「え?コロナ!?」という視線に大慌て! 口が乾燥して咳き込むのが怖い!

体験談

最近、口の中がねばねばしている気がする、唾液が出ないせいで、食事をしていても飲み込みにくい……。
それは、もしかしたらプレ更年期(30〜40代)や更年期(40〜50代)に起こりがちな「ドライマウス」の症状かも!?

そんな自分ではどうにもならない更年期症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか?
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「更年期のドライマウス」をテーマに、薬剤師の中田早苗先生にお話を伺ってみました。 

どこに行くにも飴とドリンク必須! この謎の口の乾きを止めて!

幸枝さん(42歳女性)、専業主婦の方からご質問をいただきました。

ここ数年、とにかく四六時中、口が乾いて乾いて仕方がないんです。最近は、電車やバスの中でゲホゲホ咳き込んだりしたら「え?この人コロナかな、怖い!」なんていう不快な視線を浴びることも多くて…。
もともと呼吸器が弱く喘息の傾向もあったので、咳エチケットには気を使っているつもりでしたが、今は人前で少しでも咳き込むのがとにかく怖くて。出かけるときは飴やドリンクが手放せない状態で、虫歯になるんじゃないかとヒヤヒヤしています。
以前は月に二度ほどの友人とのランチ会を楽しみにしていたのですが、このところ喉が常にイガイガ乾燥した状態が続いていて、食事も詰まりやすくむせやすいため積極的に参加する気にもなれません。
どうしたらこの不快な症状を改善できるでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
口が異常に乾燥する、唾液が出づらいといった症状はドライマウス(口腔乾燥症)といって、将来的に味覚を感じづらくなることもあるため、早めに改善しておきたいですよね。
今回は、更年期のドライマウスの原因や改善方法についてお伝えしていきましょう。

エストロゲンの減少と「津液」の不足がドライマウスの原因!

更年期のドライマウスは、女性ホルモン(エストロゲン)の減少が原因と考えられています。
女性ホルモンには、皮膚や粘膜のうるおいを保つ働きがあります。
更年期になり女性ホルモンが少なくなると、唾液の分泌が減って口が渇きやすくなります。
また、薬の副作用や糖尿病、自己免疫疾患であるシェーグレン症候群などの病気によっても、ドライマウスが起こることがあります。

東洋医学では、私たちの体にとって必要な液体(津液)の不足によって唾液が減り、ドライマウスが起こると考えられています。
更年期には気(生命エネルギー)や血(血液)の不足や巡りの悪さから口腔内の乾燥を招くこともあります。

次の章ではこうした更年期特有の悩ましい症状に対する具体的な解決方法をお伝えしていきましょう。

ドライマウスを防ぐセルフケア5選!

1.しっかり噛んで食べましょう

食事の際はよく噛んで食べましょう。噛めば噛むほど唾液が出やすくなりますので、意識して噛むようにするといいですね。
噛む回数は、一口30回を目標にしてみましょう。

2.マッサージやキャンディーで唾液腺を刺激!

耳のすぐ前にある唾液腺を指でクルクルとマッサージしたり、キャンディーやガムを噛むことで唾液が出やすくなります。
食事の前や、空腹時に唾液腺を刺激しておくと、食事中の飲みにくさが軽減されますので試してみてくださいね。

3.ストレスをためない生活を心がけて

ストレスがかかると交感神経が刺激されるため、唾液の分泌は少なくなり、ドライマウスになりやすくなります。
ストレスの解消には、運動、楽しいコミュニケーション、十分な睡眠、バランスの取れた食事などがオススメです。生活のなかで少し意識してみるといいでしょう。

4.こまめに水分補給をしましょう

体の水分が足りないと唾液も少なくなるので、水分補給はとても大切。
お出かけの際には水筒を持ち歩いて、こまめにお水を飲み、口の中をうるおしましょう。口腔内が衛生的に保たれるので、歯周病や虫歯の予防にもなります。

5.大豆イソフラボン(エクオール)を摂りましょう

豆腐や豆乳などの大豆製品に含まれるイソフラボンが、更年期のドライマウスの症状を和らげると言われています。これは、腸内細菌が大豆のイソフラボンから、女性ホルモンのエストロゲンとよく似たエクオールをつくりだしているからです。
ですが、日本人の2人に1人はエクオールをつくれないと言われています。
その場合は、エクオールをサプリメントとして補充することで更年期のドライマウスの症状の改善が期待できます。腸内でエクオールをつくることができる体質かどうかは、エクオール検査(ソイチェック)で調べることもできます。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

つらいドライマウスの症状を改善するために、即効性のあるホルモン補充療法を受けるという選択肢に加えて、根本的な改善を目的とした漢方薬の服用もオススメです。
特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、麦門冬湯(バクモンドウトウ)です。
喉や口腔に潤いを補いながら、胃腸の状態を整えて必要な水分(津液)を作る力を養う効果があります。
また、口腔内や喉の乾燥とともに、熱っぽさやほてりを感じる方には、体内にこもった余分な熱を冷ましながら、津液を補ってくれる白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)も良いでしょう。

ドライマウスを改善して、美味しいものを楽しめる暮らしを!

今回は、ドライマウスに悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
ドライマウスは不快なだけでなく、虫歯や歯周病などにつながる可能性があるため、早めの対処が大切。
ご紹介したセルフケアやストレスを溜めない暮らしを実践して、いつまでも食事を楽しめるように体を整えていきましょう。

また、ケアしても改善しない口の渇きには、シェーグレン症候群などの他の病気も考えられますので、早めに医療機関に相談してみることをオススメします。


中田早苗

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師 中田 早苗 薬剤師。認定運動支援薬剤師。就実大学薬学部卒業。病院薬剤師として約7年間勤務後、漢方薬局で2年間勤務。ファスティングマイスターとして100名以上のファスティングをサポート。TiktokやInstagramでファスティング・美腸を普及する活動も行っている。

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