漠然とした将来の不安を感じる更年期…謎の息切れから解放されたい!

体験談

​​ゆっくり歩いているだけなのに息が切れて胸が苦しくなってしまう、若い頃は何でもなかった日常的な動きでもすぐに息切れしてしまうようになった……。
40〜50代の更年期世代の女性のなかには、こうした「息切れ」に悩んでいる方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「更年期の息切れ」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

激しい運動もしていないのに…更年期に襲う謎の息切れの原因は何?

美香さん(50歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

先日50歳という人生の節目を迎え、本来ならばホッと一息つける、というタイミングを迎えたものの、自立したばかりの息子の心配や病気がちな夫のことを思うと、なんだか将来のことが不安で仕方がありません。
昼間は家事に気を取られている分そこまで考え込んでしまうことはないのですが、夜、寝付く前になると色々な不安が脳裏をかすめてしまって……。
そのせいか、健康診断で特に悪いところもないのに、布団に横になっているのに息切れを感じることがあり、妙な息苦しさで眠れなくなってしまうこともあるんです。それに加え、ときどき階段の昇り降りだけでも息切れを感じることもあります。
現時点で決定的に良くないことが起きているわけでもないため、よくよく考えればそこまでストレスを感じる状況でもない気がするのですが、更年期以降、漠然とした不安から呼吸の苦しさを感じることが増えた気がします。
どうにかしてこの苦しい息切れを解消し、穏やかな気持ちで過ごしたいのですが、何か良い方法はないでしょうか? ぜひ教えてください。

ご質問ありがとうございます。
更年期は女性のライフステージにおけるさまざまな変化が起こる時期でもあり、こうしたストレスがホルモン変化と相まって、不調を感じることも増えてしまいがちですよね。
今回は更年期の息切れの原因や改善方法について詳しくお伝えしていきましょう。

息切れの原因はホルモンの乱高下による自律神経の乱れ

更年期に息切れが起こりやすくなるのは、加齢とともに卵巣機能が衰えることに加え、女性ホルモンの分泌が急激にアップダウンすることで、女性ホルモンの分泌や自律神経をコントロールしている脳の視床下部が混乱してしまうことに原因があると考えられています。
こうした原因で自律神経のバランスが崩れると、自律神経がコントロールしている拍動や呼吸の崩れが引き起こされてしまうのです。
また、更年期におけるストレスや疲労にともなう自律神経の乱れからも、こうした症状が起こると考えられます。
ただ、息切れや動悸に関していえば、更年期症状としてだけではなく、高血圧などの生活習慣病などから生じることもあるため、気になる症状が続く場合は病院で検査を受けるようにすると良いでしょう。

東洋医学では、更年期には「気(生命エネルギー)」「血(血液)」「水(水分)」の乱れからさまざまな不調が生じるとされており、特に血虚や血瘀(けつお)など「血」の不調から息切れが生じると考えられています。

次の章では、更年期の「息切れ」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきます。

更年期の息切れを改善する3つのセルフケア

1.腹式呼吸でゆっくりと深呼吸をする

息切れを感じたら、まずは安静にし、ゆっくりと深い呼吸をするようにしましょう。
お腹を膨らませるように息を吸い、息を吐くときには口と鼻からゆっくりと時間をかけて息を吐き、お腹をぐっとへこませるように意識すると深い呼吸がしやすくなります。
息切れや動悸を感じるときはもちろん、不安やストレスから呼吸が浅くなったり、気持ちが落ち込んだりしているときにもこうした腹式呼吸することで気持ちをリラックスさせることができます。

2.ストレスを溜め込まず、リフレッシュを!

更年期世代は、育児や親の介護、将来の不安などから、何かとストレスや不安を溜め込みがちです。
こうした精神的な負担が自律神経の乱れを加速させ、更年期症状を悪化させる要因にもなるため、日頃から悩みやつらさを溜め込まないことも大切です。
日常のなかでリラックスする時間や楽しむ時間を積極的に作り、しっかり質の良い睡眠をとるようにしましょう。
また、運動不足を解消するためのエクササイズを積極的に取り入れ、リフレッシュすることを心がけると良いでしょう。

3.「神門」のツボで自律神経を整える

自律神経のバランスを整えるツボはさまざまなものがありますが、息切れ症状に特にオススメしたいのが、手首のくぼみにある「神門(しんもん)」というツボ。
呼吸を整えるようにゆっくりと深呼吸をしながら、親指に力を入れて圧迫するように押すことで、気持ちが落ち着き、呼吸が整ってくるはずです。

◎神門(しんもん)
ツボのある場所:手首の横ジワの上、小指側のくぼんだところにあるツボ。
親指に軽く力を入れ、3秒押した後、また3秒離す動作を1セットとし、5セットほど繰り返しましょう。
ツボのある場所を温めるのも有効です。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

更年期の息切れを改善するためには、セルフケアや婦人科での治療に加えて、体質の改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。
特に今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)です。不安やストレスを感じることが多く、息切れとともに動悸や寝付けないなどの不眠症状などのある方の自律神経を整える効果があります
また、疲労感が強く、熟眠感がないなどの不眠や不安、イライラやほてりの症状のある方には、胃腸を整え血流を改善して、自律神経を整える加味帰脾湯(カミキヒトウ)も良いでしょう。

深い呼吸とリラクゼーションで自律神経を整えましょう

今回は、更年期の息切れの改善方法や漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、ゆっくりと腹式呼吸をしてリラックスすることや、日頃からストレスを溜め込まないように心がけ、リフレッシュを心がけることが大切です。
また、こうした更年期の症状にまつわる悩みには、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。
セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。


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