心療内科を受診するのはどんなとき?初診で何を話せばいい?

お悩み

環境の変化やストレスなどが引き金となって、心身のバランスが崩れてしまうことがあります。心身のバランスが崩れると、不眠や食欲不振など、さまざまな症状があらわれてきます。心療内科の受診を検討される方もいらっしゃることでしょう。

そうしたとき、心療内科でどのようなことを話せばよいのか不安に思う方も多いかと思います。ここでは心療内科を受診するのはどのような時か、初診でどのようなことを話すのかについて詳しく見ていきましょう。

心療内科を受診するのはどんなとき?

眠れない日が続いている場合や、寝ても疲れがとれず、倦怠感がある場合、悩み事のせいで食欲がない、食べてもおいしいと感じない、ストレスがきっかけで2週間以上落ち込んでいる、頭にモヤがかかったように集中力が低下している、といった場合は心療内科の受診が選択肢となります。

受診しようと思っても精神科、心療内科があり、どちらを受診するべきか悩むこともあるかと思います。

精神科は心の症状を扱う診療科です。落ち込みや不安、イライラ、落ち着かないなどの気分症状、幻聴や幻覚などの精神症状、物忘れなどの認知症状、眠れないあるいは寝過ぎてしまうなどの睡眠症状といったものは精神科の対象となります。

一方、心療内科は心理的・社会的な要因から引き起こされた身体の症状を扱う診療科です。吐き気や頭痛、全身倦怠感、胃痛などの身体症状があり、その背景に何か心理的なきっかけや理由が思い当たるときは心療内科が適しています。

また、詳しい検査などを行っても異常がなく原因がわからないが、身体の不調が続いている場合も心療内科の対象となります。

心療内科の初診で何を話せばいい?

心療内科の初診では次のような事柄について話をするのが一般的です。

困っている症状について

心療内科を受診する方は、症状は決して一つではありません。多くの症状で苦しんでいる方はたくさんいます。その中でも、これが一番困っているという症状をしっかりと伝えてください。

ここでの症状とは、身体の症状だけでなく精神的な症状も含んでいます。気持ちが晴れないや、趣味が楽しくなくなった、人前に出るのが不安など、困っていることをしっかり伝えることは、治療を進めていく上でとても大切です。

よく眠れているかどうか

睡眠の乱れはちょっとしたきっかけで誰にでも起こります。遠足や旅行が楽しみで夜眠れなくなることもあります。

しかし、満足できる睡眠が得られない日が続く場合は注意が必要になってきます。眠ろうとすると30分以上眠れず、目が冴えてしまう場合や、夜中に頻繁に目が覚める、ちょっとした物音や光ですぐに目覚めてしまう、常に眠い状態でいつもより長い時間眠ってしまうことがある場合は心身の不調をきたしている可能性があります。心療内科を受診した際に相談してみましょう。

食生活について

食事は生命の維持に欠かせないものです。心身の不調は食生活にも出てきます。食欲がなくて、以前よりも少食になった場合や、周囲から強くすすめられないと全く食べない場合、食事を以前のようにおいしいと感じなくなる、大量の食べ物を食べてしまう場合などは相談しましょう。

職場や家族などの人間関係

心の病気を診断、治療していくにあたって、家族の関係性と遺伝性を把握することはとても大切です。ほとんどの方にとって、家族は何よりも重要な人間関係です。家族の変化は精神症状に大きく影響するので、具体的な相談になることも多いです。

遺伝歴も大切で、心の病気の中には遺伝が関係するものもあります。最も遺伝の関連性が強いのが、双極性障害(躁うつ病)です。家族の方に双極性障害と診断された方がいる場合は伝えましょう。

そのほかにも、統合失調症や発達障害でも遺伝が原因で発症することもあります。うつ病や不安障害でも遺伝傾向が認められることもあります。

また、1日の大半を過ごす職場で苦手な人がいたり、業務上避けることができない相手との相性が合わない場合は、本人にとって大きなストレスの原因となります。仕事が終わってもうつや不安を引きずって、休日も職場のことが頭から離れないようなことがあれば相談しましょう。

病歴や服用している薬

精神疾患の中には、身体の病気が精神症状と関係する場合があります。器質性精神障害や症状性精神障害と言われ、幻覚や妄想状態、躁状態、うつ状態などの症状が認められることがあります。

器質性精神障害では、脳神経の直接的な異常が原因となって精神症状が認められます。症状性精神疾患では、身体の病気が原因となって精神症状が認められます。甲状腺機能異常症、SLEなどの膠原病、糖尿病などの代謝性疾患、炎症性疾患などがあげられます。

それ以外にも服用している薬の情報も大切です。薬によって精神症状が出現することもあります。ステロイドやインターフェロン、降圧剤の一部や経口避妊薬などには注意が必要です。服用している薬によっては、飲み合わせに注意しなければならない薬もあります。できればお薬手帳を持参するのがよいでしょう。

治療に関する不安や希望

心療内科を受診すると周囲にネガティブなイメージを持たれるのではないか、薬の服用を始めてしまうともう後戻りができないのではないかと不安を感じる方もいると思います。治療に対する不安や希望があればしっかりと医師に伝えましょう。

いかがでしたでしょうか。日常生活を送るにあたって支障が出ている際は、心療内科を受診することで日常生活を問題なく送ることができるようになることが期待できます。検査をしても異常が見つからず、不調が改善しない場合や、ストレスから心身の不調が出てきている方は心療内科に相談してみましょう。

白水寛理

九州大学病院 脳神経外科 医師   九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。 日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

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