更年期に漢方がおすすめの理由とは?更年期障害に効く3大処方を解説
顔がほてったり、肩こりがしたり、イライラしたり…更年期の症状に悩んでいる方はいませんか?
更年期の症状を和らげる治療には、西洋薬と漢方薬を用いた治療などの選択肢があります。それぞれにメリットがあり、特に漢方の場合には体質ごとにオーダーメイドのような治療ができることが特徴です。
そこで今回は更年期に漢方を使うメリットと更年期の女性におすすめの漢方薬の種類と選び方について紹介していきます。
なぜ更年期症状の改善に漢方がいいの?
更年期とは閉経前後の約5年間の時期のことをいいます。更年期にはさまざまな不快な症状が出ることが多く、更年期症状といいます。特に症状が重たく日常生活にも支障を来たすようになると更年期障害となり、何らかの治療が勧められます。
更年期の症状の現れ方は個人差が大きく、症状は一つとは限らずさまざまな症状が全身に現れることが多いです。
西洋医学の場合、辛い症状を和らげる方法として、頭痛には頭痛薬などの薬で対症療法を行うか、減少している女性ホルモンを補うためのホルモン補充療法がよく用いられます。ホルモン補充療法の場合はある程度の即効性も期待できるので、すぐに辛い症状を取りたい場合に適しています。
ところが、対症療法では更年期の症状を全て解消することが難しい場合も多く、ホルモン補充療法については血栓症や乳がんのある人は飲めない場合や、むくみや吐き気などの副作用で飲めないという場合もあります。
一方漢方薬は、一つの漢方薬だけでもさまざまな症状を同時に改善することができるということが特徴です。また、ホルモン療法が何らかの理由で使えないという場合にも、漢方薬であれば使用することができることもメリットの一つです。
漢方薬は更年期の不定愁訴の治療が得意!
漢方薬にはさまざまな生薬が含まれており、互いに協力しながら効果を発揮します。そのため、改善できる症状も一つではなく、同時にさまざまな症状を改善することができます。
特に、更年期のようにいろいろな不定愁訴が同時に起きる場合に、漢方薬を使うと体質そのものから改善して全身的な症状を和らげることができるので非常に便利です。
ただし、漢方薬はその人の体質に合わせて適した処方を選ぶことが肝心です。更年期症状に効く漢方薬も一つではないので、自分に合ったタイプを選ぶようにしましょう。
更年期症状の改善に使われる三大漢方薬とは?
更年期にはホルモンバランスの変化によりさまざまな症状が起こりますが、症状の現れ方は人によって個人差が大きいことが特徴です。
漢方ではその人の体質と現れている症状によって漢方薬を使い分けて治療を行います。
次に更年期障害の治療に使われることの多い代表的な漢方薬を紹介します。参考にして自分に合った漢方薬を見つけてください。
当帰芍薬散
おすすめの体質:血が不足していて血の巡りが悪い体質。貧血気味でめまいや疲労感、むくみや冷えがある。
処方解説:女性によく使われる代表的な漢方薬であり、特に血が不足していて、十分に全身に巡らせることができない比較的虚弱な体質の人に適しています。芍薬(シャクヤク)は血を増やし、当帰(トウキ)も血を補い、体を温めて巡りをよくします。また水の滞り(痰湿)がある場合にも適応となり、水の巡りを促すことによってむくみの改善にも効果があります。さらには胃腸の機能を高める働きもあるので、疲れやすく冷えやすい体質の人に効果がある漢方薬です。
加味逍遙散
おすすめの体質:気の巡りが悪い体質。症状がコロコロ変わりやすい、疲れやすい、のぼせや肩こりがある。
処方解説:加味逍遙散は名前の通り、いろいろな症状に対応できるように生薬を加えた漢方薬です。そのため、気持ちが落ち込んだり、イライラしたりと不安定な精神状態になりやすい人や、気が滞って熱が上半身にこもる人に適しています。上半身に滞った気を下ろすことで熱を冷ますので、顔のほてりや冷えのぼせなどの更年期に起こりがちな症状に適応します。イライラして眠れないという更年期の女性にも用いられる漢方薬です。
桂枝茯苓丸
おすすめの体質:気と血の巡りが悪い体質。ホットフラッシュが辛い、肩こりや下腹部の痛みなどがある。
処方解説:桂枝茯苓丸は上の2つの処方と比べると比較的体力がある体質の人に適した漢方薬です。足が冷えるのに顔がほてり汗がダラダラ流れるというような人に適しています。中心となる生薬である「桂皮」はスパイスのシナモンのことで、「気」の巡りを活発にする作用があります。気の巡りを改善することで血の流れも促して、冷えのぼせや肩こりなどの症状を改善する効果の高い漢方薬です。
更年期症状は漢方薬を活用して上手く乗り越えよう
更年期は人によっては10年ほどもの長い期間に渡って続きます。辛い症状をそのまま放置していると、日常生活を送ることさえも困難になってしまうことも。
ストレスを溜めない、バランスの良い食事などの基本的なセルフケアを行いながらも、なかなか改善しない場合には薬による治療も検討してみましょう。その時、西洋医学だけ、漢方だけと捉われることなく、自分にあった治療を選択することが大事です。更年期だからといって不快な症状を抱えているのは辛いものです。
自分にとって一番良い方法が何かわからない場合には婦人科の医師や漢方の専門医などに相談すると良いでしょう。