日焼けとの違いは?光線過敏症(日光アレルギー)の種類と症状

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光線過敏症という症状があります。日光が当たることによって、皮膚に様々な影響が出てくるものです。光線過敏症は日焼けとどのように異なるのでしょうか。また、症状の出方にはどのような特徴があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

光線過敏症(日光アレルギー)と日焼けの違い

日光によって、 皮膚に様々な影響が出てくるとなると、まず 日焼けを思い出す方が多いと思います。しかし、光線過敏症は日焼けとは全く違うものです。

日焼けは簡単に言うと、 日光による軽いやけどのことです。 紫外線を浴びることで、皮膚が赤く炎症を起こしたり、 その後に黒く変色したりするものが日焼けです。日焼けは、どのような人にも起こってきます。

一方、光線過敏症は日光に当たることが引き金となって皮膚に痒みとか赤みが生じてくる病気です。それだけではなく、様々な皮疹が出てくることもあります。 原因となるのは、日光による免疫系の過剰な反応です。そのため、起こる人は限られてきますし、また少量の日光でも起こってくることがあります。

免疫学的機序によって起こってくることが多くなっていますから、日光アレルギーという名前もつけられています。

ただし、光線過敏症は1つの病気を指しているのではありません。何種類かある、日光によって起こってくる過敏症状をまとめて光線過敏症と呼んでいます。

光線過敏症の種類と症状

光線過敏症には次に取り上げるような種類があり、それぞれ症状に特徴があります。

日光じんましん

日光蕁麻疹は、日光に暴露して数分から数十分以内に、光が当たった部分に一致した形の蕁麻疹ができてくるものです。蕁麻疹ができた後に日光を避けると、10分から2時間程度で消退してくるのも特徴です。 

日光蕁麻疹を引き起こす光線の波長としては可視光線がほとんどで、だいたい400~507m ぐらいの波長の光が作用します。紫外線が作用することはあまりないとされています。

光線が照射されることによって、皮膚の中にアレルゲンが形成され、それに対するアレルギー反応が起こるのではないかと言われています。アレルギー反応は、1型アレルギーと呼ばれるアレルギー反応で、もともと体の中にアレルギーに対する抗体が産生されていて、アレルゲンが生成されるとすぐに作用し、ヒスタミンが放出されることによって蕁麻疹ができると考えられています。 

治療としては、まずは遮光することが大事です。そして、ヒスタミンが放出されることによって蕁麻疹が起こるため、抗ヒスタミン薬を内服することで蕁麻疹を予防することができます。しかし、長時間光に暴露してしまうと、抗ヒスタミン薬で抑えきれないほどの症状が出て、日光蕁麻疹ができてしまいます。

また、遮光にも注意が必要です。紫外線が影響していませんから、一般的に使用されるような日焼け止めのクリームやローションはあまり効果がありません。衣服など確実に光を遮断できるものを着用する必要があります。

多形日光疹 

光線過敏症の中で最も頻度が高い疾患で、日本人では約4%に見られると言われています。女性に好発して、夏の間の強い日光の暴露で症状が出てきます。

症状としては、露出していて日光に暴露する場所に明るい赤色の丘疹が散在性に多発します。皮疹の種類は1種類だけではなく、様々な皮疹が出てくることがあります。また、日光蕁麻疹とは異なって、日光に暴露してから数時間ぐらいしてから発疹が現れてくるのが特徴です。発疹が消えるまでの期間も、数日間かかることも多く、蕁麻疹とは違った様相を見せます。

原因についてははっきり分かっていませんが、紫外線ではないかと言われています。紫外線に繰り返し暴露されることによって皮膚の中に抗原が産生され、それに対する自己免疫的接触性アレルギーが出ていると考えられています。

なお、日光蕁麻疹と多形日光疹は同じ人に起こることもあります。蕁麻疹が出た後に、多形日光疹が出現するような場合もあります。また、時折慢性化することもあります。

治療は、遮光を行うことと、ステロイドの外用を 行います。遮光 については紫外線が原因となりますから、日焼け止めを塗ることも 効果的です。加齢とともに症状が少なくなり、だんだんと治ってきます。

光接触皮膚炎

光接触性皮膚炎は、主に塗り薬や貼り薬を塗った場所に起こってくる 皮膚炎のことです。 原因物質が皮膚に付着したところに、光が暴露することによって皮膚炎が生じてきます。

皮疹は、暴露した部分に一致して赤く痒くなってきます。それだけではなく、腫れたり、かゆみや水疱ができたりすることもあります。ひどい日焼けのように真っ赤になることもあり、痛々しい 見た目となることもあります。

基本的には暴露した部分に一致した症状が出るのですが、全身に広がることも時折あります。 

ケトプロフェン系の貼付剤は鎮痛作用が高いためによく使われますが、光接触皮膚炎を起こしやすいことが知られています。他には、食べものとしてセロリやパセリ、オレンジなどの成分が光接触皮膚炎を起こすこともあります。

光線過敏型薬疹

光線過敏型薬疹は、薬剤性光線過敏症とも呼ばれるものです。内服や点滴などによって、全身に投与された薬が皮膚に分布し、そこに光が当たることによって皮疹が誘発されます。この場合の日光とは、ほとんどの場合、UVAに分類される紫外線です。

原因となる薬剤は非常に多岐にわたります。例えば、フェノチアジン系の抗精神病薬やニューキノロン系抗菌薬、痛み止めのNSAIDs、抗がん剤、降圧薬、高脂血症治療薬、抗不整脈薬などがあります。

発症機序は、光アレルギー反応の場合が多いです。つまり、皮膚に分布した原因物質に光が当たることによってアレルゲンとなり、アレルギー反応が起こってくるものです。一部のものは光毒性といって、その物質自体が光によって変性し、直接組織を障害するようなこともあります。

一般に、初回投与後、潜伏期間を置かずに発症した場合には光毒性を考えます。 反対に、複数回投与した後に症状が起こってきた場合には、光アレルギー反応を考えます。

症状は、薬剤を内服した後、早い場合には数時間で生じますが、多くの場合には長い時間が経った後に症状が出てきます。 通常は2~3日から2週間ぐらいで、 稀に半年以上内服して初めて症状が出てくるような場合もあります。日光に暴露している部分に一致して紅斑や浮腫、丘疹、小水疱、色素沈着などが見られます。重症化することも時折あります。

治療としては、原因となる薬剤の中止が求められますが、なかなか中止ができない場合もあります。そのため遮光が重視されます。

光線過敏症を予防するポイント

光線過敏症を予防するためには、まずは日光を避けることが大事です。日焼け止めをこまめに塗ったり、帽子やサングラス、長袖の服を着用し、できるだけ外出を避けるようにします。

薬剤によって引き起こされている場合には、原因となる薬剤を中止するか、可能であれば他の薬剤に変更することによって対応します。

直接的な治療としては、原因となる皮疹の種類によって抗ヒスタミン薬を内服したり、ステロイドの内服や外用を行います。 

郷正憲

徳島赤十字病院 麻酔科 郷正憲 医師 麻酔の中でも特に術後鎮痛を専門とし臨床研究を行う。医学教育に取り組み、一環として心肺蘇生の講習会のインストラクターからディレクターまで経験を積む。 麻酔科標榜医、日本麻酔科学会麻酔科専門医、日本周術期経食道心エコー認定委員会認定試験合格、日本救急医学会ICLSコースディレクター。 本名および「あねふろ」の名前でAmazon Kindleにて電子書籍を出版。COVID-19感染症に関する情報発信などを行う。 「医療に関する情報を多くの方に知っていただきたいと思い、執筆活動を始めました」

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