イライラしやすいよくある原因と、イライラが止まらなくなる病気

お悩み

仕事中にイライラが抑えられない、イライラしてつい家族にあたってしまう……忙しい日々を送るなかで、このような悩みを抱えている方もいると思います。

イライラが募ると人に強く当たってしまったり、そんな自分に嫌悪感を抱いてしまったりと悪循環に陥ってしまいます。ここではイライラしやすいよくある原因と、イライラが止まらなくなる病気について詳しく見ていきましょう。

イライラしやすいよくある原因

ストレスや自律神経の乱れによってイライラが生じることはよくあります。

ストレス

イライラしてしまう主な原因としてはストレスが挙げられます。ストレスが溜まっていないと感じている方であっても、小さなストレスが積み重なって大きな負担となっている可能性があります。

仕事や育児などで過度なストレスを感じている方は、リラックする時間を設けるなどして負担を抑えていくように心がけましょう。

自律神経の乱れ

イライラする原因のもう一つとしては、自律神経の乱れが挙げられます。自律神経は、人の体が生きるために必要な機能をコントロールしています。

自律神経には交感神経と副交感神経の2つの神経で構成されており、両者がバランスよく作用することで我々の体は守られています。しかし、過度なストレス状態にあるときは交感神経が働き続けてしまい、身体的にも精神的にも休めなくなってしまいます。

その状態が続いてしまうことで、過呼吸や、激しい動悸、手の震えやめまいなどの症状が出てくることもあり、イライラしやすい状態を生み出してしまうのです。

イライラが止まらなくなる病気

病気が原因でイライラが止まらなくなってしまうことがあります。イライラが生じる代表的な疾患を確認しておきましょう。

依存症

アルコールやタバコ、ギャンブルなどへの依存症でも、些細なことで怒りっぽくなることが知られています。お酒が飲めない、ギャンブルができないなど、依存している行為ができない状況では、特にイライラしやすくなります。

双極性障害

双極性障害とは、躁うつ病とも呼ばれ、気分が高揚する躁状態と落ち込むうつ状態を繰り返す精神疾患です。

躁状態では、少しの刺激でイライラしたり、怒りっぽくなりやすくなります。症状が強い場合は、激高して人間関係上のトラブルが起き、社会的な信用を失うこともあります。

なんでもできる気がする、限度を考えずに買い物をする、などの気持ちの変化があれば、躁状態によるイライラの可能性があります。また、うつ状態が重く、躁状態が軽度の双極性II型という症状パターンもあります。

統合失調症

統合失調症とは、妄想や幻聴といった非現実的な体験をしたり、喜怒哀楽や意欲が低下したりする精神疾患です。周囲が嫌がらせをしてくる、隣の人がジロジロと見てくるなどという被害妄想が強くなると、些細な言動に過敏になり、イライラした態度になりやすいと言えます。

被害妄想の背景にあるのは強い恐怖の感情です。現実的ではない不安や恐怖の感覚が襲ってくる場合、統合失調症の可能性があります。

強迫性障害

「戸締まりしたっけ?」「火を消したっけ?」と気になって確認してしまうことがあるのではないでしょうか。通常であれば1回確認すれば納得しますよね。

強迫性障害とは、自分では無意味な事だ、つまらないことだと分かってはいても、ある考えや行為にとらわれて止めることができない病気のことをいいます。

打ち消しても打ち消しても浮かんでくる想念を強迫観念と呼び、その強迫観念からやめられない行動のことを強迫行動と呼びます。手はきれいなはずなのに、汚いという強迫観念から何度も何度も手を洗うという強迫行動を行うといった例などがあります。

完全欲が強い人や、潔癖症、頑固で適応力がない人、優柔不断な人などがなりやすいといわれています。

強迫性障害の場合、強迫観念を打ち消す行為ができない場合、不安が高まりイライラしてしまうことがあります。また、強迫観念を打ち消す行為は、自分でもバカバカしいと思う場合が多いため、自分自身への怒りも抱きやすいでしょう。

アルツハイマー型認知症

認知症の原因で最も多いとされている疾患となります。アミロイドβという異常なタンパク質が脳に溜まることで、脳の細胞が段々と萎縮して、思考や言語に関わる部分が障害される疾患です。

初期症状では、昔のことは覚えているのに、最近のことが思い出せなくなるなどの短期記憶障害が起こり、また、周囲のことに関心がなくなっていきます。表情が乏しく、沈んだようになったかと思うと、多弁になるなど気分の波が激しくなることもあります。

感情抑制が利かず、怒りっぽくなることが症状の一つです。症状は徐々に進行していき、やがて家族や友人がわからなくなったり、徘徊や幻覚が見られるようになります。

更年期障害

更年期障害というと、顔のほてり(ホットフラッシュ)や発汗が多いこと、めまいといった症状が思い浮かぶと思います。更年期障害はこうした身体的症状の他に、精神に影響を与えることもあります。

更年期になると、卵巣機能が衰えることで、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下してしまいます。脳の視床下部からはエストロゲンを出してと指令しても、エストロゲンが出ないため、脳に混乱が生じて、自律神経のバランスが崩れてしまうことで精神症状が起こるとされています。

さらに、更年期の女性は仕事や育児、介護など生活環境が大きく変化する時期でもあるため、精神的不調をきたしやすいのです。更年期の精神的不調には、不眠やイライラ、不安感、抑うつ気分などがあります。

白水寛理

九州大学病院 脳神経外科 医師   九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。 日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

プロフィール

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