脇や首のイボのようなもの…軟性線維腫(アクロコルドン)とは?

首や脇にできるイボは軟性線維腫と呼ばれるものがほとんどです。大きな影響は無いものの、服を着るたびに当たって違和感があったり、目立つようになってきて人目が気になったりします。ここでは軟性線維腫を取り上げ、特徴や治療法について解説します。
目次
脇や首にできやすい軟性線維腫(アクロコルドン)

イボには複数の種類がありますが、その中でも首や脇などにできやすいものを軟性線維腫、別名アクロコルドンと呼びます。どのようなものなのか見ていきましょう。
軟性線維腫とは
軟性線維腫は、皮膚の表面にできるちいさな突起物です。脇にもできるのですが、首にできると特に「首イボ」と呼ばれることもあります。年齢が重なる毎に発生率が上昇していき、30代頃から気になっている人が増えてくるようです。
加齢による発症率の増加に加えて、一度できた人にできてくる数が増えてくるという特徴もあります。だんだんと目立つようになってくるのです。
軟性線維腫は、首や脇などで摩擦を受ける事で皮膚が変化してくることによって起こってきます。摩擦のほかに、日光照射も原因となると言われています。皮膚が反応性に増殖しているものですから、悪性ではありません。
基本的には1~3mm程度のものですが、時折大きくなることがあります。小さいものをスキンタッグやアクロコルドン、2~5mm程度と大きめのものを軟性線維腫、さらに大きくなって垂れ下がるようになったら懸垂性軟性線維腫と区別することがあります。
スキンタッグとアクロコルドンは形状で分類されます。スキンタッグは飛び出た形をしていて、アクロコルドンは盛り上がりがあまりないという特徴があります。中には茎をもってぶらぶらとしているようなものもあります。
軟性線維腫の原因
軟性線維腫の原因ははっきりと分かったものはありませんが、以下の4つが原因を占めていると言われています。
紫外線
紫外線による皮膚への刺激が、皮膚の細胞の分裂を活性化させて増殖し、軟性線維腫ができると考えられます。
皮膚の老化
年齢が上がるにつれて軟性線維腫の発症率が上がることから分かるように、皮膚の老化が原因と考えられています。
摩擦
摩擦による刺激が皮膚の細胞の分裂を活性化させて増殖し、軟性線維腫ができると考えられます。
肥満
肥満によって皮膚にしわができやすく、刺激が加わりやすい環境になることで軟性線維腫ができやすくなるほか、代謝の異常が皮膚環境を悪化させて軟性線維腫ができやすい環境を作るのではないかと言われています。
ほかには遺伝的な体質があるのではないかということも言われています。両親や親族に軟性線維腫ができている方がいる場合、体質を遺伝的に受け継いでいる可能性があります。
ウイルス性の病気ではありませんから、他人からうつることはありません。
軟性線維腫の治療法

軟性線維腫と分かったらどのような治療法があるのでしょうか。
凍結療法
イボに液体窒素を当てる治療です。液体窒素が当てられた皮膚組織は、凍結によって壊死します。壊死を反映して、イボ自体がかさぶたのように黒く変色してきます。時々水ぶくれを作る事があります。通常、痛みを伴います。
異常に増殖してしまっている細胞を壊死させることで、イボを退縮させることを目的とします。個人によって治療への反応性が違いますし、また大きさによっても効果が異なります。1~2週間ぐらいの間隔を空けて繰り返し治療を要することがあります。また、色素沈着が残りやすい治療でもあります。
病巣の原因が完全に除去されるわけではありませんから、再発することもあります。盛り上がりを減らすための治療と考えると良いでしょう。
ハサミで切り取る
茎があってぶらぶらしているような状態の時に適している治療法です。はさみで茎の部分を切り取ってしまうことで治療を終わることができます。茎が1mm程度のものであれば傷跡はほとんど分かりません。また、その程度であれば局所麻酔がなくてもほとんど痛みを感じずに治療できることが多いです。
もう少し茎が太くて大きい場合には、局所麻酔を併用したり、切除後に傷跡を縫合したりする必要が出てくることがあります。この場合、処置後の傷跡も大きくなってきます。
なお、茎が無い状態であればハサミで切り取る方法は適応になりにくいです。
手術による切除
とくに軟性線維腫が大きい時に考慮される治療法になります。局所麻酔をした後に、メスを利用して軟性線維腫を切り取り、残った傷跡を縫合する方法です。はさみで切り取る方法と異なり、茎がないような軟性線維腫でも実施が可能です。
また、悪性腫瘍の可能性が否定できない場合にもこの方法がとられます。患部を確実に切除する事で高い治療効果を得るのとともに、組織を病理検査することによって診断を確定することができるからです。
欠点は、1つ1つ切除していくのに少し時間がかかるため、大量の軟性線維腫がある場合にはなかなか実施が難しいところです。大きなものを取るための治療と考えると良いでしょう。
注意が必要な「イボのようなもの」

首や脇のイボのようなものとなると軟性線維腫が真っ先に考えられますが、ほかにも可能性があります。
ウイルス性のイボ
ウイルス性のイボは、イボの中でも最もよく見られるものです。尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)と呼ばれます。
尋常性疣贅の原因となるウイルスはヒトパピローマウイルスです。皮膚であればどこでもできる可能性がありますが、爪の付け根の皮膚によく見られます。爪を噛んだり、手が水に触れる仕事をしたりしていると、ほかの爪やほかの皮膚へと広がって行くことがあります。
治療法は軟性線維腫と同じように液体窒素を利用したり、メスによる切除をしたりします。基本的には良性ですが、かなり広範に広がってなかなか治癒しない場合もあります。
悪性腫瘍
皮膚の悪性腫瘍も皮膚の盛り上がりを伴うことがあるため、鑑別が必要な疾患となります。ただし、見た目は大きく異なりますから見ただけで判別することも可能です。
サイズは軟性線維腫では大きくても3mm程度ですが、悪性腫瘍ですと1cmを超えてきます。少なくとも3cmを超えるものは悪性腫瘍である可能性が非常に高いと考えられます。
形は軟性線維腫では左右対称なのに対し、悪性腫瘍では非対称となります。境界も軟性線維腫でははっきりとしているのにたいし、悪性腫瘍では境界不明瞭となります。周辺の状況も軟性線維腫では特に普通の皮膚と変わりなく、平でなめらかなものになっていますが悪性腫瘍では不規則となります。
また悪性腫瘍は成長に伴って内部構造の壊死を伴います。特に中心付近が壊死した場合は表面に潰瘍を作る事もあります。
大きくて周りとの境界が不鮮明なものは悪性の可能性が疑われます。そうでなければあまり心配する必要は無いでしょう。