ドラッグストア外用薬を支える!創業66年「万協製薬」の開発力

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ドラッグストアの棚に並ぶ、水虫の薬や手荒れのクリーム。ブランドは違っても、実は同じ工場で、同じ処方から生まれていることがあるのをご存じでしょうか。

塗り薬という身近な製品の裏側には、名前が表に出ないまま品質を支え続けてきた専門メーカーの存在があります。そこで今回は、外用薬づくり一筋66年、開発・製造の受託に特化する万協製薬株式会社の製造部次長・開発部長、濱口 高明さんにお話を伺います。

自社ブランドを持たない理由

__御社は自社ブランドを主軸にしない、少しめずらしい形をとっていますね。

「1960年に神戸で創業し、66年間ずっと外用薬、つまりクリームや軟膏、液剤の企画・開発・製造を手がけてきました。転機は1995年の阪神・淡路大震災です。工場を失い、自社ブランドの販売網も失いました。そこで現在の2代目社長である松浦社長が、『自社ブランドを持たず、外用薬づくりに特化したパートナー企業になる』という方向性を定め、以後30年間、CDMO(医薬品受託開発製造業)として歩んできました」(濱口さん/以下同)

自社ブランドを持たない理由

__御社は自社ブランドを主軸にしない、少しめずらしい形をとっていますね。

「1960年に神戸で創業し、66年間ずっと外用薬、つまりクリームや軟膏、液剤の企画・開発・製造を手がけてきました。転機は1995年の阪神・淡路大震災です。工場を失い、自社ブランドの販売網も失いました。そこで現在の2代目社長である松浦社長が、『自社ブランドを持たず、外用薬づくりに特化したパートナー企業になる』という方向性を定め、以後30年間、CDMO(医薬品受託開発製造業)として歩んできました」(濱口さん/以下同)

__ものづくりの核はどこにあるのでしょう。

「パッケージや商品名ではなく、『処方(レシピ)』そのものです。優れた処方を一つつくり、それをさまざまなメーカーやブランドの製品として世に送り出す。そこが私たちの仕事の中心にあります」

皮膚は人体でもっとも大きな臓器

__外用薬に絞ったのは、どんな考えからですか。

「外用薬は日本の医薬品全体で見ると、剤型別のシェアは約7%にすぎません。ただ、皮膚は人体でもっとも大きな臓器ですから、どのメーカーも外用薬のラインナップを手放せないんです。一方で、そこに開発・製造のコストを大きくかけたい会社は多くない。だからこそ、私たちのような専門のCDMOに依頼が集まります」

__具体的にはどんな製品が多いのでしょうか。

「水虫の薬、手指の湿疹用の薬、痔のお薬、歯槽膿漏や口内炎などの口腔ケア用薬。多くの方が使う、定番の塗り薬が中心です。市場規模自体は風邪薬などに比べて小さいので、きちんと対応できるメーカーの数も限られています。ですので、最近は大手製薬メーカーでも、工場の老朽化が進んだ際に自社設備を更新せず、工場での生産をやめて 、得意な企業へ製造を任せる『ファブレス化』の流れもあります。外用薬に特化して設備投資を続けてきた会社に、自然と仕事が集まる構造になっていますね」

同じ中身、違うパッケージ

__売り場のプライベートブランド(PB)も増えている印象です。

「食品と同じ波が、ドラッグストアの世界にも押し寄せています。実際、水虫薬では私たちが設計した一つの処方が、複数の大手ドラッグストアのPBとして、中身は同じまま、それぞれ違うパッケージで並んでいます」

__売り場で競合しているブランド同士が、実は同じ現場から、ということもあるわけですね。

「はい。ただしPB同士が処方を共有していることが多い一方で、ナショナルブランドとPBの処方がまったく同じというわけではありません。カテゴリーによっては、競合するブランドとそのPB版を、それぞれ別の処方として弊社が手がけているケースもあります。弊社の社名が表に出るかどうかは重要ではなく、『どれだけ多くのブランドの中身を支えているか』が大事だと考えています」

営業部を置かない開発体制

__他社との違いはどこにありますか。

「まず、営業部を置いていません。開発担当者自身がお客様の企業と直接対話し、提案する『開発提案ツアー』『オープンラボ』という独自のスタイルをとっています。つくる人間が直接話すので、実現できることとできないことをその場で詰められる。それから製造ラインが90本近くあり、少量多品種の生産に対応できます」

__ラインの数が多いと、何が変わるのでしょう。

「他社が対応しづらい小ロット・多品目の開発にも柔軟に応じられます。実際に年間50〜80件の新製品を開発し、約150社の取引先向けに製品を製造しています。近年は『頼まれたものを作る』受託製造から、『市場を分析して提案する』外用薬のコンサルティングへと役割を広げているところです」

生活者にもたらされるメリット

__こうした仕組みは、店頭で商品を選ぶ人にどう関係してきますか。

「専門の会社が開発と製造を一手に引き受けることで、選択肢の幅が保たれる、という点が大きいと思います。市場が小さいカテゴリーの製品でも、専門メーカーがまとめて手がけることで、店頭から消えずに済む。小ロットに対応できることも、ニッチな悩みに向けた製品が世に出続けることにつながります」

__日本のOTC市場は今後どうなると見ていますか。

「市場調査によると、2025年の約1.6兆円から2034年には約2.4兆円へ拡大すると予測されています。これは、高齢化、セルフメディケーションの推進、コロナ後の予防医療シフトが影響しているでしょう。軽い症状にすぐ対処できる外用薬は、セルフメディケーションを象徴する製品群だと思っています」

__最後に、これからの展望をお聞かせください。

「私は2001年、開発部の第1号として入社し、25年間ずっと外用薬市場を見てきました。正直、今が一番調子のいい時期だと感じていますし、この先10年でさらに良くなると考えています。今後は市場や売り場を分析し、先回りして提案していく『外用薬コンサルタント』としての役割を強めていきたい。66年積み重ねてきた外用薬づくりの技術を軸に、事業の幅を広げていくのが展望です」

名前の出ない専門性に支えられた、私たちの健康

今回は万協製薬株式会社の濱口 高明さんにお話を伺い、外用薬に特化したCDMOという事業のあり方について紹介しました。売り場に並ぶ塗り薬の多くは、名前が表に出ない専門メーカーの技術に支えられています。専門性の高い企業が開発と製造を担い続けることは、身近な悩みに応える製品が選び続けられる環境そのものを支えているといえそうです。

<取材協力先>
企業名:万協製薬株式会社
担当者:製造部次長・開発部長 濱口 高明様
所在地:三重県多気郡多気町仁田725-1
企業公式サイト:https://www.bankyo.com/

<取材・編集>
健タメ!編集部

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