生理前は「全部私が悪い…」と思い詰めてしまいます。これってPMSですか?

体験談

生理前になるとなぜかガクンと気分が落ち込んでしまう、ささいなことが気に掛かりいつまでも思い悩んでしまう……。
それは、もしかしたら生理前に起きやすい精神症状のひとつかも!?

実は、多くの女性が生理中だけでなく、生理になる前もさまざまな症状に悩んでいるのです。
自分ではどうにもならない生理前の不調やつらい症状の緩和や体質改善にも、漢方薬がよく効くことをご存知でしたか? 
「健タメ!」では、読者からの体験談をもとに、お悩みに関する原因や対処法を医師がお答えしていきます。

今回は「生理前のうつ」をテーマに、薬剤師の二瀬偉志先生へお話を伺ってみました。 

明るい私が生理前はどんより…晴れない気持ちをどうすれば?

佳菜さん(37歳女性)、主婦の方からご質問をいただきました。

昔から、生理前に限って気分の落ち込みがものすごくて悩んでいます。
普段は人一倍明るい性格なので、自分でも人格のギャップについていけないほどです。
先日も娘の小学校のPTAの集まりで、なかなか話がまとまらず怒り出す父母の方がいたのですが、帰宅後になぜか「こんなにモメたのは会を取り仕切れなかった私が全部悪いんだ」と悶々と思い悩み、ひとり家で号泣する始末。
こんなふうに、生理になる1週間前から生理日あたりにかけては、ささいなことでも「全部自分が悪い」とか「私さえいなければ上手くいったはず…」などと考えてしまうんです。
なぜか生理期間の半ばを過ぎる頃には、気分もスッキリして、そんなことがあったことも忘れてしまうほどなのですが……。
落ち込んでいる真っ最中は夜も眠れなくなりますし、冷えや頭痛などもつらくて仕方ありません。どうしたらこの症状を改善できるでしょうか?

ご質問ありがとうございます。
生理前に起こりがちな激しい気分の落ち込みは、月経前症候群(PMS)という症状の一種で、重大な病気ではありませんが、ご本人にとってはとてもつらいですよね。
今回は、生理前のうつの原因や改善方法について、詳しくお伝えしていきましょう。

月経前のうつ症状はホルモンと「気」の乱れが原因!

月経の1週間前くらいから、乳房の張りや下腹部の痛みなどの身体症状や、感情の不安定さなどの様々な精神症状が現れる症状を総称して、月経前症候群(PMS)といいます。
原因は明確に解明されてはいませんが、月経周期半ばあたりの排卵期を過ぎる頃に、ホルモンバランスの変化が急激に起こることで自律神経が乱れることが要因と考えられています。
心が落ち込み、うつうつとした感情に捉われてしまうのも月経前症候群(PMS)による不調のひとつと言えるでしょう。

東洋医学では、情緒不安定などの精神症状は、「気」の流れに関連する五臓六腑の「肝」の乱れがあると考えるため、「肝」の乱れを整えて「気・血・水(生命エネルギー・血液・水分)」のバランスを取ることが重要だと言われています。

次の章では、こうした月経時期特有の悩ましい症状に対する具体的な解決方法をお伝えしていきましょう。

月経前のうつ症状を改善するセルフケア3選

1.深い呼吸を心がけましょう

精神的な症状が出ている時は、全身の筋肉に負荷がかかり、呼吸が浅くなりがちです。呼吸が浅いと体に十分な酸素が取り込めず、ストレスをますます増幅させてしまいます。
心を落ち着かせ、自律神経を整えるためにも、ゆっくりと深呼吸するようにしましょう。
体を動かすことで血の巡りを良くし、自然に深い呼吸を実践できるヨガなどを取り入れてみるのもオススメです。
また、普段から口呼吸してしまう癖のある人も呼吸が浅くなりがちですので、しっかりと鼻から息を吸って深い呼吸ができるように心がけてくださいね。

2.毎日同じリズムで生活しましょう

自律神経を整えて沈んだ気持ちを改善するためには、しっかりと睡眠時間を取ることが大事です。そして、大事なのは睡眠の長さではなく「質」です。
自律神経を整える成長ホルモンは、就寝後3時間の間に盛んに分泌されるため、この時間にいかにぐっすり深い眠りにつけるかが勝負です。
できる限り、毎日の就寝時間と起床時間を決めて規則正しく生活しましょう。
そうすることで、体のリズムが整い、深く質の良い睡眠が期待できます。

3.自分を甘やかす時間をしっかりつくる

月経前の症状でうつうつとしている時は、思い切って自分を甘やかしてしまいましょう。
頑張らなきゃ!と自分を追い込んでしまうと、ますます症状が悪化することもあります。
自分で自分にプレッシャーをかけたり、先のこと考えて焦り過ぎないことが大事です。
何事も無理と我慢はせず、できるだけラクな気持ちでリラックスして過ごしましょう。

根本的な体質改善には漢方薬が効果的!

月経時のうつを改善するために、ピルなどの服用や心療内科での薬物療法に頼るという選択肢に加えて、根本的な改善を目的とした漢方薬の服用もオススメです。

特に、今回の相談者様のような症状に悩む方に適した漢方薬は、加味帰脾湯(カミキヒトウ)です。うつなど精神神経系の症状があり、不眠をともなう方の血と気の巡りをよくして、症状を鎮めてくれる効果があります。
また、胃腸が弱く、ストレスで胸がつかえるような症状のある方には、半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)もオススメです。

自分の症状や体質にぴったりマッチした漢方薬を選ぶのは難しいと感じがちですが、「オンラインAI漢方」では、お悩みの症状を元にAIがあなたにぴったりな漢方薬をご案内しています。
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頑張りすぎず、穏やかな気持ちですごしましょう

普段から何事にも一生懸命で頑張り屋さんな人こそ、気持ちが落ち込むと自分を責める方向に考えがいってしまいがちです。
精神的につらい時には、思い切ってやるべきことを休んだり、好きなことをして自分を甘やかす時間をつくってくださいね。
また、月経前の精神的な症状には、漢方薬が大きな効果を発揮することもありますので、自分の症状にマッチしたものを取り入れるのもオススメです。
体質が徐々に改善すれば、きっと生き生きとした毎日を送れるはずです!

二瀬偉志

薬剤師、鍼灸あん摩マッサージ指圧師、化粧品検定1級、居宅介護支援専門員(ケアマネ)。 薬剤師の仕事に従事する傍ら、0才の息子の子育てに奮闘中。

プロフィール

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