ネット依存の種類と、健康や社会生活への影響

コラム

ネット依存はネット依存症、インターネット依存症、ゲーム依存症、携帯依存症、スマホ依存症などいろいろな呼び方があります。高校生〜大学生に多くみられ、不登校や引きこもりの原因になると言われています。

ネットにはまると実生活とネット世界の区別ができなくなり、社会生活や健康面に悪影響を及ぼします。ここではネット依存の種類や影響について詳しく見ていきましょう。

ネット依存の種類

ネット依存には、次に挙げるスマホ依存、SNS依存、ゲーム依存が含まれます。

スマホ依存

スマホ依存とはスマートフォンの使用を続けることで昼夜逆転する、学校の成績が著しく低下するなどさまざまな問題が起きているにも関わらず、使用がやめられず、スマートフォンが使用できない状況が続くと、イライラして落ち着かなくなるなど精神的に依存してしまう状態のことを言います。

スマートフォンはこれまでの携帯電話以上に機能が増えており、SNSやGPS、オンラインゲームや動画視聴などが手軽に行えるようになっています。また、スマートフォンは持ち運びが容易であり、さまざまな場所で使用できます。

そのため、学校や布団の中でも一晩中スマートフォンを手放せない状態になってから、家族や周囲の人に気づかれることが多いとされています。

SNS依存

SNSは現在世界人口の63%が使用していると言われ、私たちの生活に深く浸透しています。SNS依存とは行動依存の一種で、その行動に悪影響があるとわかっているにも関わらず、使うことをやめられない状態を指します。

SNS依存には色々な特徴があります。ソーシャルメディアで発信した経験がある方ならば、いいねの数やコメント内容が気になってしまう気持ちを理解できるでしょう。

自らの発信に対してポジティブな反応を得られることは、承認欲求が満たされるため、とても気分がいいものです。しかし、もっとたくさんの人から反応をもらうために発信内容が過激になったり、いいねの数やフォロワー数が減ってしまうことで強烈な不安や欠乏感に襲われたりすることもあります。

また、もっと知りたい、もっと見たいという欲から、公開され続ける最新フィールドを延々と見続けてしまい、やめ時がわからなくなることも考えられます。

SNSの使いすぎによって日常生活に支障をきたすようになるとSNS依存が疑われ、現実での人間関係が損なわれる可能性や、睡眠不足による体調不良、仕事の生産性低下などさまざまな問題が発生するようになります。

ゲーム依存

ゲーム依存とは、ゲームを最優先した生活を送り、自己コントロールがきかない状態になることです。ゲーム依存によって、人間関係や学校生活に支障が出ます。

また、精神的・肉体的にも影響が出るケースもあります。ゲームをする頻度や時間のコントロールができない、日常的にゲームが最優先になる、悪影響が出ているにもかかわらずゲームを続け、さらにエスカレートするといった行動が12か月以上継続する場合に診断されます。

ネット依存の影響

ネット依存が健康面や社会生活に与える影響について確認しておきましょう。

健康への影響

ネット依存になることで、食生活の乱れや運動不足から体力の低下が起きやすくなり、長時間俯いていることで、ストレートネックになってしまうなど、身体的な問題が生じます。また、画面を長時間見続けることで近視や乱視となってしまうことがあります。

また、ネットにのめりこんでしまうことによって、うつ症状が出てしまったり、イライラしやすくなったりします。気力がなくなる、いつもならできることがなかなかできなくなる、人に対して怒りっぽくなるなど、その人らしさを変えてしまいます。

社会生活への影響

ネット依存となり、夜遅くまでパソコンやスマホを使用してしまうと、翌日の遅刻や授業中の居眠りが生じやすくなります。成績が低下してしまうことや、学校を遅刻してしまうこともあります。

もっと事態が深刻になると、欠席の増加や不登校につながる場合もあります。また、社会人の場合は仕事中の私的なネットの閲覧について、上司から注意を受けるなど信頼関係にヒビが入ってしまうこともあります。

ネットから離れるように強制したり、スマホを取り上げられたことで、家族に暴言や暴力を振るってしまうこともあります。

ネット依存を防ぐためには、大人が一方的にルールを決めてしまったり、子供任せにしてしまうのではなく、親子でよりよい過ごし方、ネットやスマホの扱い方をともに共有することが大事になります。

白水寛理

九州大学病院 脳神経外科 医師   九州大学大学院医学研究院脳神経外科にて脳神経学を研究、高血圧・頭痛・脳卒中など脳に関する疾患に精通。臨床の場でも高血圧、頭痛、脳卒中など脳に関する治療にあたる。 日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本小児神経学会、日本てんかん外科学会、日本脳神経血管内治療学会に所属。

プロフィール

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