ヨーグルトは下痢に有効? 下痢の原因になるって本当?
最近はヨーグルトの中でも菌種によってさまざまな働きをうたった機能性表示食品が豊富で、発酵食品に対する期待が高まっていることがわかります。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌や、ビフィズス菌などの善玉菌は、腸内に一定期間存在しますが、棲みつくことはないといわれています。毎日摂取することで腸に善玉菌を補充できます。
お腹の調子を整えるヨーグルトの働きはよく知られていますが、だからといって下痢の最中に摂取してよいかどうかは別問題です。中には、ヨーグルトが原因で下痢になったり、下痢が悪化したりといったケースもあります。詳しく見ていきましょう。
目次
下痢にも有効?ヨーグルトに期待できる働き
ヨーグルトには腸内環境を整え、免疫力を高める働きが期待できます。
腸内環境を整える
ヨーグルトは発酵食品のひとつです。
発酵食品とは、乳酸菌や酵母などの微生物の働きによって深い味や香り、豊かな栄養素を持った食べ物や飲み物のことです。
発酵食品の歴史は長く、世界最初の発酵食品は、紀元前5000年頃に牛乳から偶然できたヨーグルトだといわれていて、ヨーグルトには、乳酸菌が豊富に含まれています。
乳酸菌は善玉菌の一種であり、乳酸菌には悪玉菌の増加を抑制し、腸内環境を改善する働きがあります。
また、ビフィズス菌には、乳酸や酢酸を作り出すことで、悪玉菌の増殖を抑え、腸内環境を改善する働きがあります。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌の働きにより、便通への作用が期待できます。
乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌は、食物繊維を発酵・分解しながら生きており、その時に作られる酸が、腸内の悪玉菌の増殖を抑えたり、腸のぜん動運動を促したりして、スムーズな便通を促してくれます。
免疫力を高める
ヨーグルトに含まれている乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が、食物繊維を分解する過程で作り出される短鎖脂肪酸によって、免疫力を高めて病気を抑制することができるといわれています。
もともと、人の免疫を担う細胞の7割は小腸と大腸に存在し、細菌やウイルスなどの有害物質から守ってくれています。
ビフィズス菌は大腸で働くのに対し、乳酸菌は小腸で働いています。特に、小腸に棲んでいる腸内細菌は、生きた善玉菌でなくても、免疫を高める働きがあることが知られています。
ヨーグルトなどの発酵食品は、微生物の働きによってある程度消化(分解)されていて、体内に入ってからの消化に必要なエネルギーや消化酵素が少量で済むため、消化されやすく、健康な体作りを促進してくれます。
腸内細菌には、善玉菌、悪玉菌、日和見菌が存在しており、人間の免疫力の約7割は腸が担っており、その免疫力は善玉菌が増えるほど良好になります。
下痢の時はヨーグルトを食べないほうがいい?
下痢のときには、基本的にはヨーグルトの摂取は避けた方がいいでしょう。
ヨーグルトは、腸への刺激が強い食べ物であり、下痢を悪化させるおそれがあります。下痢のときは、おかゆやよく煮込んだうどんなど消化吸収のよい食べ物を摂取しましょう。
なお下痢などの不調がないときに食べるヨーグルトの量は1日100〜200gが目安です。
ヨーグルトの中でも特に機能性表示食品に関しては、摂取目安量なども定められていますので、適正な量を守って食べましょう。
ヨーグルトが原因で下痢になることも
牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素であるラクターゼが不足することにより、お腹がゴロゴロして下痢などを誘発してしまう症状を乳糖不耐症と呼んでいます。
日本人のおよそ3分の2がこの乳糖不耐症であると言われています。
人によっては、ヨーグルトを食べると下痢や腹痛を起こすケースがあり、同じ善玉菌を摂取しても、体質に合う人と合わない人がいます。
最近はさまざまな種類の菌を配合したヨーグルトが発売されているため、色々なものを試して自分に合ったものを選択するとよいでしょう。
もし、体調や体質などの面でヨーグルトが合わないと感じたら、無理に摂取する必要はありません。
また、乳製品にアレルギーがある人は、ヨーグルトに含まれる乳成分に反応してしまう可能性があり、皮膚がかゆくなる、じんましんが出るなどの症状が見られた場合はヨーグルトを控えましょう。
下痢のときに避けるべき食べ物
ヨーグルトに限らず、下痢のときは避けた方がよい食べ物があります。確認しておきましょう。
食物繊維が多い食べ物
下痢の時には、果物、わかめなどの海藻類、きのこ類、こんにゃくなどに含まれている食物繊維は、消化に悪く、腸に負担がかかるため控えましょう。
特に、食物繊維の一種である不溶性食物繊維は、腸内で水分を吸収して膨張する性質があります。
不溶性食物繊維は便の量を増やすことで腸内を刺激して排便を促すため、通常時では積極的に摂取することが好ましい栄養素ですが、下痢の時に不溶性食物繊維を多量に摂取すると、腸内の刺激が過剰になり、下痢の症状を悪化させる恐れがあります。
腸を刺激する食べ物
強い香辛料、コーヒーやアルコール飲料、炭酸飲料などは、腸に刺激を与えるので下痢の際は控えましょう。
唐辛子やにんにく、こしょうなどの香辛料は、下痢の時に食べてはいけない食べ物のうちのひとつですし、多量に摂取すると、下痢症状を悪化させてしまう可能性があるので避けましょう。
また、辛い食べ物も刺激が強いので、下痢の時には注意が必要です。これらの食品は胃酸を過剰に分泌させ、胃腸症状を悪化させてしまう恐れがあります。
脂っこい食べ物
揚げ物や脂身の多い肉、バターやマヨネーズなどの脂っこい食べ物は胃腸に負担をかけ、下痢症状を悪化させる可能性があります。
お腹の調子が悪く下痢をしている時は、胃腸に負担をかけにくい低脂肪な食事を心がけましょう。
ガスがたまりやすい食べ物
豆類、いも類、かぼちゃなどは、腸内で発酵してガスを発生し、発生したガスが腸を刺激するので下痢をしているときにはなるべく控えましょう。
ガスが腸にたまると、おなかがパンパンに張ったり、おならが増えたりしてつらいですし、下痢症状が悪化する心配があります。
まとめ
さて、これまで、ヨーグルトは下痢に有効か、ヨーグルトが下痢の原因になるって本当なのかなどを中心に解説してきました。
ヨーグルトには腸内環境のバランスを整えるのに大切な善玉菌が豊富に含まれています。善玉菌は生きて腸に到達しないと意味がないと思うかもしれませんが、死んでしまった善玉菌でも私たちの体を作る上で、有用な働きが期待できます。
ただし、ヨーグルトや牛乳により、下痢や腹痛の症状があらわれる原因の一つに、乳糖不耐症というものがあります。
ヨーグルトを食べて下痢にならないためには、まず、乳糖不耐症などで乳糖に過敏であれば、乳糖を含む乳製品を摂り過ぎないことです。
下痢の時の食事については、原則として消化が良く、食べやすいものを中心に摂取し、体力の回復を目指して、一度に多くの量を食べずに、数回に分けて小まめに食事を摂るようにしましょう。
基本的には、食物繊維の多い食品は、腸を刺激して下痢を悪化させますので、主食は、精白米・パンなどの食物繊維の少ないものを中心にして、タンパク質は卵や豆腐などの消化の良いものを選び、脂肪の多い食品は控えましょう。
今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。