なかなか良くならない痰によく効く漢方薬、おすすめ5選!

漢方基礎知識

風邪が治ったと思っても、痰が長く残って気持ちが悪いことはありませんか?

痰が絡んでしまうと、友達や同僚と楽しくお喋りしててもいきなり咳き込んでしまったり、相手を不快な気持ちにさせてしまうこともあります。

そこで、痰を改善するためにまずは市販薬を試してみたいという場合に、是非試してほしい漢方薬を、今回はご紹介していきたいと思います。

西洋医学と漢方における「痰」とは?

そもそも痰とは一体なんなのでしょうか。

西洋医学と漢方では、少し考え方が異なります。まずはその違いを知っておきましょう。

西洋医学における「痰」とは?

実は、健康な状態でも体の中で痰は作られており、痰の中には、ウィルスや細菌、埃などが含まれています。健康な状態だと分泌量が少なく、自然と食道を通り位の方に流れていきますが、ウィルスや細菌など異物が入り込むとそれらと絡まり、粘り気や色のついた痰となって気管に停滞します。

痰の中には、ウィルスや細菌を抑え込むための抗体も含まれており、痰を作り出すことで、肺にウィルスや細菌が侵入して病気になってしまうのを防いでいます。そして、この痰は、呼吸器粘膜の上皮細胞表面の繊毛が異物を外に押し出すために、上気道の方まで運び上げて、体外に排出されます。

もし、痰の生成が遅れれば、肺にウィルスや細菌が侵入して、肺炎や気管支炎などを発症する可能性があります。また、タバコを吸うと痰が出やすくなるのは、タバコの煙に含まれる有害物質を絡め取って、体外に排出するためです。痰は、実は身体を健康に保つために重要な働きをしているのです。

漢方における「痰」とは?

痰は、必ずしも喉に絡む「痰つば」のことだけでなく、水分代謝異常の結果生まれる分泌物として捉えられています。特に中医学では「脾は生痰の源、肺は貯痰の器」といわれ、痰が出てくるのは「肺」つまり呼吸器です。なお、消化機能が落ちて生じる痰を「痰飲(たんいん)」とも呼びます。

呼吸器に生じる痰は、次のように分けられます。

  • サラサラとした「寒痰(かんたん)」
  • 黄色くドロっとした「熱痰(ねつたん)」

「寒痰」は粘稠度が低く透明な痰で、体が冷えているサインです。特に呼吸機能を司る「肺」や胃腸機能である「脾」に冷えがあり、「水」が停滞するために生じます。一方で、「熱痰」は「肺」に湿熱や痰熱がうっ滞して生じます。

痰の種類

痰には様々な種類があります。ご経験がある方もいらっしゃるかと思いますが、その粘稠性や色によって風邪の原因が見えてきます。大きく4つの種類に分けて説明しますので、是非ご参考にしてみてください。

黄色い痰、緑色の痰については、細菌性が疑われます。血痰の場合は、風邪以外の病気が潜んでいる可能性がありますので、病院を受診することをお勧めします。

白色もしくは無色透明の痰

ウィルス感染や喘息が原因だと考えられます。粘り気の強い痰なら喘息の可能性が高いです。

黄色い痰

細菌感染が原因だと考えられます。黄色くなるのは自身の白血球が細菌と戦った残骸です。

緑色の痰

黄色い痰同様に細菌感染が疑われます。慢性気管支炎やインフルエンザ桿菌、蓄膿症などの病気で緑色になりやすいと言われます。

血が混ざった痰

血が混ざった痰のことを、血痰と言います。咳のしすぎで喉の奥が切れてしまって、痰に混じった血が咳と同時に吐き出されることです。喉が少し切れてしまうくらいでしたらさほど心配ありませんが、血液の量が多かったり、咳き込むだけで口を塞いだ手が血だらけになってしまう場合は、気管支や肺の病気である可能性があるので、病院で検査をした方がいいでしょう。

こんなとき、こんな人は早めに受診しましょう

  • 咳が2週間以上止まらない
  • 血痰が出る
  • 色の濃い痰、粘り気の強い痰

また、次にあげる人は病気の影響が大きく現れたり、病気が進行しやすいので早めに受診しましょう

  • 以前に呼吸器の病気をしたことがある人
  • 糖尿病にかかっている人
  • 心臓病にかかっている人
  • 高齢者や小児
  • 膠原病にかかっている人

痰に効く漢方薬5選

竹如温胆湯(ちくじょうんたんとう)

【体力】中等度

【効能効果】かぜ、インフルエンザ、肺炎などの回復期に熱が長びいたり、また平熱になっても、気分がさっぱりせず、せきやたんが多くて安眠が出来ないもの

麦門冬湯(ばくもんどうとう)

【体力】中等度以下

【効能効果】たんが切れにくく、時に強く咳き込み、又は咽頭の乾燥感があるものの諸症状(空咳、気管支炎、気管支喘息、咽頭炎)

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

【体力】中等度又はやや虚弱

【効能効果】うすい水様のたんを伴うせきや鼻水が出るものの次の諸症(気管支炎、気管支ぜんそく、鼻炎、アレルギー性鼻炎、むくみ、感冒、花粉症)

清肺湯(せいはいとう)

【体力】中等度

【効能効果】せきが続き、たんが多くて切れにくい方の諸症状(せき、気管支炎など)

柴朴湯(さいぼくとう)

【体力】中等度

【効能効果】気分が塞いで、咽頭、食堂部に異物感があり、風邪をひきやすく、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴うものの次の諸症:小児喘息、気管支喘息、気管支炎、せき、不安神経症、虚弱体質

まとめ

今回は痰に効果的な漢方薬をご紹介させていただきました。

長く続いたり、血痰が出る場合には、専門医に診てもらうことをお勧めしますが、そこまで重症ではないかぎり、セルフメディケーションで良くなるケースが多いです。

不安がある場合は、漢方に精通している医師や薬剤師に相談して、自分にぴったり合う薬を選んでもらいましょう。

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