まあいいか…と姑に遠慮して便意を先延ばししたらひどい便秘&腹痛に

体験談

便秘が続くとお腹がパンパンに張って苦しい。便もオナラも溜めこんでいるうちにお腹がズキズキ痛くなってきた……。
30〜40代のプレ更年期の女性のなかには、こうした「便秘による腹痛」に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

こうした自分ではどうにもならないつらい症状の緩和や体質改善には、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師や薬剤師がお答えしていきます。

今回は「便秘による腹痛」をテーマに、薬剤師の竹田由子先生にお話を伺ってみました。

毎日がつらい…慣れない田舎暮らしで便秘とお腹の痛みに悩む日々!

佳菜さん(38歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

昨年、子供の小学校入学を機に、家族で東京から夫の地元の田舎に移住してきたのですが、急激に運動不足になってしまったせいか、便秘がひどくなり困っています。
田舎暮らしならきっと運動量も増えて、野菜もたくさん食べて健康的な暮らしができるだろう、なんて思い描いていたのですが、実際はまったくそんなことはなく……。
常に徒歩や自転車で移動していた都会での暮らしに比べ、ここでは常に車移動。車で3分ほどのコンビニですら広大な駐車場があるので、歩かずに車に頼る暮らしになってしまいました。食べ物にしても農家をやっているわけではないので、買い出しは車でスーパーに行き、都会で暮らしていた頃と何も変わらない食生活です。
それに加えてすぐ隣に住む姑夫婦が何かにつけて家に出入りしてくるため、ゆっくりと落ち着いてトイレにこもれる時間もなくなってしまったんです。
便意を催しても朝のバタバタしている時間帯や、ランチの後で姑がお茶を飲みに来ている時間帯だったりすると「行きづらいし後でいいか」なんてつい先延ばしに。
最近では1週間何も出ないなんていうこともザラで、常にお腹がパンパンに張って痛いやら苦しいやら。たまにズキズキとお腹が痛くもなるのですが、便意かと思ってトイレに行くと、うさぎの糞程度のコロっとしたものしか出ないんです。
体重も増え肌荒れもひどくなってきたので、なんとかこの腹痛と便秘を解消したいのですが、何か良い方法はないでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
環境の変化や運動不足などから便秘の症状が悪化することもあるため、意識的に排便習慣をつけるような生活リズムに整えて行くようにすることが大切です。
それでは今回は、便秘による腹痛の原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

便秘による腹痛は「気・血・水」の乱れが原因

3日以上便が出ない、もしくは1週間の排便回数が3回未満になるというのが一般的な便秘の目安ですが、正しくは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。
便秘になると腹痛やお腹の張り、吐き気や肌荒れなどさまざまな不調が生じます。
なかでも腹痛は便秘にともなう症状のなかでも最も多く、その原因としては、便が腸の中に長くとどまることで便の出口が塞がれてしまうことにあります。
腸の中に便が溜まった状態のまま、便やガスを肛門側に押し出そうとする腸の働きが起こり、腹痛が生じるのです。

また東洋医学では、便秘はストレスや緊張からくる「気(生命エネルギー)」の異常、「血(血液)」の滞り、「水(水分)」の不足により起こると考えられており、胃や腸に余分な「熱」がこもることによって腹痛が生じるとされています。

次の章では、このような「便秘による腹痛」を改善するための具体的な方法をお伝えしていきましょう。

便秘による腹痛を和らげるセルフケア3選

1.生活のリズムを整え規則的な排便習慣を

便意は、一度我慢してしまうと便が行き場を失って腸内に留まり、次第に硬くなってしまうため、便意が来たらタイミングを逃さずトイレに行くことが大切です。
できれば毎日決まった時間に排便する習慣を身につけると便秘になりにくいです。規則的な排便習慣を身につけるには、生活リズムが整えることが不可欠です。
なるべく毎日同じ時間に起床し、1日三食決まった時間に食事をするように心がけましょう。

2.適度な運動で腸の働きをサポートしましょう

腸のぜん動運動を促し、便意を催すには、毎日の生活のなかに適度なエクササイズを取り入れることが大切です。
なかでもウォーキングには自律神経のバランスを整える効果があり、腸の働きをサポートしてくれるといわれています。
1日のうちの決まった時間に運動する習慣をつけ、30分程度のウォーキングや、ストレッチ、腹筋などを取り入れてみるのもオススメです。

3.水分を摂って便を軟らかくしましょう

腸の中で硬くなってしまった便はスムーズに出てきません。便秘によって硬くなってしまった便を柔らかくするためには、水分をしっかり摂ることが大切です。
特に、起床してすぐに水分を摂ることで、空腹状態になっている胃腸を刺激し、腸のぜん動運動を刺激し、便通を促す効果が期待できます。
便秘の症状がひどい時には、1日2リットル程度を目安に、積極的に水分を摂るようにしてみましょう。
また、冷たい水分を一気に摂ると腹痛を悪化させてしまうことがあるため、白湯など常温のものを摂取するのがオススメです。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

便秘による腹痛を改善するために、市販薬や処方薬の服用、坐剤の使用などの選択肢に加えて、根本的な改善を目的としている漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)です。腸の働きが悪く、排便が滞りがちな方の腸の働きを活発にし、穏やかな便通を得られるようにする効果があります。
また、ストレスが強く、お腹が張って繰り返し腹痛をともなう便意を催す方には、血流をよくして自律神経を整え、痛みや冷えを改善して穏やかな排便を促す効果のある桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)も良いでしょう。

生活のリズムを整えて規則的な排便習慣を!

今回は、便秘による腹痛に悩む方のためのセルフケアや漢方薬をご紹介してきました。
症状の改善のためには、生活のリズムを整え、毎日決まった時間に排便する習慣づけをすることが大切です。適度な運動を取り入れて水分をしっかり摂り、腸の働きをサポートするようにしましょう。

また、こうした気になるお腹の症状の改善には、漢方薬が大きな効果を発揮した例もたくさんあります。セルフケアを試してもなかなか改善しない場合は、ぜひお近くの漢方医や漢方薬局に相談してみてくださいね。


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