老廃物のひとつであり、尿として体外に出ていきますが、腎機能が悪化するとクレアチニンが体内に溜まることで血中濃度が上昇することが知られています。

健康診断などでクレアチニンの血液中の濃度を測定することによって、腎臓が現在どのくらいの能力があるかをある程度推測して評価することが可能となります。

クレアチニンの数値が高くなる原因としては、生活習慣病や遺伝性疾患が関連している可能性もありますし、筋肉量などの影響を受けて腎臓には明確な異常がない場合も想定されます。

クレアチニンの数値が高いと指摘されたら腎臓内科など専門医療機関を受診することをおすすめします。

今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。

甲斐沼孟

産業医 甲斐沼孟医師。大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センター、大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センター、大阪大学医学部付属病院、国家公務員共済組合連合会大手前病院を経て、令和5年4月よりTOTO関西支社健康管理室室長。消化器外科や心臓血管外科領域、地域における救急診療に関する幅広い修練経験を持ち、学会発表や論文執筆など学術活動にも積極的に取り組む。 日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医・指導医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、大阪府知事認定難病指定医、大阪府医師会指定学校医、厚生労働省認定臨床研修指導医、日本職業・災害医学会認定労災補償指導医ほか。 「さまざまな病気や健康課題に関する悩みに対して、これまで培ってきた豊富な経験と専門知識を活かして貢献できれば幸いです」

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